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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

不透明な米経済、シナリオ重視の売買を!

昨日は話題の映画『トランスフォーマー』を鑑賞してきました。製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグということで期待はしたのですが、CGの凄さには、またまた驚かされましたが、如何せんストーリ性が全くなく、ロボットがエイリアンと言う設定には無理があるようです。夏休みでもあり、きっと子供向けのアニメの延長なのでしょうが、シナリオ『脚本』のお粗末さが壮大なSFアクション映画を三流映画にさせてしまう典型かもしれません。
為替相場もシナリオのない行き当たりばったりの売買では、遅かれ早かれ期限切れになりますが、為替の売買シナリオが描かれないときには、見送る勇気が必要ですね。
上記作品は監督がマイケル・ベイ『作品アルマゲドン、パールハーバーなど』であり、ハリウッドを代表する2人の監督で構成されていますが、優秀な人間が集まっても逆に独自性が欠けて成果があがらないのかもしれません。為替には初級者も上級者の垣根はありませんので、最終的には勝者が上級者、敗者が初級者です。良い脚本にめぐり会えれば、誰でもが上級者になれる可能性はありますが、不相応に背伸びすると初級者に戻ることになります。

●NYダウが大幅続伸し、日経平均の上昇力も期待されるが、為替市場は株式市場に振り回される展開が続いているが、円安株高の傾向は否めない。120円台に対する抵抗はないが、株高に乗じた円安には一抹の不安が蓄積している事は否めない。本日の日経平均株価は上昇を見せてはいるが、100円程度の上昇では円売りを敢行する状況ではないだろう。
昨日の米株式市場において、サブプライム問題で懸念されていた米住宅関連株が持ち直しを見せており、市場では早くも楽観論さえも浮上している。一方、ヘッジファンドに関与している金融株が乱高下を繰返しており、サブプライムの問題処理が金融セクターに移行している兆しであると穿った見方も先行している。いずれにしても、米サブプライム問題の裾野が海外にも拡散しており、事実上の被害総額が掴みきれないことも悲観論と共に楽観論も出易い状況である。
▼昨日はブッシュ米大統領がサブプライム問題に触れたが、ポールソン米財務長官と同様に、強気な姿勢は崩していない。あらゆる問題がソフトランディングで片付けられるほど容易ではないだろうが、不透明感にはソフトランディングと言う言葉が必要なのかもしれない。
先にバーナンキFRB議長がサブプライム問題にかかわる総額が500〜1,000億ドルと曖昧な数字が示しているように、サブプライム問題の深刻化を容易に打ち消すことが出来ないため、今後もNY株式主導の為替相場になる可能性は高いだろう。
先のFOMC政策金利では利下げ観測が後退し、昨日はRBA(豪州)が0.25%の利上げを実施、そして、ECB(ユーロ)及びBOE(英国)は利上げ方向であり、金利格差の縮小が限定的である以上は円安の火種は消えそうにないが、戦略的には常に円キャリートレードの再燃と解消の繰り返しをイメージすることが良策であろう。大雑把に言えば、121円では円キャリー解消の円買い、118円割れでは円キャリー復活の円売りを一考することを勧める。
日本が昨日の6月機械受注の大幅な落込みで、利上げが悶々としている状況下では円買い材料が皆無に近い状態とも言える。反面、ドル円120円台では、今までの117円台からの円安経緯からも、必然的に上値は重くなると判断するが、ドル円120円台ではポジション清算余地があり、同レベルからの売りを勧める。買いは下値堅調と判断し、119円前後に絞って臨む事を勧める。
ユーロドル自体の強さはないが、信用リスクが増大している米経済と金融政策が定まらない日本経済との比較では、リスク回避通貨としての優位性が生じている。1.38前後の攻防が続いているが、相変わらず1.38台半ばの売り圧力が感じられる。1.3750以下の買いと1.38台半ばの売りで様子見を勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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