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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円125円がキャリートレードの終着点?

今週はFOMC政策金利主導の相場展開になるであろうが、先週は米長期金利の上昇に伴い、一部では利上げ観測まで囁かれていたが、現実には米住宅関連に付随したサブプライムローンの焦げ付き問題が発生しており、同時に米NY株式市場も反落を見せており、米ドルの上昇にも一服感が生じている状況である。 いずれにしても、金利格差が歴然としている相場展開であり、キャリートレードの拡大が続いているが、同時に不安心理も拡充しており、ストップロスの明暗が見られそうな相場展開である。 FOMCの動向次第では、相場が一変する可能性も占めており、予断が許せない状況には変わりがない。スイスフランも政策金利が引き上げられ、スイスフランも急回復を見せており、ますます取り残されてしまった円であるが、円買い材料が乏しい状況が続いており、円キャリー取引に衰えが見えていないのが現状であるが、更に円キャリーの推進力を見つけ出す難しさがある。

▼今週はFOMCが開催される上に、金利関連に敏感な5月の米中古住宅販売・新築住宅販売、そして、米景気の動向を探るためにも第一四半期米GDP に注目が集まるだろうが、米サブプライム問題も急浮上しており、 先週末には再び米国のサブプライム問題が現実味を帯びてきており、住宅関連への影響が避けられそうにない。
ベア−・スターンズ傘下のヘッジファンドが損失を被っており、32億ドルの救済で決着すると報じられているが、ヘッジファンドの破綻が今でも小規模ながら続いており、今回の問題も短期間で資産目減りが生じており、米長期金利の上昇が大きく起因していると思われるが、米利下げ観測の後退と共に、他のヘッジファンドにも新たに住宅ローンの焦げ付きが起こる事が予想されており、米経済の不透明さは相変わらず根強いものがある。 レバレッジを最大限に利用したヘッジファンドの実体は掴み切れておらず、キャリートレードの拡大と円安効果の是非が問われる時期でもあろう。

▼IMMシカゴ先物通貨(投機筋)の状況においては、円ショートが再び拡大基調を強めている。警戒水域である15万枚を超えて、16万台に突入と過去の円キャリートレード拡大時と似通った進捗状況である。一方、ユーロロングが減少傾向にあるが、キャリートレードの矛先に米ドルが加われば、さらに強固な円キャリートレードの構図も視野に入れなければならない。そして、IMMシカゴ先物通貨の推移だけでは判断出来ないが、スイスフランのショートが急速に増えていることからも、スイスキャリートレードも復活している模様である。
▼キャリートレード自体はリスクを最小限にした投資法として、欧州通貨間でも過去に行なわれた手段ではあるが、直近の機関投資家の設定ファンドにも見られるように、単に低金利と高金利の組み合わせであれば、マイナー通貨でもリスク承知の対象になり始めている。どの通貨とは指定することは避けるが、リスク面を考慮すれば、8大通貨間の組み合わせ売買であることが好ましいだろう。その点においては、スイス対オセアニア通貨のキャリ−トレードも一考である。
●****今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)****
作成年月日 2007年6月24日(日)週末の終値ベース
全般的に円安傾向に拍車がかかっている状況であるが、特に今回の円安は対米ドルへの比重が高まりを見せている。 米ドルも一時ほどの力強さはないが、ドル円が下値をサポートしており、クロス円全般にも波及している相場展開である。
米金利の利下げ観測が大幅に後退したことに伴い、米長期金利が上昇を見せてはいるが、既に、米ドルは他の主要通貨に関してはニュートラルなレベルまで接近しており、次の展開待ちの状況である。 一方ではキャリ−トレードの対象通貨である円に続き、スイスフランに対しては米ドルの強さが窺われる。 スイスフランは利上げが実施されたことにより、一時ほどの弱さは見せていないが、基調は依然として、米ドル高であり、若干の調整が必要であろう。 
相対的に、円キャリーが米ドルまで及んだことにより、各通貨の調整と均衡が保たれているが、円売りが象徴的なマーケットであることは否めず、円買いを常に警戒するレベルである。
通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱 米ドル売り
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1420→0.1430
?1÷ユーロドル1.3464=0.7427?100÷ユーロ円166.75=0.5997(?0.7427−?0.5997)=0.1430⇒ドル円123.85売り。
先週の強い売りシグナル123.45から、今週は更に強い売りシグナル123.85が点灯している。円キャリーが進行中の段階であるが、上値トライには要警戒とも言えるレベルである。
過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1370(121.50売り)→0.1093(116.85買い)→0.1180(118.30売りclose)→0.1072(116.65買い)→0.1154(118.10売りclose)→0.1290(121.10売り)→0.1329(121.75売り継続)→0.1420(121.75売り継続)→0.1420(123.45売り)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅35円 現状乖離幅41.75⇒42.90)
先々週の1.3368の買いシグナルから様子見が続いており、先週の1.3382の様子見から上昇を見せたが、今週も依然として1.3464で様子見が継続している。過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3192売り少なめ→1.3318売り→1.3536売り→1.3651売り→1.3590売り→1.3525売り継続→1.3509売り継続→1.3445売り継続→1.3440売り継続→1.3368買いclose様子見→1.3382様子見
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅25円 現状乖離幅(19.55⇒18.95円)
先週の様子見シグナル0.8416から、弱冠上昇を見せており、弱めの売りシグナル0.8470が点灯している。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750買い→0.7872売りclose→0.7917売り→0.7810買いclose→0.8164売り→0.8335売り→0.8374売り→0.8237売り継続→0.8181買いclose→0.8444売り→0.8416買いclose 様子見
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅35円 現状乖離幅30.30⇒29.35円)
先週はポジション解消の0.7543買いから様子見に突入していたが、今週はNZ中銀の介入レベルでもある0.7630で弱めの売りシグナルが点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。0.6179買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7203売り→0.7370売り→0.7473売り→0.7424売り→0.7359売り→0.7257買いclose→0.7643売り→0.7543買いclose
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅7.85⇒8.05円)
先週のポジション解消レベル1.0679に引き続き、今週も1.0695の様子見が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1725売り←1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162売り→1.1078買い→1.1104様子見→1.0885買い→1.0798買い継続→1.0613買い→1.0610買い継続→1.0679売りclose
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅10円 現状乖離幅3.05⇒0.15円)
ドル円123.85x?=247.70−ポンド円247.55=0.15円 
先週はポジション解消買い1.9696が点灯し、様子見に突入していたが、今週は1.9988で売りシグナルが点灯している。
過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。 1.9808売り→1.9291買いclose→1.9736売り→1.9499買いclose→1.9636売り→1.9105買いclose→1.9435売り→1.9686売り→1.9870売り→2.0021売り→1.9813売り継続→1.9748買いclose→1.9836売り→1.9696買いclose様子見
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅24.05→23.15円)
先週の強い売りシグナル1.2420から、週半ばでは1.25前後のかなり強めの売りシグナルも点灯したが、今週は急落を見せている。スイスフランの売られすぎが解消に転じているが、引き続き売りシグナル1.2299が点灯している。
過去の週間の売買シグナルは以下の通り。1.2532売り→1.2478買いclose→1.2166買い→1.2349売りclose→1.2069買い→1.2194売りclose→1.2151買い→1.2081買い→1.2057買い→1.2186買い継続→1.2270売りclose→1.2302売り弱め→1.2354売り→1.2420売り
★豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅10.75→10.40円)
オセアニア通貨の動きは激しいが、裁定は働いており、瞬間的な乖離幅の縮小と拡大と繰返しており、売買の目安としては9.50以下と11.50円以上になった際の売買が効率的である。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。
(注意点*クロス円の売買には円相当額を一致させる、または豪ドル/NZドルの直接取引)
16.00→13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→11.45→9.40→11.30→11.45→11.00→11.05→11.45→11.50→10.70→10.45→10.30→11.80→11.30→11.25→10.75→9.85→10.75円。
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(265円以下は円高&280円以上は円安の目安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円、 2007年度第1四半期276円、そして、4月279円、5月平均284円の超円安傾向。6月第1週は286.20、第2週は284.50、第3週は288.65、そして、今週はドル円123.85+ユーロ円166.75=290.60、とうとう290円台まで到達しており、史上最高値を更新中。
● 欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離75円 現状乖離幅78.65⇒80.80円』
先週は0.6775で様子見に再突入しており、今週も動きは見られず、0.6736で様子見が継続中。過去数週間の売買シグナルは以下の通り。0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6859売り→0.6778買いclose→0.6781様子見→0.6787売り弱め→0.6775様子見
ユーロスイス『平均乖離60円 現状乖離幅65.80⇒66.05円』
先週は弱い売りシグナル1.6620が点灯していたが、今週は1.6559の解消の買いシグナルが点灯している。そして、1.6559での弱い買いシグナルが点灯している。過去数週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.5811売り→1.5607買いclose→1.5945売り→1.5835買いclose→1.6195売り→1.6073買いclose→1.6439売り→1.6417買いclose→1.6575売り→1.6509買いclose→1.6534様子見→1.6620売り→1.6559買いclose
ポンドスイス『平均乖離40円 現状乖離幅45.05⇒46.15円』
先週は2.4533の弱めの売りシグナルであったが、途中経過では2.47台まで上昇し、かなり強い売りシグナルが点灯したが、今週は2.4583レベルまで戻しており、様子見状態になっている。過去の数週間の売買シグナルは以下の通り。2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4208買い→2.4235売りclose→2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.3918買い→2.4143買い継続→2.4230買い→2.4357売りclose→2.4383様子見→2.4332様子見→2.4533弱い売り
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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