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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円安はどこまで続く、金利優先か株高優先か!

先週末の米雇用統計が事前予想を上回り、ドル円も4年半ぶりに122円台に乗せて戻ってきたが、一気に上値トライを試みるには至らない状況である。 市場は米経済のソフトランディンの進捗状況は良好と見なして、米ドルの堅調さが窺える。 米雇用統計は良好でも米経済の不透明感は払拭されないが、米株式市場が牽引役となり、もう一段の上昇を見せ始めている。 反面、米長期金利が軒並み5%に接近しており、利下げ観測が遠退いたことにより、NY株式市場の今後の頭打ちも懸念されているが、相対的には長短金利の逆イールド現象が縮小を見せており、米経済の正常化にむけて、米ドルの堅調さを取り戻している状況と言えるだろう。
米失業率は4.5%と前回と変わらず、主要国の失業率だけを捉えれば、景況感が増しているユーロ圏では、依然として高水準の7.1%であり、雇用情勢に関してはユーロ圏諸国のバラツキが見えると言われる。 一方、デフレ経済から抜け出せない日本の失業率が3.8%と信じがたい数字であるが、一言で言えば数字のマジックであり、失業率のカウント法に差異がある日米欧の失業率では比較にならないのが現実である。 日本の労働調査によれば、完全失業率の定義は米国と変わらないらしいが、実際には日本の失業率は優に5%を超えていると言われる所以でもあろう。

▼金利格差が一向に縮小しない円キャリートレード拡大への警戒心は強いが、それ以上に期待感が上回る相場環境である。 円キャリー取引が20兆円とも50兆円とも言われ、数的には実体が掴み切れていない状態でもあり、ましてや、1年や2年で金利差が縮小されない背景では世界的規模に拡大しているキャリートレードの終焉には程遠いのが実感であろう。 反面、一向に歯止めがかからない円安基調に貿易摩擦が確実に忍び寄っていることに間違いはなく、ユーロ誕生時にはユーロ円120円、その後の急落で80円台まで突入したユーロ円が、今では2倍近い160円台で推移している経緯は誰しもが説明できないところであるが、円売りに安心感を覚え始めた市場には要注意だろう。
▼今週は欧州中銀金融政策で利上げが濃厚なユーロ中心の動きになると思われるが、金利据え置きが予想されているポンド及びオセアニア通貨の金利動向にも関心が寄せられる市場である。ただし、ユーロ金利据え置きの可能性も全否定できないだけに、既に織り込まれた利上げに主眼を置くよりは、据え置きシナリオに妙味があるかもしれない。またはトリシェECB総裁発言で利上げの打ち止め感でも浮上すれば、ユーロの一段下げも要警戒である。ドル円に関しては、金利面では二進も三進もいかない以上は、更なる円安相場も想定されるが、ドル円122円台からの輸出企業の売りと利益確定に押し戻される展開も考慮しなければならない。しかし、今週も円買い材料は不足しており、段階的な円売り志向が強い相場であることから、ドル円ロングを勧めるが過度な円安期待は禁物と考えるべきであろう。難易度は増すばかりであるが、ポジションの縮小を優先して、短期トレードに徹する事を勧める。

今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年6月03日(日)週末の終値ベース本チャート上では、先週までは過小評価されていた米ドルが順調に回復基調にあり、現状ではドル円を除けば、ほぼ主要全通貨に対してニュートラルなレベルまで接近している。 カナダドルおよびオセアニアの有資源国通貨と高金利通貨の上昇が急ではあるが、チャート上では想定範囲内の上昇に留まっており、もう一段の上昇が発生すれば、通常の米ドル買いシグナルが発生する。
主要3大通貨では米ドルの買われすぎが目立ち始めているが、米ドルの上昇過程にあるため、売り急ぐ必要はないが、もう一段の上昇シグナルを待ってからの米ドル売りに転じることが基本になる。 今現在のドル円122円台でも通常の売りシグナルが発生しているが、一方、ユーロドルに対しては弱めの米ドル買いシグナルが発生しているため、米ドルの売りレベルとしては、ドル円122円半ば以上、そして、ユーロドル1.34割れからの米ドル売りであればリスク限定局面と思われる。 今週も欧州主要3大通貨のバランスが形成されており、本チャートでも指摘してきたように、現状レベルで様子見が継続している。ユーロポンド0.6780、ユーロスイス1.6500、そして、ポンドスイス2.4380レベルで均衡が保たれている。
尚、注意点として、ドル円を含めて、高金利通貨を売る際にはキャリートレードの基本的概念「スワップ手数料の支払い」を考慮して、充分な乖離を待ってからの始動を勧める。通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱 米ドル売り弱め
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)ユーロから見るドル円相場)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1329⇒0.1346
先週の強めの売りシグナル121.75から、今週も強い売りシグナル122.10が点灯している。
今週の乖離幅の試算=?1÷ユーロドル1.3440=0.7440?100÷ユーロ円164.10=0.6094(0.7440−0.6094)=0.1346=ドル円122.10売り。過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買いclose)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1370(121.50売り)→0.1093(116.85買い)→0.1180(118.30売りclose)→0.1072(116.65買い)→0.1154(118.10売りclose)→0.1236(120.20売り)→0.1240(120.15売り継続)→0.1290(121.10売り)→0.1329(121.75売り)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅35円 現状乖離幅41.95⇒42.00円)
1.36台からの売りシグナルが継続しており、先週1.3445の弱めの売りシグナルから、週末には瞬間的に1.3400割れをつけており、ポジション解消レベルに到達している。今週は一部買戻しも含めて、再び弱めの売りシグナル1.3440が点灯している。過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3192売り→1.3318売り→1.3536売り→1.3651売り→1.3590売り→1.3525売り継続→1.3509→1.3445(一部買い戻し)
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅25円 現状乖離幅(22.15⇒20.40円)
0.83台後半から強い売りが継続していたが、先週は最終局面であるポジション解消レベル0.8181買いまで到達したが、今週は再び、一転して通常の売りシグナル0.8329が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7420買い→0.7509売りclose→0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750買い→0.7872売りclose→0.7917売り→0.7810買いclose→0.8164売り→0.8335売り→0.8374売り継続→0.8319売り継続→0.8237売り継続→0.8181買いclose
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅35円 現状乖離幅33.40⇒31.15円)
0.74台から継続していた強い売りシグナルも先週は0.7257の一部ポジション解消レベルに達したが、今週は再び上昇し、0.7449の売りシグナルが点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6179買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7203売り→0.7370売り→0.7473売り→0.7424売り→0.7359売り→0.7304売り継続→0.7257買いclose.
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅9.00⇒7.05円)
先週は買いシグナル1.0798が点灯していたが、今週は更に強い買いシグナル1.0613が点灯している。乖離幅としては不充分であるが、当面の最終買い局面を1.05前後に定め、1.05割れでは損切りの売りを想定。
過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1725売り←1.1855売り→1.1719売り継続→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1613売り→1.1379買いclose→1.1235買い→1.1162買い継続→1.1078買い→1.1104買い継続→1.0885買い→1.0798買い継続
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅10円 現状乖離幅2.00⇒2.20円)
ドル円122.10=244.20−ポンド円242.00=2.20円 先週の1.9836の売りシグナルから変化は見られず、今週も弱めの売りシグナル1.9820が点灯している。 過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.9808売り→1.9291買いclose→1.9736売り→1.9499買いclose→1.9636売り→1.9105買いclose→1.9435売り→1.9686売り→1.9870売り→2.0021売り→1.9979売り継続→1.9921売り継続→1.9813売り継続→1.9748買いclose様子見→1.9836売り
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅22.60→22.85円)
先週の様子見レベル1.2779から弱冠の上昇を見せているが、基本的には様子見レベルの売りシグナル1.2302が点灯している。
過去の週間の売買シグナルは以下の通り。
1.2532売り→1.2478買いclose→1.2166買い→1.2349売りclose→1.2069買い→1.2194売りclose→1.2151買い→1.2081買い→1.2057買い→1.2111買い継続→1.2186買い継続→1.2270売りclose→1.2279様子見
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅11.25→10.75円)
先週は弱めの豪ドル円売り/NZ円買いのシグナルが点灯していたが、今週はポジション解消レベル10.75円の乖離幅に達しており、様子見状態が続いている。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。
注意点*クロス円の売買には円相当額を一致させること、または豪ドル/NZドルの直接取引
9.30→11.80→16.00→13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→10.85→9.95→10.80→11.45→9.40→11.30→10.70→10.30→10.95→11.45→11.00→11.05→11.45→11.50→10.70→10.45→10.30→11.80→11.30→11.25円
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&275円以上は円安の目安)
過去の月平均は2006年度4月260.42 5月255.44 6月259.28 7月262.43 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。 2007年度1月275.78円 2月278.66円、3月平均272.8円、4月平均279.16、そして5月平均は284.10と円安警戒。
5月は283.55、282.70、先週は285.45、今週はドル円122.10+ユーロ円164.10=286.20と先週に引き続き史上最高値更新、キャリートレード進行中。
欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離75円 現状乖離幅77.80⇒77.90円』
先週はポジション解消の買いシグナル0.6778が点灯したが、今週は変化が見られず、0.6781で様子見が継続中。
過去数週間の売買シグナルは以下の通り。0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6787売り→0.6859売り→0.6805売り継続→0.6833売り→0.6826売り継続→0.6778買いclose
▲ユーロスイス『平均乖離60円 現状乖離幅64.55⇒64.85円』
先週はポジション解消の買いシグナル1.6509が点灯し、様子見に突入していたが、今週も1.6534で様子見が継続している。
週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.5811売り→1.5607買いclose→1.5945売り→1.5835買いclose→1.6088様子見→1.6195売り→1.6073買いclose→1.6200様子見→1.6351売り→1.6439売り→1.6417買いclose→1.6481様子見→1.6575売り→1.6509買いclose様子見
ポンドスイス『平均乖離40円 現状乖離幅43.20⇒43.50円』
先週は2.34台のロングポジションを解消する売りシグナル2.4357が点灯し、様子見に突入したが、今週も引き続き様子見レベル2.4383で推移している。過去の数週間の売買シグナルは以下の通り。
2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4208買い→2.4235売りclose→2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.3918買い→2.4187買い継続→2.4126買い継続→2.4143買い継続→2.4230買い2.4230→2.4357売りclose様子見へ
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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