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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円キャリ−の展開はドル円117円台売り!115円割れ買い!に集中

サブプライム問題に端を発した信用収縮により、金融市場は混乱を招いている。先にFRBが急遽公定歩合を0.5%引下げることを余儀なくされたが、今週も引き続き潤沢な資金供給を継続しながら、経過措置を確認する状況にある。
▲FRBは、世界経済への影響を注視しており、FFレートの金融緩和措置まで発展するかに注目が集まっている。先の日銀金融政策決定会合で、当初は利上げが確実視されていたが、サブプライム問題によって、円金利が先延ばしされ、同時に9月に予定されていたユーロ金利まで微妙な状況に陥っている。総じて、日米欧の金利面で不透明感が増しており、株式市場、債権市場への影響も広がりを見せていることから、不安心理が先行している相場展開である。繰り返しになるが、ストップロスとポジションの見切り時を重視して臨む事を優先させるべきである。
▲先週末に米耐久受注が予想を大幅に上回り、そして、サブプライム問題の渦中にある住宅関連の米新築住宅販売件数まで改善され、株式市場には活気が戻っている。しかしながら、基調は米ドル安であり、円安でもある。市場はリスク回避を摸索しており、その一環がユーロドルへの回避にもつながっているが、ECBの9月利上げ説を見極めることなく、ユーロドル1.35前後のロングでは安心感が保たれるポジションと言えるだろう。
いずれにしても、目まぐるしい相場展開が予想されるだけに、ポジションを抑えながら臨機応変が要求される相場である。
▲補足的にはなるが、金融不安が発生すると必ず話題に上るのが1998年のLTCMの綻劇であるが、当時とはリスク管理面では雲泥の差があるといわれているが、逆に中国を始めとしたブリックス(BRICs)の台頭により、世界マネーのだぶつき現象を引き起こし、過熱投資によって、リスク管理が御座なりになっていることも指摘されている。それが質への逃避に繋がっているのだろうが、現実にはサブプライム問題の波紋がどこまで広がるかは不透明な段階であり、当時との金利、原油価格などの相違から判断しても、実体経済を単純比較は出来ないのが素直な見解であろう。
一般的には、信用不安が解消するには少なくとも2〜3ヶ月の時間を要すると言われているが、根深く、深刻なサブプライム問題にその期間を適用するには課題が多すぎるのが現状であろう。FRB並びにECBも必死に防御策を講じているが、まだまだ予断が許せない状況であり、自重したトレードに専念することが、個人投資家の精一杯の抵抗であるかもしれない。
▲IMM通貨先物にも偏重が見られる。1,516枚の円ロングの状態には驚かされるが、円キャリーの巻き戻しが顕著であった証でもあるが、逆に円売りの安心感を呼び起こしており、115円前後の下値は堅調であると捕らえることが可能である。但し、ドル円117円台を回復するまでは下値は堅調とは言い難いのも事実である。今後もIMMの状況に注視して臨む事を勧める。
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●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年8月26日(日)週末の終値ベース
サブプライム問題の収拾が進まない中で、株式相場の乱高下が相場全体の方向感が惑わしている。ポジション調整が急速に進んでいるが、同時に投機筋の動きも右往左往する展開であり、ポジションの縮小を余儀なくされている相場展開である。 本チャート上では先週の円高局面でユーロドル、ポンド、そしてオセアニア通貨がポジション解消レベルに到達していたが、週後半には円安とドル安が進行しており、再び、相場に歪みが生じ始めている。ドル円に関しては112円割れから113円台では極端に米ドルが売られすぎた結果と言える。今週は再び米ドル買いシグナルが点灯しているが、以前ほどの強い買いシグナルではないが、各通貨の強弱関係に相違を見せており、現状の不安定な為替相場を象徴している。ドル円中心の円キャリ−トレードを実施するならば、今後も113〜114円台では円キャリートレードの思惑が働きやすい相場展開になるであろう。
各通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドル⇒買い
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.0932→0.1028
1÷ユーロドル1.3666=0.7317−100÷ユーロ円159.00=0.6289(0.7317−0.6289)=0.1028⇒ドル円116.35。 先週の強い買いシグナル114.35から、今週も引き続き強めの買いシグナル116.35円が点灯している。(売りターゲット119.00〜120.50)
過去の売買シグナルは以下の通り。121.50売り→116.85買い→118.30売りclose→116.65買い→118.10売りclose→123.45売り→123.85売り→122.50買いclose→123.35売り→121.30買いclose→118.50買い→118.00買い→118.40買い→114.35買い
▲ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅40円 現状乖離幅39.75⇒42.65)
先週は1.3476でポジション解消買いが点灯し、様子見に突入していたが、今週は再び売りシグナル1.3666が点灯している。(買いターゲット1.3400〜1.3480)
過去の売買シグナルは以下の通り。1.2875売り→1.2511買いclose→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3318売り→1.3536売り→1.3651売り→1.3368買いclose→1.3784売り⇒1.3825売り→1.3771売り→1.3699売り継続→1.3476買いclose様子見
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅22円 現状乖離幅(23.25⇒20.15円)
0.8796の強い売りシグナルから、先週はポジション解消シグナル買いが0.78〜0.79前後に集中したが、今週は再び0.8268の売りシグナルが点灯している。
(買いターゲット0.7700〜0.7870)過去の売買シグナルは以下の通り。
0.7917売り→0.7810買いclose→0.8335売り→0.8374売り→0.8181買いclose→0.8444売り→0.8416買いclose→0.8577売り→0.8796売り→0.8446売り継続→0.7967買いclose
▲NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅32円 現状乖離幅34.90⇒32.40円)
先週は7月後半から続いた強い売りシグナル0.7972のポジション解消買い0.6948が点灯し、様子見に入ったが、今週は再び弱い売りシグナル0.7215が点灯している。
(買いターゲット0.6990〜0.7130) 過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6828買い→0.6975売りclose→0.7473売り→0.7257買いclose→0.7643売り→0.7543買いclose→0.7819売り→0.7972売り→0.7646売り継続→0.7462売り継続→0.6948買いclose
▲カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅6.50⇒5.65円)
1.04台から1.06台での買いシグナルが点灯しているが、先週の買いシグナル1.0603から今週も引き続き買いシグナル1.0510が点灯している。(売りターゲット1.0750〜1.1080)
過去の売買シグナルは下記の通り。1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162売り→1.1078買いclose→1.0610買い→1.0679売りclose→1.0484買い→1.0647買い継続→1.0529買い継続→1.0603買い継続
▲ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅5円 現状乖離幅+2.10→−1.55円)
ドル円116.35x?=232.70−ポンド円234.25=−1.55円。
先週はポジション解消レベルの買いシグナルが1.9650〜1.9700で頻繁に点灯したが、最終段階では弱めの売りシグナル1.9816が点灯していたが、今週は再び通常の売りシグナル2.0133が点灯している。 (買いターゲット1.9450〜1.9600) 過去の売買シグナルは下記の通り。1.9636売り→1.9105買いclose→2.0021売り→1.9748買いclose→1.9836売り→1.9696買いclose→2.0556売り→2.0407売り→2.0245売り継続→1.9816買いclose.
▲スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅22円 現状乖離幅19.65→19.55円)
先週1.2075ではポジション解消売りシグナルが点灯し、様子見に突入していたが、今週は弱めの買いシグナル1.2020が点灯している。(売りターゲット1.2100〜1.2150)
過去の売買シグナルは以下の通り。1.2069買い→1.2194売りclose→1.2057買い→1.2270売りclose→1.2420売り→1.2223買いclose→1.2027買い→1.2080売りclose→1.1907買い→1.1984買い継続→1.2075売りclose
★オセアニア通貨裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅11.65→12.25円
乖離幅が先週11.65から若干拡大しており、13円以上の乖離幅なら妙味が増す。豪ドル円売り/NZドル円を継続中。過去の週間の乖離幅は以下の通り。15.40→13.90→10.55→10.55→9.90→12.25→9.40→11.30→11.80→11.25→10.75→9.85→10.75→10.40→9.35→10.20→10.00→10.30円→10.95→11.65→11.65
(クロス円の売買には円相当額を一致させる。または豪ドル/NZドルの直接取引)
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(275円以下は円高&285円以上は円安の目安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円と着実に円安方向。2007年度第1四半期276円、第2四半期284円。7月の平均は288円。8月は280.50→280.60→268.45と円安にブレーキ。 今週はドル円116.35+ユーロ円159.00=275.35円と円高水準に突入している。
● 欧州3大通貨ペア(様子見)
▲ユーロポンド『平均乖離77円 現状乖離幅72.50⇒75.25円』
乖離幅の数字は大幅に乱高下しているが、チャート上では依然として、先週0.6801の様子見から、今週も0.6788で様子見が続いている。
過去の売買シグナルは以下の通り。0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6859売り→0.6778買いclose→0.6787売り→0.6736買いclose→0.6748様子見→0.6767様子見→0.6801様子見
▲ユーロスイス『平均乖離62円 現状乖離幅59.40⇒62.20円』
先週の1.6272の様子見状態から、上昇を見せているが、今週も1.6426の様子見が継続している。 過去の売買シグナルは以下の通り。1.6439売り→1.6417買いclose→1.6575売り→1.6509買いclose→1.6620売り→1.6559買いclose→1.6473売り→1.6398買いclose→1.6417様子見→1.6272様子見
▲ポンドスイス『平均乖離42円 現状乖離幅37.20⇒40.65円』
先週の2.3928の様子見から、今週は弱い売りシグナル2.4199が点灯している。
過去の売買シグナルは以下の通り。2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.4357売りclose→2.4463買いclose→2.4688売りclose→2.4465売り→2.4299買いclose→2.4261様子見→2.3928様子見
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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