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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドルの反撃大勢・・・接近中?

先週末の米雇用統計が予測を下回ったことにより、米ドル売りが一時的には進んだが、米ドルショートを拡大するには至らず、結果的には米ドルの調整買いが散見された市場であった。心理的には米ドルショートの概念が浸透しているマーケットではあるが、調整局面の米ドル買いも散見されるように、米ドルの反動を警戒しているマーケットである事は間違いないであろう。
米雇用統計だけでは、不透明な米経済の今後を占うに至らず、年度内の米利下げ観測も依然として根強いものがあるが、原油価格の高止まりもあり、インフレリスクが払拭されない状況下では、米金利の利上げも一考しなければならないのが素直な見解であろう。
▼今後も米済の不透明さが解消できない限りは、金利面において一喜一憂する展開は避けて通れず、今週は日本時間の10日には据え置きが確実視されているFOMC政策金利発表があり、英国では米金利を0.25%凌ぐと思われるBOE政策金利の利上げが濃厚であり、そして、ユーロ圏では据え置きが予測されてはいるが、来月には利上げが確実視されている欧州中銀金融政策発表が待ち受けている。金利面においても劣勢が続く米ドルであるが、反面、ポンド及びユーロには最終章の利上げ論も浮上しており、そして、オセアニア通貨にも同様なことが言えるように、利上げに対するデメリットも生じていると言えよう。
いずれにしても、主要3大通貨の一端である円金利の低迷が改善しない以上は、世界的なキャリートレード現象の収束が見えにくいのが現実であり、為替相場の難易度に拍車をかけているとも言えるだろう。

▼いずれにしても、今週は各国の金利動向に視点が向けられる市場であるが、米欧の政策金利は据え置きが確実視されており、唯一英国の利上げが期待されるが、既に1ポンド2ドルをつけた段階で高値警戒感があり、米国金利を凌ぐ金利とは言いながらも、マーケットに与える影響は限定的でだろう。先週のユーロ圏の要人発言にもあるように、ユーロ圏の景気は循環的な回復過程であり、内需拡大による経済効果が発揮されている状況を考えると、現段階ではユーロ高に異論を唱えているフランスは軽視しても良いだろうが、ユ−ロ圏でも内部バブルから外部バブルの兆しもあり、米ドル安と円安を歓迎できなくなる日も遠くはないだろう。

▼シカゴ通貨先物(投機筋)の円ショートが再び10万枚を突破し、ドル円120円台を裏付けるような展開である。ユーロは依然として高水準のロング10万枚台を維持しており、相場全体としては、低金利の円安には分が悪い状況が継続している模様。但し、米ドルと連動性のあるカナダドルがロングに移行しており、米ドルショートと円ショートにピーク感も生じる時期だけに、ドル売りと円売りにも警戒を要する相場展開ではある。

今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年5月06日(日)週末の終値ベース
先週末の米雇用統計の数字自体は弱いが、過度な米ドル安の進行に歯止めが掛かる傾向が見られる。 先週の本チャートでも指摘してきたように、米ドルショートの調整局面が必要であり、米ドル売りが一方的に加速しない状況とも言える。 未だに不安定な米ドルであるが、チャート上ではユーロドル1.37とポンド2.00前後の水準には厳しい抵抗線が浮上しており、もう一段の米ドルの調整買いが要求されている。 一方、ドル円が120円台に乗せたことにより、対円では米ドルの上値は限定的ではあるが、先週と同様に、他の通貨に関しては、総体的に米ドルのナンピン買いが有効な時期である。特にユーロ、ポンド、そして、オセアニア通貨に対しては米ドルのナンピン買い(分散投資)続行が可能なレベルにあり、もう一段の米ドル買いが見込まれる。
尚『通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます』
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱 米ドル買い継続
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)ユーロから見るドル円相場)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1198⇒0.1236
先週の弱い売りシグナル119.55から、今週は通常の売りシグナル120.20が点灯している。現状からのナンピン売りであればリスクも限定的な状況であり、少な目からの分散投資に妙味がある。今週の乖離幅の試算=?1÷ユーロドル1.3590=0.7358?100÷ユーロ円163.35=0.6122⇒(0.7358−0.6122)0.1236=ドル円120.20売り。過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買いclose)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買いclose)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1370(121.50売り)→0.1093(116.85買い)→0.1180(118.30売りclose)→0.1072(116.65買い)→0.1154(118.10売りclose)→0.1207(119.25売り)→0.1159(118.70売り継続)→0.1198(119.55売り)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅33円 現状乖離幅43.65⇒43.15円)
先週の強い売りシグナル1.3651から、弱冠下げ基調ではあるが、今週も引き続き、売りシグナル1.3590が点灯している。過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3192売り→1.3318売り→1.13355売り継続→1.3375売り継続→1.3536売り→1.3589売り継続→1.3651売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(20.35→21.45円)
先々週の強い売りシグナル0.8374から、先週も強い売りシグナル0.8298が点灯していたが、今週は通常レベルの売りシグナル0.8215が点灯している。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7420買い→0.7509売りclose→0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750買い→0.7872売りclose→0.7917売り→0.7810買いclose→0.7964売り→0.8048売り→8090売り継続→0.8164売り→0.8335売り→0.8374売り→0.8298売り
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅30.80⇒31.75円)
先々週の最終段階の売りシグナル0.7473から、先週は0.7424の強い売りシグナルに変更されたが、今週も0.7359の売りシグナルが点灯しており、下げ基調を早めている。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6179買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7066売り→0.7117売り継続→0.7152継続→0.7203売り→0.7370売り→0.7473売り→0.7424売り
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅12.45⇒11.70円)
先週の買いシグナル1.1162に引き続き、今週も1.1078の買いシグナルが点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1725売り←1.1802売り→1.1855強い売り→1.1719売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1613売り→1.1538売り継続→1.1516売り継続→1.1379買いclose様子見→1.1235買い→1.1162買い
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅15円 現状乖離幅0.25⇒0.95円)
ドル円120.20x2=240.40−ポンド円239.45=0.95円 先週の買いシグナル1.1162に引き続き、今週も1.1078の買いシグナルが点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.9808売り→1.9291買いclose→1.9736売り→1.9499買いclose→1.9636売り→1.9105買いclose→1.9435売り→1.9615売り→1.9686売り継続→1.9656売り継続→1.9870売り→2.0021売り→1.9979売り。
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅20.40→20.95)
先週の買いシグナル1.2057から、今週も引き続き通常の1.2111買いシグナルが点灯している。過去の週間の売買シグナルは以下の通り。
1.2093買い→1.1933買い→1.2354売りclose→1.2532売り→1.2478買いclose→1.2364様子見→1.2166買い→1.2349売りclose→1.2069買い→1.2194買い継続→1.2151買い→1.2225買い継続→1.2145買い継続→1.2081買い継続→1.2057買い
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅10.45→10.30円)
乖離幅も限定的な範囲で推移しているため、先週に引き続き、今週も様子見レベルである。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。 
注意点*クロス円の売買には円相当額を一致させること、または豪ドル/NZドルの直接取引
9.30→11.80→16.00→13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→10.85→9.95→10.80→11.45→9.40→11.30→10.70→10.30→10.95→11.45→11.00→11.05→11.45→11.50→10.70→10.45円
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&275円以上は円安の目安)
過去の月平均は2006年度4月260.42 5月255.44 6月259.28 7月262.43 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。 2007年度1月275.78円 2月278.66円、3月平均は272.8円と円高傾向。4月からは275.15、278.75、280 先週は282.75と平均は279.16と円安の勢いは止まっていない。今週はドル円120.20+ユーロ円163.35=283.55円と史上最高値を更新しており、要警戒レベルに達している。
欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅75.65⇒76.10円』
先週の0.6833の売りシグナルに引き続き、今週も0.6822の売りシグナルが点灯している。過去数週間の売買シグナルは以下の通り。
0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6787売り→0.6859売り→0.6773売り継続→0.6785売り継続→0.6805売り継続→0.6787売り継続→0.6833売り
ユーロスイス『平均乖離54円 現状乖離幅64.05⇒64.00円』
先週の1.6459の様子見に続き、今週も同じレベル1.6459では様子見が続いている。週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.5811売り→1.5607買いclose→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.6088様子見→1.6253様子見→1.6195売り⇒1.6073買いclose→1.6200様子見→1.6230様子見→1.6351売り→1.6439売り→1.6417買いclose→1.6459様子見
ポンドスイス『平均乖離35円 現状乖離幅40.55⇒40.95円』
先週の強い買いシグナル2.4089に続き、今週も上昇しているが、現状でも2.4126で買いシグナルが点灯している。過去の数週間の売買シグナルは以下の通り。
2.3495売り→2.3200買いclose→2.3615売り→2.3372買いclose→2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4208買い→2.4235売りclose→2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.3918買い→2.4131買い継続→2.4187買い継続→2.4089買い
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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