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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

株高・円安再燃なるか?・・・・・天井も近し!

【今週の見通し】
▼先週はECB中銀の利上げを皮切りに、依然としてキャリートレードの解消が応酬される中で、最終的には、不透明な米経済の動向を図る意味合いもあり、週末の米雇用統計に関心は集まったが、事前予測が悪化を前提にしていただけに、失業率が4.6%から4.5%への改善がサプライズ的効果を生んだとしか言えないだろう。前回の失業率改善でも同様な米ドルの反発を見せたマーケットでもあり、総合的な評価は非農業部門雇用者の増加数云々よりも、本来の雇用統計の本質である失業率そのものに依存する姿とも言えるが、中期的予測であるはずのファンダメンタルズ分析も短期化しており、テクニカル分析と共に、為替相場を読みきるには至っていないのが現状であり、今週は先週の乱高下を引き摺った市場であるため、総じて、調整色の強いポジション取りになることが想定される。同時に、材料的には各国指標は多いが小粒揃いの週とも言えるため、微調整が先行する相場展開と予測するが、大相場の後には小相場の可能性は強まるであろう。
▼米経済の減速懸念が再燃していた矢先だけに、市場は米経済指標の数字に惑わされる状況と言えるが、減速、後退が繰返される状況は変わらず、そして、金利先物では米利下げが視野に入っていることもあり、米ドルの上昇も限定的と見なすのが賢明であろう。但し、ユーロ円安が問われている様に、円を除けば、他の通貨に対しては米ドル安の状況が続いており、相対的な観点からは、常にキャリートレード解消のような円高現象が起きても何ら不思議ではない相場である。 主要3大通貨のバランス調整が働けば、近い将来の円高局面を想定する事は可能であると判断するが、日米欧の金利格差縮小に時間を要する以上は、急劇な円高局面にはならないことも確かである。 今回のチャイナショックにはじまる一連の流れと言われた円キャリートレード解消、株式相場続落などがドル円相場のレンジ幅をイメージさせる状況であれば、115円台の底堅さと120円の壁が意識されるレンジ相場の展開が見込まれるだろう。戦術的にも上記レベルを大きな節目として捉えて臨む事を勧める。
▼補足的であるが、狼狽的な売り買いには、しっかりとした売買シナリオがあれば、未然に防ぐ事は可能であり、特にレンジ相場の様相が強い相場には売買シグナルを的確に掴めるテクニカル分析を採用するべきであるが、機械的な最終損切りを敢行できる態勢作り構築することが為替相場には必条件である。特に為替相場は2つの通貨の集合体であり、株式市場や商品市場のように単一商品でないことがネックになり、売買シグナルの不確実性が生じる事は日常茶飯事であることを踏まえて臨む事を勧める。今回のキャリートレードの手仕舞いによって、大きな痛手を被った投資家には、今後のストップロス及び損切りの重要性を知る一つの教訓ではあるが、相場の歪みを含めた売買シナリオを組まないと、ストップロスと損切りの餌食になる恐れがある。
▼シカゴIMM通貨先物市場においては、円ショートの大幅調整(114.626枚から62,886枚へ減少)が見られたように、キャリ−トレード手仕舞いとヘッジファンドの思惑的な絡みを暗示させるような動きでもある。今回はポンド、豪ドル、そしてスイスフランなどもポジション縮小を見せており、神経質な展開が余儀なくさせられる。そして、ユーロロングが高水準を維持しているように乱高下相場には強みを発揮させているように、瞬間的な避難通貨の役割は健在でと言えるのだろう。ユーロドル1.3000前後からの下値の堅調さを窺える相場である。

●**今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)**
作成年月日 2007年3月11日(日)週末の終値ベース
先々週ドル円121円台の強い売りシグナルが生じ、その上にキャリートレード解消により115円前後まで想定以上のペースで円高が進行したが、キャリートレードに一服感も生じている関係上、相対的には米ドルの巻き返し現象が生じている展開である。
既に本チャート上ではドル円がニュートラルなレベルに達しており、様子見状態に突入しているように、次の展開待ちの相場と化している。強いてあげるならばカナダドルとNZドルにのみ異変が見られる程度である。 他の主要通貨に対しては弱冠の調整地合が期待されるが、米ドルの強弱関係に注目すれば、ドル円とユーロドルがクロスする地点がドル円119円とユーロドル1.300前後がイメージできる状態であり、弱冠ながらも米ドル買いの余地を残している相場である。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱関係⇒米ドル買い弱め
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1093⇒0.11180)ユーロから見るドル円相場。
先週は弱い買いシグナル116.85が点灯していたが、キャリートレードの解消が強く115円台まで売られた展開ではあったが、今週は早くもポジション解消売りシグナル118.30が点灯しており、様子見状態に突入している。
今週の乖離幅の試算=?1÷ユーロドル1.3115=0.7625?100÷ユーロ円155.15=0.6445→(0.7625−0.6445=0.1180)?円118.30
過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買いclose)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買いclose)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買いclose)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1308(120.35売り)→0.1370(121.50売り)→0.1371(121.70円売り強め)→0.1227(119.35売り弱め)→0.1319(121.00売り)→0.1093(116.85買い)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅33円 現状乖離幅37.30⇒36.85円)
先週は1.3192の売りシグナルが点灯していたが、今週も引き続き弱めの売りシグナル1.3115が点灯している。当面の目安としては1.3050前後が買いレベルに相当する。過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.1940売り→1.1878買いclose→1.2045売り→1.1911買いclose→1.2190売り→1.2030買いclose→1.2269売り→1.2096買いclose→1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.2875買いclose→1.2964様子見→1.3142売り→1.3169売り→1.3192売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(25.50⇒26.00円)
弱い売りシグナルが0.7917から、先週の弱い売りシグナル0.7818まで点灯していたが、レベル的には今週も変化が無く、限りなく様子見に近い0.7802の弱い売りシグナルが点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7676売りclose→0.7537買い→0.7420買い→0.7509売りclose→0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750弱い買い→0.7872弱い売りへ→0.7917売り→0.7818売り
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅36.45⇒36.55円)
先週の売りシグナル0.6881から、今週も引き続き0.6910で売りシグナルが点灯中。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6422売りclose→0.6179買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6963様子見→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7066売り→0.6881売り
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅17.60⇒17.40円)
先週は強めの売りシグナル1.1773が点灯していたが、弱冠弱まりを見せ、通常レベルの売りシグナル1.1724が点灯している。
過去週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1099買い→1.1376売りclose→1.1088買い→1.1298売りclose→1.1195買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1578売り→1.1725売り←1.1802売り→1.1855強い売り→1.1719売り→1.1627売り→1.1596売り(一部買戻し)⇒1.1773売り
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅6.60⇒8.00円)
ドル円118.30x2=236.60−ポンド円228.60=乖離幅8.00円
先々週の売りシグナル1.9636から、先週の売りシグナル1.9435に引き続き、今週も3週連続の弱めの売りシグナル1.9324が点灯している。
過去数週間の経緯は下記の通り。1.9808売り→1.9553売り継続→1.9597売り継続→1.9300一部買戻し→1.9291買いclose→1.9736売り→1.1966売り→1.9499買いclose→1.9506売り弱め←1.9636売り⇒1.9435売り
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅20.80⇒22.50円)
先週は買いシグナル1.2166が灯していたが、既にポジション解消の売りシグナル1.2349が点灯しており、様子見状態に突入している。
過去数週間後との売買シグナルは以下の通り。
1.2509買い→1.2606売りclose→1.2728売り→1.2594買いclose→1.2491買い→1.2533売りclose→1.2093買い→1.1933買い→1.2354売りclose→1.2532売り→1.2478買いclose→1.2476様子見→1.2364様子見←1.2328様子見⇒1.2166買い
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅10.95⇒10.55円)
様子見状態が継続中である。目先は少なくとも9円幅から12円幅以上の乖離が必要である。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。
→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→12.40→11.65→10.85→9.95円→10.80←11.20→11.45→9.40→11.30→11.40→10.70→10.95→10.30⇒10.95円
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&270円以上は円安の目安)
過去の月平均は2006年度2月258.80 3月257.83 4月260.42 5月255.44 6月259.28 7月262.43 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。 2007年度1月275.78円 2月278.66円。 2月最終週はドル円121.00+159.35=280.35円の超円安を記録、先週はドル円116.85+154.15=271円と急劇な円高となったように、キャリートレードの解消の進捗状況が読みきれない展開である。
今週は118.30+155.15=273.45と円安の兆候を見せているが、円売りの限界を感じさせる相場である。
● 欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅72.95⇒73.45円』
先週の売りシグナル0.6788から、今週も引き続き売りシグナル0.6787が点灯している。過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567弱い買い→0.6590売りclose→0.6592様子見→0.6738売り→0.6707売り⇒0.6787
▲ユーロスイス『平均乖離54円 現状乖離幅58.10⇒59.35円』
先週まで様子見が継続していたが、今週は1.6195で売りシグナルが点灯している。
週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.5811売り→1.5607買いclose→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.6088様子見→1.6189様子見→1.6229様子見→1.6253様子見
ポンドスイス『平均乖離35円 現状乖離幅35.00⇒37.00円』
先週は弱めの買いシグナル2.3644が点灯していたが、今週はポジション解消売りシグナル2.3862に達しており、様子見状態に突入している。過去週間ごとの推移は以下の通り。
2.2694買い→2.2865売りclose→2.2651買い→2,2779売りclose→2.2621買い→2.3340売りclose→2.3495売り→2.3200買いclose→2.3615売り→2.3372買いclose→2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4087様子見→2.4208買い弱め→2.4235売りclose⇒2.3644買い弱め
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 
★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。HPより各通貨別のチャートをご覧いただけます。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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