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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

G'7円安容認<米ドル安容認へ!

先週はG7財務相・中央銀行総裁会議に話題が集中されたが、特に懸念された円安問題にも触れられず、一見平穏無事には終了した模様である。先に米ドル安を容認する見解もあり、円安論争に波及するには至らず、米ドル安・円安・キャリートレードの容認と錯覚するようなG7と言えるだろう。あれだけ騒がれ、そして、危機感さえも覚えた世界同時株安が早期に解消したことも、総じて、安堵感が増していたのであろうが、リスク面においては曖昧さが残るG7とも言えるだろう。
今後も米経済のソフトランディングを成功裡に収める為には現状を維持するしか良策が見つからないのかもしれない。 欧州経済も懸念されたドイツのVAT(付加価値税)問題も欧州景気に支えられ、時期尚早ではあるがクリアーする状況を見せており、一方では日本経済はデフレ懸念が依然として根強いが、順調な回復基調にあることから、今後は米経済の動向により関心寄せられることになる。
▼一部では10%の米ドル下落も理路整然と報じられているが、既に織り込み済みの展開であるかは判断に苦慮するが、仮に現状からの下落となると、ユーロドルが1.50近辺までの上昇をみせることになり、ドル円にこう着感がある以上は、ユーロ円170円までの上昇も可能となるが、ドル円が110円割れの状況を見せれば、ユーロドル1.50も可能性は無くはない。しかしプロセスから判断すると無謀なリスクシナリオと言えるだろう。現実的な問題としては鵜呑みに出来ないが、米ドルが円に対して弱みを見せれば可能な数字ではある。
▼G7も終了してみれば何のサプライズもない肩透かしの結果であったが。敢えて、詮索するならば、不透明な米経済の見極めの時でもあり、住宅関連から拡大したサブプライム問題、そして、それに関連するヘッジファンドの動向に一抹の不安が生じており、またキャリートレードに対する膨大な投資額の取り崩しも考慮すれば、世界経済の骨組みに支障を来たす要因が取り巻いているとも言えるだろう。市場は今までに経験したことのない、円キャリートレードの規模と恩恵を受けており、株式市場や商品市場への活性化にも繋がっている現状を考えると、世界経済安定にとっては、まずは、米経済のソフトランディングがキーポイントであり、とりあえずは−ハードランディングは絶対に回避しなければならず、世界的な円キャリーに関しては緩やかな収束案が臨まれる時ではあるが、良策が見つからないのも実状かもしれない。
▼欧州通貨高とアジア通貨高が同時進行しているが、その主な原因が不透明な米経済にある事は歴然としているが、中銀及び中東勢の米ドル離れが先行しながらも、急速に他の通貨へのシフトが実行されると、逆に飽和状態になることも想定しなければならない。今後は米ドル安の過剰期待は自重することが賢明であろうが、円安にも同様なことが言える。

今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)作成年月日 2007年4月15日(日)週末の終値ベース
先週に引き続き今週も米ドルの弱さが顕著である。キャリートレードにより円安が加速しているため、米ドルは対円に関しては弱さを見せていないが、他の主要通貨に対しては今週も米ドルの売られすぎの傾向が強く見られる。特に米金利を凌ぐオセアニア通貨とユーロに対しては特に弱さが際だっているが、ユーロは欧州3大通貨との比較でも、ポンド及びスイスフランに対して買われすぎの傾向が見られ、そして、ユーロ円も含めれば、米ドルの弱さ以上に、ユーロの強さが特筆しているマーケットとも言えるだろう。全通貨に対して全面高の様相を呈しており、強いユーロ売りシグナルが点灯している。今後は米ドル買いとユーロ売りを視野に入れて臨むことがリスク回避策に繋がると思われるが、先ずはG7の反応を見極めてからの始動が賢明であろう。
尚『通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます』
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱関係⇒米ドル買い
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)ユーロから見るドル円相場)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1207⇒0.1145
先週の売りシグナル119.25から、今週も同レベル119.20の売りシグナルが点灯しているが、依然として弱めの売りシグナルであり、基本的にはもう一段の上昇を待ってからの売りに妙味がある。119円台半ばからのドル円ショートならばリスクも限定的であろう。
今週の乖離幅の試算=?1÷ユーロドル1.3536=0.7388?100÷ユーロ円161.35=0.6243⇒(0.7388−0.6243=0.1145)=ドル円119.20売り弱め。過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買いclose)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買いclose)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1370(121.50売り)→0.1319(121.00売り継続)→0.1093(116.85買い)→0.1180(118.30売りclose)→0.1072(116.65買い)→0.1154(118.10売りclose様子見)→0.1085(117.80様子見)→0.1207(119.25売り弱め)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅33円 現状乖離幅40.25⇒42.15円)
先週は1.3375の売りシグナルが点灯していたが、今週は一段と強い売りシグナル1.3536が点灯しているが、1.36ではポジション解消(損切り)も考慮しなければならない。過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3169売り→1.3192売り→1.3318売り→1.3285売り継続→1.13355売り→1.3375売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(21.90⇒19.85円)
先週の強い売りシグナル0.8164から、今週は最高レベルの売りシグナル0.8335に突入している。0.79台後半からの売りシグナルが継続されているが、0.83台では最終局面の売りシグナルであり、0.84では損切りを重視し、再度売りに転じることも一考。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7676売りclose→0.7420買い→0.7509売りclose→0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750買い→0.7872売りclose→0.7917売り→0.7810買いclose→0.7964売り→0.8048売り→8090売り→0.8164売り
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅33.35⇒31.35円)
先週の強めの売りシグナル0.7203から、今週は最終段階の売りレベル0.7370が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6179買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7066売り→0.6982売り継続中→0.7117売り→0.7152→0.7203売り
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅15.70⇒14.45円)
1.17台後半の売りシグナルが続いていたが、先週の弱い売りシグナル1.1516から今週はポジション解消の買いシグナル1.1379が点灯しており、逆に様子見に近い弱い買いシグナルであるがが点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1195買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1725売り←1.1802売り→1.1855強い売り→1.1719売り→1.1627売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1613売り継続→1.1538売り継続→1.1516売り継続
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅15円 現状乖離幅4.10→1.55円)
ドル円119.20x2=238.40−ポンド円236.85=乖離幅1.55円
先週の売りシグナル1.9656から、今週は一気に1.9870まで上昇し、強い売りシグナルが点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.9808売り→1.9291買いclose→1.9736売り→1.9499買いclose→1.9636売り→1.9105買いclose→1.9435売り→1.9324売り継続→1.9615売り→1.9686売り→1.9656売り継続
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅21.70⇒21.05円)
先週の弱い買いシグナル1.2225から、今週は再び強い買いシグナル1.2145が点灯している。過去数週間の売買シグナルは以下の通り。
1.2491買い→1.2533売りclose→1.2093買い→1.1933買い→1.2354売りclose→1.2532売り→1.2478買いclose→1.2364様子見→1.2166買い→1.2349売りclose→1.2069買い→1.2194買い継続→1.2151買い→1.2225買い継続
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅11.45⇒11.50円)
先週から乖離幅の相違は見られないが、チャート上では乖離幅が拡大しており、先週に引き続き豪ドル円売り/NZ円買いの状況に達している。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。
注意点*クロス円の売買には円相当額を一致させること、または豪ドル/NZドルの直接取引
9.30→11.80→16.00→13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→10.85→9.95円→10.80←11.20→11.45→9.40→11.30→11.40→10.70→10.95→10.30→10.95→10.55⇒11.45→11.00→11.05→11.45円
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&275円以上は円安の目安)
過去の月平均は2006年度2月258.80 3月257.83 4月260.42 5月255.44 6月259.28 7月262.43 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。 2007年度1月275.78円 2月278.66円(2月末はドル円121.00+159.35=280.35円の円安記録)3月平均は272.8円と円高傾向。4月からは275.15、先週は278.75の円安に振れ、今週はドル円119.20+ユーロ円161.35=280.55円と2月末の円安を更新しており、キャリートレードが鮮明になっている。要注意レベルに突入。
欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅74.90⇒75.15円』
先週の0.6805の売りシグナルからは大きな変動が見られず、今週も0.6812の売りシグナルが点灯している。過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6787売り→0.6859売り→0.6773売り継続→0.6785売り継続→0.6805売り継続
ユーロスイス『平均乖離54円 現状乖離幅61.95⇒63.20円』
先週の売りシグナル1.6351から、今週も引き続き売りシグナル1.6439が点灯している。週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.5811売り→1.5607買いclose→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.6088様子見→1.6253様子見→1.6195売り⇒1.6073買いclose→1.6200様子見→1.6230様子見→1.6351売り
ポンドスイス『平均乖離35円 現状乖離幅39.30⇒40.55円』
2.3435の買いシグナルから上昇が続いているが、先週の買いシグナル2.4029に引き続きから今週も2.4131の買いシグナルが点灯している。欧州通貨同士のキャリ−レードの傾向が見られる。過去の数週間の売買シグナルは以下の通り。
2.2621買い→2.3340売りclose→2.3495売り→2.3200買いclose→2.3615売り→2.3372買いclose→2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4208買い→2.4235売りclose→2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.3918買い→2.3920買い継続→2.4029買い継続
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。HPより各通貨別のチャートをご覧いただけます。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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