シンプル イズ ベスト!
春分の日に墓参りに行ってきましたが、その帰りに、生まれ育った北千住駅の近辺を30数余年ぶりに散策しましたが、既に母校の小学校も無くなってはいましたが、下町風情を感じさせる商店街を歩いてみると、残念ながら、記憶にあったお店はわずか2軒のみでした。一つは文房具屋でしたが閉店状態、もう一軒は、ふかし芋と大学芋を売っていた小さなお店でした。未だに年老いたお爺さんが腰を九の字にしながら、大学芋を売っていた姿は感慨深い光景でしたね。
為替相場も変動相場制に移行してから、既に30数余年を経過しましたが、当時は規制でガンジガラメの取引でしたので、ファンダメンタル分析も金利と米貿易収支ぐらいで一喜一憂していた次第です。逆に今日のように為替が完全自由化になり、情報過多とテクニカル先行の市場となると、試行錯誤の繰り返し、そして、だましの連続と、より複雑化しているのが今の為替取引の現状と言えるかもしれません。飾り付けた高価なケーキやチョコレートよりもシンプルな『大学イモ』の方が単純な為替売買には向いているのかもしれません。ご一考を!
●米ドル買いの流れに転じてはいるが、米ドル全面高と言うほどの勢いは感じられない。行過ぎた米利下げ観測の反動でもあり、米経済の見通しが不鮮明であることには変わりがない。サブライム問題も賛否両論があるが、米2月の景気先行指数も弱含みを示しているように住宅関連市場の落ち込みが懸念されている。
サブプライム問題があと1~2年は続くとの報道もあるが、来週28日にはバーナンキFRB議長がサブライム問題と今後の経済見通しを証言する予定であり、当面はサブライム関連には目が離せない情勢である。ヘッジファンドを巻き込み、米金融機関全般に波及する恐れもあるため、米ドルの上昇も限定的にならざるを得ないだろう。
一方では、EU報告書にもあるようにECBの追加利上げは経済成長に減速感をもたらす可能性もあり、ユーロ圏内での足並みの乱れも表面化している。ユーロドルの下値リスクも考慮して臨む事を勧めるが、総じて、ユーロドル1.34台の上値の重さを意識させられる展開である。
いずれにしても、日米欧の金利動向がもやもやしている状態では憶測先行相場に突入していると言っても過言ではないだろう。各国とも金利の現状維持が世界株式市場に貢献していることも考慮すれば、容易には利上げ姿勢を前面に押し出せない裏事情もあるのかもしれない。
▼この数日間の円安基調から、キャリートレードに対する過熱感が見られる段階であるが、俗にリアルマネーと呼ばれるレバレッジを抑えた年金基金や投信などの機関投資家の買いが散見されてはいるが、逆にヘッジファンド系がレバレッジを最大限活用したキャリートレードの減少は否めず、本格的なキャリートレード再燃とは言えないだろう。
いずれにしても、金利格差が縮小しない限りは、常にキャリートレード手法が優先される市場でもあり、前回のようなキャリートレード解消劇は必ず起こるが、再燃も早まる傾向は否めないだろう。米当局からもヘッジファンドの動向も懸念されてはいるが、レバレッジを目一杯利かせたキャリートレード手法は捨て難い存在である。一般投資家は、上記手法で利益追求する際にはストップロスの重要性と損切りシナリオを重んじる必要があり、その点を熟知すれば、今後も為替相場には有効な手法であることに変わりがない。
ドル円が118円台を乗せたことにより、円の先安感が生じているが、実需の円買いも含めて、利益確定の売りが118円台から断続的に散見されており、上値リスクも限定的と判断し、118円台からのナンピン売りも一考できる状況である。 現状の流れからは118円台半ばの売りを勧めるが買いは117円台半ば割れでなければ妙味は薄いだろう。
ユーロドルも1.34台から下落基調を見せてはいるが、ECBの利上げが揺らぎ始めているため、もう一段の下げを見てからの始動が賢明であろう。売りは1.33台半ば以上を勧めるが、買いはあくまでも1.33割れでなければ妙味は薄い。
●クロス円の動きが読みきれない。キャリートレードの再開の噂では動きが取れないのが実状であり、3月の年度末が視野に入りだしており、ポジション調整が優先されるため、過度な円安期待は控えたい状況である。ユーロ円157円台半ば以上を勧める。原油価格の上昇もあり、豪ドル円の下値も堅調であるが、95円台からの買いは自重することを勧める。