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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円117円、ユーロドル1.35、そしてユーロ円158円へ! 

明日より夏休暇に入ります。世間はお盆であるが、残念ながら、我が家には田舎がありません。『田舎に泊まろう』のTV番組を見て癒される?程度ですが、反面、東京の静けさを唯一満喫?できるのは盆と正月と自問自答です。

▲日米欧の資金供給が続いている。市場流動性の安定化を図るためには急務であることに疑いの余地はないが、現状では株式市場の下げ止まり効果はあるが株価上昇には繋がらない状況である。市場に信用収縮リスクが浸透しているため、たとえ、一時的な株価上昇が生じたとしても、リスク回避を優先したポジション調整売りが散見されるため、株上昇の構図は描きづらい展開であろう。 米株式関係者は米利下げ観測を強調しているが、バーナンキFRB議長の見解は株式市場を睨んだ金融政策ではなく、市場の安定化を狙った資金供給であり、利下げ観測には否定的なコメントである。いずれにしても、インフレリスクと信用リスクが同居しているため、FRBの手腕が問われる状況であるが、次に打つ手が封じられているのが現状であり、安易に株安円高の規定路線を踏襲できない側面がある。

▲一方、本邦の日銀金融決定会合が来週に迫っているが、サブプライム問題が発生したことにより、急劇に短期市場のコールレートの上昇を見たが、資金供給効果が如実に現れており、コールレートは0.3%まで弱含んでおり、利上げムードは萎えているのが現状である。
日銀としても、利上げ実施のタイミングに苦慮していただけに、今回のサブプライム問題がネックになり、形勢としては依然として不利ではあるが、本日は一転して、日銀が資金吸収オペを実施しており、日本サイドでは信用リスク収縮は軽微と推測できるだろう。
今までの経緯を見る限りは日銀の利上げの可能性を否定せざるを得ないが、米欧の対応処置は危機感を覚える水準で資金供給を続けているが、日本サイドでは資金面での懸念は沈静化しており、円金利の正常化も含め、日米欧の金利格差縮小には絶好の機会であろう。いずれにしても、各国の協調性を重んじる日本政府の対応が問われる時ではあるが、利上げ実施となれば、ドル円117円までの円高期待は持てるだろう。しかしながら、円キャリトレード再燃が視野に入り、ドル円117円割れからの円買いには自重することが賢明である。

●現状ではドル円の上値も重いが、ユーロドル及び高金利通貨にも、ポジション調整売りが先行しており、円全面高の様相を見せているが、米ドル主導のポジション調整局面と見るのが正解であろう。昨日と同様に118円台半ばの売りを勧めると同時に117円台半ばからの難平買いに妙味がある。一方、ユーロドルは1.36前後の攻防であるが、海外勢も方向感が失せており、夏休暇の影響から、ワイドレンジで相場を追っている模様。欧州市場にも不透明感が先行しており、ドイツ、フランスとサブプライム問題に大きく関与したことから、他のユーロ諸国にも不安心理が拡大している。海外勢の中には次なるサブプライムは中国及びロシアなどの新興国への懸念も囁かれている。米ドルリスクとユーロドルリスクの天秤となれば、ユーロ売り米ドル買いが先行することも充分に考えられる。
★先走った考えではあるが、ユーロドル1.35、ドル円117円、そしてユーロ円158円も身近な問題と言えるだろう。ユーロドル1.36台半ばの売りを勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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