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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドル買い余地減少中! ドル円には買い余地あり!

サブプライム問題に始まった信用収縮と金融不安が一向に収まりを見せていない。今週も引き続きサブプライム問題に対する資金供給は実施される見込みであるが、信用リスク収縮の特効薬として、資金供給や公定歩合の利下げ効果がどの程度反映されるかは疑問の余地を残している。
▲振り返れば、8月9日に仏大手金融機関BNPパリバ傘下の3つのファンドを凍結したことに端を発し、主要国に金融不安が直撃し、前代未聞とも言われる中央銀行による資金供給が同時に実施されたことが、更に不安要因を拡大する結果とも言えるだろう。そして、連日のようにFRB並びにECBの買いオペ資金供給が実施されており、事の重大性を再認識させられる状況である。 
先週末には資金供給だけでは不充分であるため、早期に事態収拾を図った米国が突如公定歩合の緊急利下げを実施したことで、株式市場は急反発を見せてはいるが、市場背景としては狼狽した戻り売りが散在しており、株式市場の上昇も限定的と見るのが妥当であろう。
FRBの公定歩合の利下げにより、金融機関間での資金供給には問題が少なくなったが、市場の安定を勝ち取るには9月のFOMCにおいて、 FFレートの利下げが避けられない情勢である。米国としては、公定歩合の利下げが緊急避難的な措置であり、インフレリスクを考慮するとFFレートの利下げを温存したいのが本音かもしれないが、背に腹は変えられない状況と言えるだろう。
▲今週も引き続き株式主導の為替相場となるが、2000以降の現代為替ではスピード違反とも錯覚するような円高局面でもあり、改めてストップロスと損切りタイミングの重要性を思い知る相場展開であり、主役であった円キャリーが坂道を転がる事態に直面し、狼狽した円買いがドル円およびクロス円の上値を重くさせている。その上に機関投資家及びヘッジファンドのポジション解消が続いており、今までの円キャリートレードの貯金を吐き出しているのが現状である。
▲市場がパニック状態から如何に回復するかが今後の課題であるが、ドル円自体が110円を意識する展開ともなれば、円キャリートレード再燃の意識をもってトレードする事が望ましいだろう。いずれにしても、ストップロスと損切りが渦を巻いている最中であり、株式市場の続落と急反騰が繰返している状況下では、為替相場に安定性を見出す事は困難であり、見極めの時期として捉えることが賢明であろう。

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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年8月19日(日)週末の終値ベース
サブプライム問題が強烈な円高局面を演出したことで、ドル円以外の通貨には修正局面が訪れている。特に米ドル安が顕著であったユーロドル、ポンドなどの主要通貨に対してはほぼ様子見レベルまで接近し、瞬間的には利食い局面も見られた。又高金利通貨のオセアニナ通貨に対しても大幅な調整局面に突入しており、総合的には欧州通貨とオセアニア通貨が円高の波に吸収されたことにより、再三指摘した米ドル買い余地が最終段階に突入している。しかしながら、対円とカナダドルに対しては、依然として、米ドルの買い余地を残しており、両通貨とも米ドルとの連動性を感じさせられるが、特にドル円の動きだけを見れば、円高の限界点を越えており、先週の112円割れの状況下では、ドル円ロングに旨味が生じている。今回の信用収縮リスクが過ぎ去るまでは、控え目なトレードに徹することが望ましいが、いずれは円キャリートレードの再開時期を摸索することになるが、ドル円中心の円キャリ−トレードを軸に、他の高金利通貨を絡ませた円売りに妙味が増すと思われる。各通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます。
US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドル⇒買い
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.11135→1108
1÷ユーロドル1.3476=0.7421−100÷ユーロ円154.10=0.6489(0.7421−0.6489)=0.0932⇒ドル円114.35。先週の買いシグナル118.40から、今週はかなり強めの買いシグナル114.35円が点灯している。(売りターゲット117.00〜119.00)
過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。119.65売り→115.85買いclose→121.50売り→116.85買い→118.30売りclose→116.65買い→118.10売りclose→123.45売り→123.85売り継続→122.50買いclose→123.35売り→121.30買いclose様子見→118.50買い→118.00買い→118.40買い
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅40円 現状乖離幅43.80⇒39.75)
1.38台から続いていた売りシグナルも先週1.3699の売りシグナルを最後に、今週は1.3476の買いシグナルが点灯し、様子見状態に突入している。(様子見)
過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.2875売り→1.2511買いclose→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3318売り→1.3536売り→1.3651売り→1.3368買いclose→1.3464様子見→1.3784売り⇒1.3825売り→1.3771売り→1.3699売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅22円 現状乖離幅(18.40⇒23.25円)
0.8796の強い売りシグナルから、先週も強い.8446の売りシグナルが点灯していたが、週後半には一気に0.8割れに突入し、0.77前後ではポジション解消シグナルも点灯している。今週は弱い売りシグナル0.7967が点灯しているが一部買い戻しも検討。
(買いターゲット0.7700〜0.7870)過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7917売り→0.7810買いclose→0.8335売り→0.8374売り→0.8181買いclose→0.8444売り→0.8416買いclose→0.8577売り→0.8796売り→0.8542売り継続→0.8446売り継続
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅32円 現状乖離幅30.05⇒34.90円)
強い売りシグナル0.7972から、段階的な売りシグナルが点灯していたが、先週の売りシグナル0.7462を最後に、今週はポジション解消の0.6948の買いシグナルが点灯し、様子見状態に突入している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6828買い→0.6975売りclose→0.7473売り→0.7257買いclose→0.7643売り→0.7543買いclose→0.7819売り→0.7972売り→0.7646売り継続→0.7614売り継続→0.7462売り継続
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅5.95⇒6.50円)
1.04台から買いシグナルが点灯しているが、先週の買いシグナル1.0529に引き続き、今週も1.0603の買いシグナルが点灯している。(売りターゲット1.0950〜1.1200)
過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162売り→1.1078買いclose→1.0610買い→1.0679売りclose→1.0484買い→1.0647買い継続→1.0569買い継続→1.0529買い継続
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅5円 現状乖離幅−2.90→+2.10円)
ドル円114.35x?=228.70−ポンド円226.60=2.10円。
2.0556から強い売りシグナルが継続していたが、先週の2.0245の売りシグナルから、今週は弱めの売りシグナル1.9816が点灯している。一部買い戻し検討。先週後半には瞬間的に1.196台でポジション解消買いも点灯している。 (買いターゲット1.9500〜1.9700)
過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。1.9636売り→1.9105買いclose→2.0021売り→1.9748買いclose→1.9836売り→1.9696買いclose→2.0556売り→2.0253売り継続→2.0407売り継続→2.0245売り継続
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅22円 現状乖離幅19.60→19.65円)
先々週の強い買いシグナル1.1907から、先週も引き続き1.1984の買いシグナルが点灯していたが、今週はポジション解消の1.2075の買いシグナル点灯し様子見に突入している。(様子見) 過去の週間の売買シグナルは以下の通り。
1.2069買い→1.2194売りclose→1.2057買い→1.2270売りclose→1.2420売り→1.2223買いclose→1.2027買い→1.2080売りclose→1.1907買い→1.1984買い継続
オセアニア通貨裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅11.65→11.65円)
乖離幅は平行線であり、11.65円からの豪ドル円売り/NZドル円を継続中。過去の週間の乖離幅は以下の通り。15.40→13.90→10.55→10.55→9.90→12.25→9.40→11.30→11.45→11.05→11.45→10.30→11.80→11.25→10.75→9.85→10.75→10.40→9.35→10.20→10.00→10.30円→10.95→11.65
(クロス円の売買には円相当額を一致させる。または豪ドル/NZドルの直接取引)
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(275円以下は円高&285円以上は円安の目安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円と着実に円安方向。2007年度第1四半期276円、第2四半期284円。7月の週間ごとの経緯は289.90円、291.45円、290.05円、289円、280.10と円安にブレーキ。8月は280.50、280.60、今週はドル円114.35+ユーロ円154.10=268.45円へ急降下。
欧州3大通貨ペア(様子見)
ユーロポンド『平均乖離77円 現状乖離幅77.50⇒72.50円』
乖離幅の数字は大幅に縮小しているが、チャート上では先週0.6767の様子見から変化はなく、今週も0.6801で様子見が継続中。過去数週間の売買シグナルは以下の通り。
0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6859売り→0.6778買いclose→0.6787売り→0.6736買いclose→0.6748様子見→0.6767様子見
ユーロスイス『平均乖離62円 現状乖離幅63.40⇒59.40円』
先週の1.6417での様子見状態から、今週は値動きがあったにもかかわらず、1.6272で様子見が続いている。過去の売買シグナルは以下の通り。1.6195売り→1.6073買いclose→1.6439売り→1.6417買いclose→1.6575売り→1.6509買いclose→1.6620売り→1.6559買いclose→1.6473売り弱め→1.6398買いclose→1.6417様子見
ポンドスイス『平均乖離42円 現状乖離幅42.10⇒37.20円』
先週の2.4261の様子見から、値動きは生じているが今週も2.3928で様子見が続いている。過去の数週間の売買シグナルは以下の通り。2.4208買い→2.4235売りclose→2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.4357売りclose→2.4463買いclose→2.4688売りclose→2.4465売り→2.4299買いclose→2.4261様子見
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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