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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

日米欧 3大通貨拮抗! 買われ過ぎの有資源国通貨? 

先週は米長期金利の上昇と共に米利下げ観測が後退し、同時に株価も続落傾向を見せたが、週末には金利上昇に一服感が生じたことにより、NYダウも堅調さを取り戻して終了している。 今週も金利と株価に振り回される相場展開と言えるであろうが、キャリートレードの巻き戻し懸念も加味するとなると、掴み切れない相場展開が待ち受けており、 フットワークを重視される相場展開と判断して、終始ポジションの縮小を念頭にして臨むことが賢明であろう。
▼先週末には米貿易赤字が600億ドルを大幅に割ったことにより、しばらく続いた米経済減速観測が後退し、米経済のソフトランディングが着実に最終章に向かっていると思われるが、相変わらず、対中後貿易は200億ドルに迫るほど拡大基調にあることからも一喜一憂は出来ない状態が続くと思われるが、先の米中経済対話の進捗状況から、相互間の改善期待も予想されており、遅かれ早かれ米貿易赤字は削減方向にあると言えるだろう。
そして、注目される米長期金利の上昇が急であり、短期金利との逆イールド現象が改善される5%台を維持する情勢となれば、米債投資に向けて、一時の米ドル離れが後退することも予想されるため、米ドルへの回帰が一段と早まる可能性も生じている。 米経済の不透明さは続くが、段階的には米ドル上昇の舞台裏が整い始めているとも言えるだろう。
▼一方、欧州経済も好調を維持しており、先の利上げで当面の目標値4%に達しており、ユーロ圏では未だに利上げに関しては温度差があるが、少なくとも年内の再利上げが有力視されており、米金利を追従する姿勢が見られるため、ユーロドル1.33前後のレベルではユーロドルの堅調さも視野に入れるべきであろう。
▼先週はキャリートレードの巻き戻しの兆候を見せたことから、クロス円全体に軟調が見られ、市場心理としては、キャリートレードの手仕舞いには神経質である面を見せたが、早くも渡辺財務官より、キャリ−トレードの巻き戻しの恐れを否定する発言もあったが、想定以上に拡大したキャリートレードの牽制発言の一環であろうが、今後も機関投資家の動向には要注意としか言えない段階であるが、常に円高に対するストップロスを怠れない状況である。
▼今週は日銀金融政策決定会合を14から15日に控えており、世界的にも利上げの風潮が強まっており、金利正常化に向けて一進一退の状況が窺われる。出遅れ感のある日経平均株価との兼ね合いもあるが、参議院選挙を意識するため、即利上げとはいかないだろうが、早期利上げに関しての試金石とも言われる週と考えれば、過度な円売りを手控えることが賢明であろう。
▼ロイター通信によれば、IMMシカゴ先物通貨(投機筋)の状況は米ドルショートが主要6通貨に対して138億ドルになり、再び前週86億ドルから増加している状況を踏まえると投機筋の動きにも不安定さが生じている模様。但し、1ヶ月前の統計では200億ドル超の米ドルショートの実体があり、数字だけで投機筋の動向並びに米ドルの方向性を探る危険性もあり、繰り返しになるが、ポジションの縮小で対応することが賢明であろう。
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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年6月10日(日)週末の終値ベース
先週は米ドルの回復基調が鮮明であり、特に主要通貨であるドル円、ユーロドル、そして、ポンドに対しては強含みの展開を見せており、米ドルは、ほぼニュートラルな水準まで達している。しばらく続いた強いユーロドルが落ち着きを見せており、ユーロドル1.33台半ばを一つの折り返し点なるかを注目したい相場展開である。次の米ドルの展開並びに今後の方向性を確認するためには、ユーロドルの下値1.33割れになるか、それとも再びユーロ上昇のきっかけになる1.34台の状況をなるかを見極める必要性が生じている。
これらの事はドル円およびポンドにも少なからずとも共通した点であることも強調したい。一方、有資源国通貨であるオセアニアとカナダドルに対しては米ドルが軟調気味に推移しており、キャリートレードの影響が根底にあることから、上記通貨の堅調さが窺えるが、2極化し手いる局面であるが、今週はAUD/USD、NZD/USD、そしてUSD/CANに対して、米ドルの上昇が期待されるため、上記通貨のショートには妙味が生じている。
欧州主要3大通貨のバランスは今週もしっかりしている。 ユーロ/ポンドにおいては売り余地が見られるが、乖離幅としては小さく、相対的な様子見が継続している。
通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます。
新外為の森US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱 米ドル売り弱め
ドル円(ユーロドル⇔ユーロ円)ユーロから見るドル円相場)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1346⇒0.1337
先週の強い売りシグナル122.10から、週半ばでは121円割れの展開も見せたが、戻りも早く、今週も引き続き売りシグナル121.75円が点灯している。
今週の乖離幅の試算=?1÷ユーロドル1.33368=0.7481?100÷ユーロ円162.75=0.6144(?0.7481−?0.6144)=0.1337=ドル円121.75売り。過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1370(121.50売り)→0.1093(116.85買い)→0.1180(118.30売りclose)→0.1072(116.65買い)→0.1154(118.10売りclose)→0.1236(120.20売り少なめ)→0.1290(121.10売り)→0.1329(121.75売り)→0.1346(122.10売り)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅35円 現状乖離幅42.00⇒41.00円)
1.36台からの売りシグナルが継続していたが、先週の売りシグナル1.3440を最後にポジション解消局面に到達し、今週は1.3368の買いシグナルでポジション解消となり、様子見レベルにている。過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3192売り少なめ→1.3318売り→1.3536売り→1.3651売り→1.3590売り→1.3525売り継続→1.3509売り継続→1.3445(一部買い戻し)→1.3440売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅25円 現状乖離幅(20.40⇒18.95円)
先々週はポジション解消レベル0.8181に達し、落着きを見せていたが、先週の弱い売りシグナル0.8329から、今週は通常の売りシグナル0.8444が点灯している。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750買い→0.7872売りclose→0.7917売り→0.7810買いclose→0.8164売り→0.8335売り→0.8374売り継続→0.8237売り継続→0.8181買いclose→0.8329売り弱め
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅35円 現状乖離幅31.15⇒28.80円)
先々週0.7257のポジション解消レベルに達したが、先週の売りシグナル0.7449か強めの売りシグナル0.7643が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6179買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7203売り→0.7370売り→0.7473売り→0.7424売り→0.7359売り→0.7304売り継続→0.7257買いclose→0.7449売り.
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅7.05⇒7.00円)
先週の買いシグナル1.0613からは進展は見られず、今週もほぼ同じレベルの買いシグナル1.0613が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1725売り←1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162買い→1.1078買い→1.1104買い継続→1.0885買い→1.0798買い継続→1.0613買い
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅10円 現状乖離幅2.20⇒3.70円)
ドル円121.75=243.50−ポンド円239.80=3.70円 先週の弱めの売りシグナル1.9820から、今週はポジション解消買い1.9696が点灯しており、様子見に突入している。 過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.9808売り→1.9291買いclose→1.9736売り→1.9499買いclose→1.9636売り→1.9105買いclose→1.9435売り→1.9686売り→1.9870売り→2.0021売り→1.9979売り継続→1.9921売り継続→1.9813売り継続→1.9748買いclose様子見→1.9836売り
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅22.85→23.20円)
先週の弱い売りシグナル1.2302から、通常の売りシグナル1.2354が点灯している。
過去の週間の売買シグナルは以下の通り。1.2532売り→1.2478買いclose→1.2166買い→1.2349売りclose→1.2069買い→1.2194売りclose→1.2151買い→1.2081買い→1.2057買い→1.2111買い継続→1.2186買い継続→1.2270売りclose→1.2302売り弱め
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅10.75→9.85円)
先週はポジション解消レベル10.75円の乖離幅に達していたが、今週は久しぶりに乖離幅10円割れを見せている。しかし、チャート上では引き続き様子見レベルで推移している。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。
(注意点*クロス円の売買には円相当額を一致させる、または豪ドル/NZドルの直接取引)
16.00→13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→11.45→9.40→11.30→11.45→11.00→11.05→11.45→11.50→10.70→10.45→10.30→11.80→11.30→11.25円→10.75
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(265円以下は円高&275円以上は円安の目安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円、 2007年度第1四半期276円、そして、4月279円、5月平均284円の超円安傾向。
6月第1週は286.20、今週はドル円121.75+ユーロ円162.75=284.50と高水準の円安で展開している。280円割れの状況⇒キャリートレード解消懸念発生。275円レベルはキャリーリートレード手仕舞い。
欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離75円 現状乖離幅77.90⇒77.05円』
先週は0.6781で様子見であったが、レベル的には変化が見られないが、今週は弱い売りシグナルが0.6787で点灯している。過去数週間の売買シグナルは以下の通り。
0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6787売り→0.6859売り→0.6805売り継続→0.6833売り→0.6778買いclose→0.6781様子見
ユーロスイス『平均乖離60円 現状乖離幅64.85⇒64.20円』
先週の様子見1.6534から、週半ばでは微妙に乱高下したが、最終的には今週も1.6515での様子見が継続している。週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.5811売り→1.5607買いclose→1.5945売り→1.5835買いclose→1.6088様子見→1.6195売り→1.6073買いclose→1.6351売り→1.6439売り→1.6417買いclose→1.6575売り→1.6509買いclose→1.6534様子見
ポンドスイス『平均乖離40円 現状乖離幅43.50⇒42.70円』
先々週のポジション解消売りから、動きは制約されており、先週の2.4383の様子見から変化は無く、今週も引き続き2.4332で様子見状態である。過去の数週間の売買シグナルは以下の通り。2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4208買い→2.4235売りclose→2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.3918買い→2.4187買い継続→2.4143買い継続→2.4230買い2.4230→2.4357売りclose→2.4383様子見
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 
★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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