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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

キャリートレードの2極化 低金利の円安・スイス安! 

先週の円独歩安は米金利の利下げ観測が大幅に後退し、俄かに米長期金利の上昇が急であったことが起因しているが、最終的には日銀金融政策決定会合後の福井日銀総裁の軟弱な発言に尽きるとも言えるだろう。 市場は事前にタカ派的な見解を予想していただけに、失望感に近いストップロスの円売りと共に、円キャリートレードそのものに安心感を呼び戻したとも言える市場である。 
▲総体的には米長期金利の上昇が今後の米景況感に結び付くかは不透明であるが、表面的には米経済減速懸念も緩やかになり、各国の利上げ競争に参入した感も否めない。 同時に年度内の米金利据え置きが濃厚という憶測が先んじており、今週も米ドル優位の相場が続くと思われる。一方、長金利上昇がサブプライム問題に再度発展することも予想され、今週の米住宅関連指標には要注意であろう。

▲米金利の上昇を受けながら、機関投資家並びにヘッジファンドが他の通貨から米ドルへの回帰も考慮しなければならない状況にあり、米ドルの底堅い状況が続くものと思われる。 今後、円の利上げが実施されたとしても、1%台に乗せるには相当の時間を要する状況にあり、金利格差を背景にした中期的なキャリートレードの進捗状況がなかなか衰えを見せていないのが現状である。 再三、噂になるキャリートレード解消話も一過性に終わる確率が高まるのも不可思議でなく、今後米ドル主導の円キャリーとなれば、他の通貨への影響も甚大ではなく、米ドル優位のシナリオが必要になるが、円のレベルが更に流動的になる恐れもあり、ドル安と円安相場から、ドル高・円高のシナリオも一考しなければならない程、難易度が高まっている。しかしながら、今回の円安により、ドル円の上限を危惧しなければならず、中国人民元と同様に貿易摩擦の対象になる可能性も強く、主要3大通貨間のアンバランスから判断すると、円売りにも限界が生じやすいと言えるだろう。
▲IMMシカゴ先物通貨(投機筋)の状況においては、円ショートは相変わらず高水準の12万枚台を示しているが、ユーロ及びポンドのロングが大幅に減少しており、米ドルショートも減少しているように、米経済の減速懸念が払拭されれば、米ドルへシフトにつながり、同時に円キャリトレードも米ドルを交えた攻防戦が予想される。米ドルへのサポートになるかは定かではないが、確実にドル円のキャリートレードに弾みがつきやすい情勢であることにはかわりがない。勢いからはもう一段の円安期待が高まる状況である。
今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)****
作成年月日 2007年6月17日(日)週末の終値ベース
円が独歩安の傾向を見せており、特に対米ドルでは急速に円安が進行したことが起因した関係上、米ドルの回復基調が鮮明になっている。米ドルは各通貨に対してもニュートラルなレベルまでに達している。しかしながら、マーケットにはキャリートレードの拡大基調が如実に現れており、低金利通貨に対しては米ドルの強さが発揮されている状態である。 反面、円安が進行したことにより米ドルは、他の通貨比較では、バランスが拮抗している状況であり、全般的には様子見が先行している。
但し、ドル円とドルスイスの両通貨に対しては米ドルの買堅調さが窺われる。本チャートを作成にしてから、2年半の歳月が経過しているが、米ドルを軸として、低金利通貨と高金利通貨の2極化が鮮明なっている状況は珍しいケースである。  注意事項:今日のようなキャリートレード中心の売買に関しては、高金利通貨主体のマーケットになりますが、米ドルが主流になるキャリートレード熱が向上すると、他の通貨への影響も発生するだけに、米ドルの見直し時期になっていると思われ、通常の乖離幅よりも拡大した際に売買を始動することが賢明であろう。金利格差がある場合にはチャート上の乖離幅が (高金利ロング、低金利のショート)少ない状態で実施してもリスクは限定的になるが、反面、金利格差がアゲインスト(支払い)になるケースでは乖離幅を通常より拡大した時点での売買を勧める。
通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱 米ドル売り
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1337→1420。
先週の売りシグナル121.75から、一気に円売りが加速して、今週は強い売りシグナル123.45円が点灯している。キャリートレード(支払い手数料)の影響を受けないレベルまで上昇しており、123円台から125円までのナンピン売りシナリオに妙味が生じている。
今週の乖離幅の試算=?1÷ユーロドル1.3382=0.7473?100÷ユーロ円165.20=0.6053(?0.7473−?0.6053)=0.1420=ドル円123.45売り。
過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1370(121.50売り)→0.1093(116.85買い)→0.1180(118.30売りclose)→0.1072(116.65買い)→0.1154(118.10売りclose)→0.1236(120.20売り少なめ)→0.1290(121.10売り)→0.1329(121.75売り)→0.1346(122.10売り)→0.1420(121.75売り継続)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅35円 現状乖離幅41.00⇒41.75)
先週は1.3368の買いシグナルにより、ポジション解消となったが、今週は弱冠上昇を見せているが、依然として、1.3382で様子見が継続している。過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3192売り少なめ→1.3318売り→1.3536売り→1.3651売り→1.3590売り→1.3525売り継続→1.3509売り継続→1.3445売り継続→1.3440売り継続→1.3368買いclose様子見へ
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅25円 現状乖離幅(18.95⇒19.55円)
先週の野売りシグナル0.8444から、早くもポジション解消の買いシグナル0.8416が点灯しており、様子見に突入している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750買い→0.7872売りclose→0.7917売り→0.7810買いclose→0.8164売り→0.8335売り→0.8374売り→0.8237売り継続→0.8181買いclose→0.8329売り弱め→0.8444売り
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅35円 現状乖離幅28.80⇒30.30円)
先週0.7643の売りシグナルから、今週はポジション解消の0.7543買いシグナルが点灯しており、様子見に突入している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6179買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7203売り→0.7370売り→0.7473売り→0.7424売り→0.7359売り→0.7257買いclose→0.7449売り少なめ→0.7643売り.
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅7.00⇒7.85円)
先週の買いシグナル1.0610から、今週はポジション解消の売りシグナル1.0679が転倒しており、様子見に突入している。過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1725売り←1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162買い→1.1078買い→1.1104買い継続→1.0885買い→1.0798買い継続→1.0613買い→1.0610買い→
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅10円 現状乖離幅3.70⇒3.05円)
ドル円123.45=246.90−ポンド円243.85=3.05円 
先週は弱めの売りシグナル1.9820から、今週は早くもポジション解消買い1.9696が点灯しており、様子見に突入している。 過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.9808売り→1.9291買いclose→1.9736売り→1.9499買いclose→1.9636売り→1.9105買いclose→1.9435売り→1.9686売り→1.9870売り→2.0021売り→1.9921売り継続→1.9813売り継続→1.9748買いclose→1.9836売り→1.9820売り継続→1.9696買いclose
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅23.20→24.05円)
先週の売りシグナル1.2354から、今週も引き続き売りシグナル1.2420が点灯している。ドル円以外ではスイスフランの売られすぎが生じている。
過去の週間の売買シグナルは以下の通り。1.2532売り→1.2478買いclose→1.2166買い→1.2349売りclose→1.2069買い→1.2194売りclose→1.2151買い→1.2081買い→1.2057買い→1.2186買い継続→1.2270売りclose→1.2302売り弱め→1.2354売り
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅9.85→10.75円)
先週からは乖離幅は拡大しているが、未だに不充分な乖離幅であり、11.50円までの乖離までは様子見状態が続く。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。
(注意点*クロス円の売買には円相当額を一致させる、または豪ドル/NZドルの直接取引)
16.00→13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→11.45→9.40→11.30→11.45→11.00→11.05→11.45→11.50→10.70→10.45→10.30→11.80→11.30→11.25→10.75→9.85円。
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(265円以下は円高&275円以上は円安の目安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円、 2007年度第1四半期276円、そして、4月279円、5月平均284円の超円安傾向。
6月第1週は286.20、第2週は284.50、今週はドル円123.45+ユーロ円165.20=288.65と史上最高値を更新中。280円前後がキャリートレードの目安。
● 欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離75円 現状乖離幅77.05⇒78.65円』
先週は弱い売りシグナル0.6787であったが、今週は0.6775で様子見段階にて再突入しており、様子見が継続中。過去数週間の売買シグナルは以下の通り。0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6859売り→0.6778買いclose→0.6781様子見→0.6787売り弱め
ユーロスイス『平均乖離60円 現状乖離幅64.20⇒65.80円』
先週は様子見1.6515から、今週は1.6620までの上昇をみせているが、弱い売りシグナル1.6620が点灯している。しかし、基本的には様子見レベルに近く、少な目の売りを勧める。過去数週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.5811売り→1.5607買いclose→1.5945売り→1.5835買いclose→1.6195売り→1.6073買いclose→1.6439売り→1.6417買いclose→1.6575売り→1.6509買いclose→1.6534様子見→1.6515様子見
ポンドスイス『平均乖離40円 現状乖離幅42.70⇒45.05円』
先週は2.4332で様子見であったが、今週は2.4533で売りシグナルが点灯している。しかし、ポンド売りスイス買いの際にはキャリートレードの関係上、もう一段の乖離が生じてからの売りを勧める。過去の数週間の売買シグナルは以下の通り。2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4208買い→2.4235売りclose→2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.3918買い→2.4143買い継続→2.4230買い→2.4357売りclose→2.4383様子見→2.4332様子見
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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