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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ高は続くか?ワシントンG7のFX調整相場へ

上昇の後には急落も、米ドルの切り替えしなるか?

上昇の後には急落も、米ドルの切り替えしなるか?

『春眠暁を覚えず』、なんとなく眠たい日が続きます。
異常気象のため、熊でも冬眠からの目覚めが早いとも聞きますが、本当かどうかは不明です。原稿やレポート書きの宿命なのでしょうが、相場が乱高下すると睡眠不足が重なり、常にパソコンの前で居眠りが始まります。冬眠、春眠、夏眠、そして秋眠の繰り返しを悔やんでおります。
先日、運動不足解消のためにもゴルフを再開することにしましたが、練習場では一打目からシャンク病となり、早々に退散してきた次第です。このような状況になると何百球打っても、小手先の治療法ですので、結果は焼け石に水です。経験則からシャンク病は頭では理解できても、体が理解『反応』できていないため、堂々巡りが始まりますので早期治療は第三者の指導が必要になります。為替も不調時には早期治療が大切です。不調時『スランプ』は休み、作戦の練り直しを優先したいものです。初心に帰ることが手っ取り早い治療法である事は間違いありませんが、とりあえずは、第三者に素直に相談することも必要です。慌てず急がず春眠しましょう。

▼市場はイースター休暇に向けて調整色が強い相場ではあるが、昨日からのユーロ全面高により、米ドル売りが先行している兆しもみられる。一連の米経済指標の弱さからも今晩の米雇用統計の悪化懸念が増幅しており、総じて、米ドル売りに傾斜している相場展開である。 
円キャリートレードの再燃が本格化と断言する事は時期尚早ではあるが、2月末のチャイナショックによる円高局面を完全に相殺しており、2月中旬の円キャリートレードのピークに到達する勢いである。さすがに、一服感が生じる相場展開でもあるが、市場はイースター休暇を挟んでポジションの見直し時期でもあり、想像以上に市場の緊迫感は増している状況である。
ドル円の推移は2月中旬の122円近辺から118円台へと円高基調を見せているが、ユーロドルが1.32台から1.34台へ急上昇を見せており、ユーロ円が再び160円を目指す展開となれば、円キャリートレード意識が強い相場展開と見なすことが可能であるが、一方では、利上げが据え置きされたポンドの影響も考える必要があるが、ポンドを除けば、他の通貨が堅調に推移していることからも、米ドル安が顕著であるため、一概に円キャリートレード色が完全に強まったと言えない点もある。しかし、前述したように、天井感も見え隠れする相場であることも事実であり、ポジションの見直しを優先することが賢明であろう。
●一部ではポンドの利上げ期待を見込んだユーロポンドのショートが解消され、ポンドの下げ基調が強まった反動から、利上げ観測が浮上しているユーロドルへの流動性が高まった相場展開とも聞くが、ユーロポンドの推移から判断しても、海外勢によるユーロ買いとポンド売りに走った結果でもあり、ユーロ上昇は米ドルの不安要因と英金利の挫折感が重複した結果とも言えるだろう。
ドル円自体の動きは限定的であり、ユーロ円が再び159円台に乗せたことで純粋に円キャリ−トレードの思惑と考えるには時期尚早と言わざるを得ないが、総体的な円安レベルから判断しても、更に追い討ちを掛けるような円売りを強行できるかは、甚だ疑問視されるところであり、リスク回避概念からは円売りを自重することが賢明であろう。週明けの状況を見てからの始動に徹することも一案である。
★いずれにしても、現状ではユーロが主要通貨に対して、全面高の様相を見せてはいるが、円キャリ−、米経済の減速懸念、そして、ECB利上げ観測と有利な方向に働いている結果とも言えるだろう。 裏を返せば、三拍子揃ったユーロドル高と解釈するならば、上値警戒も浮上するのが為替相場の理念とも言えるだろう。おそらく、テクニカル分析でもユーロのピーク感を示しており、調整売りが強まると思われるが、勢いからも1.35前後までの上昇を待ってからの売りに転じる事を勧める。いずれにしても、市場が閑散であることも踏まえて、ユーロドル1.34台のロングは自重することを勧める。ドル円は円キャリーとユーロ上昇により、レベル的には微妙な段階であり、特に売り買いを推奨する局面ではないが、119円台半ばの売りと118円前後の買いまでレンジを拡大して臨む事を勧める。
おそらく、今晩の米雇用統計の悪化となれば、米ドル売りが必然となるが、既に米ドル安が浸透している状況でもあり、そして、来週にワシントンで開催されるG7に焦点が向けられるとすれば、為替論争が主題化する可能性も否定できないだろう。特にユーロ高と円安、そして米ドルの安定までも論議されるとすれば、今後は調整色が強い相場展開も配慮しなければならないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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