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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

大勢は米ドル売り?米ドルの買い余地が残る相場へ

今週は日銀短観をはじめとして、米ISM景況指数、そして、米3月雇用統計の3点の指標に絞られるが、米ドルの取り巻く環境は決して良好とはいえない。日を追う事に米経済の不透明さが拡大しており、先のサブプライム問題も沈静化したとは言えないままに、更にイラン情勢の悪化から地政学的リスクが生じているため、米ドル離れが加速しても何ら不思議でもないだろう。そして、過去にも何度となく繰返された米ドル離れの兆候であり、今後は原油価格の上昇も大きな理由の一つとなるが、リスク面では米金利の優位性が保てない状況であり、ユーロ及び他の通貨へのリスク分散シナリオが優先される地合は否定できない。
しかしながら、米ドルの悪化要因がこれだけ湧き出しているにも関わらず、米ドルの下げ幅が100ポイント以内で収まりを見せている状況を踏まえると、逆に米ドルの無気味さと底堅さも垣間見ることができる市場である。現段階ではドル円はこう着感が強く、狭いレンジでの攻防が示しているように、米ドル安と円安が歩調を合わしている相場展開であるが、米ドル安が浸透しているマーケットと言えるだろう。過度な米ドル安を期待した米ドルショ−トは自重する時でもある。

▼本日の日銀短観に注目は集まり、業況判断の是非が問われる事になるが、最終的には利上げに結び付くような結果が得られるとは思えず、日銀の追加的利上げも、日本政府のデフレ脱却宣言が得られない状況下では、短観の善し悪しにかかわらず、参議院選挙後にずれ込む公算が高いと判断し、総体的には盛り上がりに欠ける日銀短観の可能性は高いだろう。それゆえに、ドル円相場への影響も限定的になると思われる。

▼新年度に入り、機関投資家のキャリートレード続行性を確認したい月でもある。先に日経新聞でも報道されたように、個人投資家の外貨投資残高が生保を上回る状況となったのには驚かされるが、今後も投信ファンドの動向が注目される事は間違いなく、為替市場の様変わりになる可能性も秘めているだけに、市場動向を重視したい相場である。キャリートレードの概念が強まることが必死でもあり、過度な円高局面での下支えになるだろう。そして、円キャリートレードの分岐点が当面は115円前後にあると推測する。
▼週末の米雇用統計にも関心は寄せられるが、最近では失業率そのものに素直に反応している市場でもあり、米国側からは、米雇用の力強さを強調するように、失業率の改善が続いていただけに、今回ばかりは失業率悪化の予測もあるように、米ドルの不安要因が尽きないのも事実である。そして、週末から始まるイースター休暇を控える米国市場であり、株式相場と債券相場がワークしない以上は、為替相場に対する影響も限定的なものになると判断するが、難易度は依然として高レベルにあるため、自重気味のトレードに徹することが賢明であろう。
****今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年4月01日(日)週末の終値ベース
米ドルの弱さが顕著に見られる。ドル円は118円前後を境にしてニュートラルのレベルに達しているが、先週と同様にユーロドルを先頭にして、総体的には米ドル安が浸透しているマーケットである。チャート上では相変わらずユーロドル1.33台半ばからの売り圧力が増しており、上値の限界を見せている。唯一、カナダドルに対しては米ドル売りシグナルが点灯しているが、オセアニアおよびポンドなどの高金利通貨に対しては、米ドル買いのシグナルが強まっている。ドル円は118円前後からの様子見状態であり、見通しが定かではないが、総体的なバランスを考慮すれば、ドル円119円までの上昇を見せることが可能である。 同時に米ドルの買いが強まる可能性が高い週とも言えるだろうが、総合的判断としてはクロス円売りの調整が期待される相場環境である。
『通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます』
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱関係⇒米ドル買い
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)ユーロから見るドル円相場。
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1154⇒0.1085
先週は118.10でポジション解消売りから、様子見状態に突入したが、今週もドル円117.80では様子見が優先され、動きを待ってからの始動になる。
今週の乖離幅の試算=?1÷ユーロドル1.3355=0.7488 ?100÷ユーロ円157.35=0.6403⇒(0.7488−0.6403=0.1085)=ドル円117.80
過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買いclose)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買いclose)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1370(121.50売り→0.1093(116.85買い)⇒0.1180(118.30売りclose)→0.1072(116.65買い)⇒0.1154(118.10売り様子見)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅33円 現状乖離幅38.80⇒39.95円)
先週は通常の売りシグナル1.3285であったが、今週は強めの売りシグナル1.3355が点灯している。過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3169売り→1.3192売り→1.3115売り継続→1.3318売り→1.3285
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(23.05⇒22.50円)
先週の著意売りシグナル0.8048から更に強い売りシグナル0.8090が点灯している。0.81台では積極的な売りも可能なレベル。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7676売りclose→0.7420買い→0.7509売りclose→0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750買い→0.7872売りclose→0.7917売り→0.7810買いclose→0.7964売り→0.8048売り
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅34.05⇒33.55円)
先週の強めの売りシグナル0.7117から、今週も強めの売りシグナル0.7152が点灯中している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6179買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7066売り→0.6982売り継続中→0.7117売り
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅16.40⇒15.70円)
先々週の強めの売りシグナル1.1753から、先週は弱めの売りシグナル1.1613が点灯していたが、今週も1.1538の弱めの売りシグナルが点灯しており、1.15割れではポジション解消買いも検討。過去週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1195買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1725売り←1.1802売り→1.1855強い売り→1.1719売り→1.1627売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1724売り→1.1753売り→1.1613売り継続
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅15円 現状乖離幅4.55→3.70円)
ドル円117.80x2=235.60−ポンド円231.90=乖離幅3.70円
先週の強めの売りシグナル1.9615から、今週も引き続き強め売りシグナル1.9686が点灯している。過去数週間の経緯は下記の通り。
1.9808売り→1.9553売り継続→1.9291買いclose→1.9736売り→1.1966売り継続→1.9499買いclose→1.9636売り→1.9105買いclose→1.9435売り→1.9324売り継続→1.9417売り→1.9615売り
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅21.25⇒20.85円)
先々週の買いシグナルが1.2069から、先週の強めの売りシグナル1.9615から、今週も引き続き強め売りシグナル1.2151が点灯している。過去数週間後との売買シグナルは以下の通り。
1.2491買い→1.2533売りclose→1.2093買い→1.1933買い→1.2354売りclose→1.2532売り→1.2478買いclose→1.2364様子見→1.2328様子見⇒1.2166買い→1.2349売りclose⇒1.2069買い→1.2194買い継続
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅11.00⇒11.05円)
先週と同様に今週も豪ドル円売り/NZ円買いの状況ではあるが、強いシグナルではなく少な目のスタートが必要。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。
9.30→11.80→16.00→13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→10.85→9.95円→10.80←11.20→11.45→9.40→11.30→11.40→10.70→10.95→10.30→10.95→10.55⇒11.45円→11.00
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&270円以上は円安の目安)
過去の月平均は2006年度2月258.80 3月257.83 4月260.42 5月255.44 6月259.28 7月262.43 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。 2007年度1月275.78円 2月278.66円(2月末はドル円121.00+159.35=280.35円の超円安を記録)3月からは急変し、271円、273.45、272円、275.00円と続き、3月平均は272.8円。今週はドル円117.80+157.35=275.15とレベル的には先週と変わらない。キャリートレードの分岐点は270円割れと278円以上を意識した売買が効果的。
欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅74.75⇒74.55円』
先々週の売りシグナル0.6859から、先週は引き続き0.6773の売りシグナルが点灯していたが、今週も同レベル0.6785の売りシグナルが点灯中。
過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6787売り→0.6859売り→0.6773売り継続
ユーロスイス『平均乖離54円 現状乖離幅60.05⇒60.40円』
こう着状態が続いており、先週の様子見レベル1.6200から、今週も同様に1.6230の様子見が継続中。週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.5811売り→1.5607買いclose→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.6088様子見→1.6189様子見→1.6253様子見→1.6195売り⇒1.6073買いclose→1.6200様子見
ポンドスイス『平均乖離35円 現状乖離幅37.95⇒38.00円』
先々週の買いシグナル2.3435から上昇を見せて、先週は2.3918でも買いシグナルが点灯し、週半ばではポジション解消売りレベル2.40台前半も見られたが、今週も2.3920の買いシグナルが点灯している。2.40台では利益確定売りも考慮。過去週間ごとの推移は以下の通り。
2.2621買い→2.3340売りclose→2.3495売り→2.3200買いclose→2.3615売り→2.3372買いclose→2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4208買い→2.4235売りclose→2.3644買い→2.3862売りclose⇒2.3435買い→2.3918買い継続
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。HPより各通貨別のチャートをご覧いただけます。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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