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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円キャリー春の風の目に接近中!米ドル調整地合へ 

ECB政策金利をはじめとして、不安視される米貿易収支など、材料には事を欠かないが、当面は円キャリートレードの手仕舞いに集中せざるを得ないだろう。
先週の世界同時株安による波紋が為替市場にまで及んでいる事は確実であるが、キャリートレードの解消自体は常に起こり得る現象ではあり、一時的な円高として捉えることが可能であるが、今回のキャリートレード解消が、本邦の異常な低位金利が一役も二役も担っている事実は否定できず、円キャリーの警鐘だけでは済まされない状況である。未だに本邦のデフレ懸念が根強いこともあり、巻き戻しを阻止する即効薬が見当たらず、段階的な沈静化を待つしか良策はないだろう。市場では早々に前回の利上げを批判する声も聞かれるが、利上げが実施されなければ、金融市場の正常化はなく、日本経済の悪循環に繋がるにもなる。しかしながら、ヘッジファンド及び各国中銀も含めた世界的な円キャリートレードの巻き戻しが懸念されるとなれば、日本独自の金融路線を歩めない事情背景があり、今回のチャイナショックが円金利の正常化を遅らせる可能性も生じる懸念もある。 
▼一方では、米経済も手のひらを返すように不安視されており、後退観測と利下げ局面がとなれば、米ドルの牙城も一気に崩壊する可能性も完全否定は出来なくなる。米ドル安を容認している米国ではあるが、表向きには世界の基軸通貨としての弱みを見せることを嫌い、強い米ドルを誇張しているに過ぎず、実際問題としては、既に米ドルはドル円相場を除けば、他の通貨に対してはドル安状態であるため、相対的には限定的な下げと判断するのが妥当であろう。いずれにしても、円キャリートレード解消の進捗状況が掌握できておらず、解消と再燃の表裏一体の状況を鑑みても、波乱含みの展開は避けられないだろう。
▼今週も各国政策金利の発表が控えており、要人発言に右往左往する展開が見込まれる。本日からは、ポールソン財務長官が日本、韓国そして中国訪問となれば、タイミング的にも様々な憶測が飛び交うことは間違いないが、とりあえずは、アジア通貨高の渦中にある円と人民元の存在が問われても不可思議ではない。 中国人民元の切り上げ問題は依然として長引くと思われるが、現状ではアフガン・イラン中東情勢によって米財政が圧迫されることも予想され、米赤字削減どころか赤字拡大の恐れが懸念されている。中東及び各中銀の米ドル離れも進行しているが、とりあえずは、米ドル外貨準備保有高の背景からも、日中韓に対して、米ドル離れを阻止するための訪問と言っても過言ではないだろう。
▼キャリートレードの話題に戻るが、主要通貨同士の金利格差が3%〜4%以上あると、機関投資家及びヘッジファンドのポートフォリオとしては有力な投資法として論じられたことはあるが、今回のような金利差を利用した投資法が長期に渡る例は少なく、ゼロ金利政策のように、異常なケースでは相場の真意を測る事はできない。決定的な相違は金利格差ではなく、円コストに執着せずに投資先を摸索することにある。仮に、円金利が3%で米金利が7%であれば、コスト意識からも、過剰なキャリートレードが封じられる筈である。結局は超低金利政策の弊害であるが、ゼロ金利からの立ち直りの遅さが、今回の世界同時株安に繋がっている一因とも言えるだろう。

*******今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)*******作成年月日 2007年3月04日(日)週末の終値ベース
キャリートレードの解消を契機に米ドルの下げ基調強い相場である。既にチャート上では米ドルの売られすぎの傾向が見られる。勢いとしてはもう一段の米ドル売りが生じても不思議ではないが、自重するレベルに達している通貨も散見される。キャリートレードの巻き戻しの範囲が全く予想不可能だけに、基本的には様子見に徹する相場であるが、先週はドル円121円台からの強い売りシグナルが生じ、想定以上のペースで今回の円高局面を迎えており、流れ的には、更に米ドルが50ポイント以上の下げを見せれば、買い局面到来と判断しても良いだろう。ドル円では116円前後の買いとユーロドルでは1.32台半ばの売りであればリスクが限定的であろう。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱関係⇒米ドル買い
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1093←0.1319)ユーロから見るドル円相場
先週は121.00売りシグナルから、一気に116円台に突入し、予測されていたポジション解消レベルである買いシグナル117円台をクリアーしている状況であり、今週は116.85円で弱い買いシグナルが点灯している。現状レベルからドル円115円割れまでのナンピン買いに妙味が生じている。
今週の乖離幅の試算=?1÷ユーロドル1.31920=0.7580?100÷ユーロ円154.15=0.6487→(0.7580−0.6487=0.1093) 過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買いclose)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買いclose)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買いclose)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1308(120.35売り)→0.1370(121.50売り)→0.1371(121.70円売り強め)→0.1227(119.35売り弱め)→0.1319(121.00売り)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅33円 現状乖離幅37.30←38.35円)
先週は1.3169の弱い売りシグナルが点灯していたが、今週も引き続き売りシグナル1.3192が点灯している。目先は1.32台からの強い売りシグナルが焦点になる。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.1940売り→1.1878買いclose→1.2045売り→1.1911買いclose→1.2190売り→1.2030買いclose→1.2269売り→1.2096買いclose→1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.3081売り継続→1.2875買いclose→1.2964様子見→1.3007弱い売り→1.3142売り→1.3169売り継続
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(25.50←25.20円)
先週の弱い売りシグナル0.7917から、今週も引き続き弱い売りシグナル0.7818が点灯しているが、通常の売りレベルは0.7950以上でであり、少な目の売りで検討したい。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7676売りclose→0.7537買い→0.7420買い→0.7509売りclose→0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750弱い買い→0.7872弱い売りへ→0.7917売り
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅36.45←35.50円)
先週の売りシグナル0.7066から下げに転じているが、更に売りシグナルが0.6881で点灯中。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6422売りclose→0.6179買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6963様子見→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7066売り
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅17.60←16.65円)
先週は一部買戻しのレベル1.5969に達したが、今週は早くも強めの売りシグナル1.1773が点灯している。過去週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1099買い→1.1376売りclose→1.1088買い→1.1298売りclose→1.1195買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1578売り→1.1725売り←1.1802売り→1.1855強い売り→1.1719売り→1.1627売り→1.1596売り(一部買戻し)
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅6.60←4.40円)
ドル円116.85x2=233.70−ポンド円2?37.60=乖離幅4.40円
乱高下が激しいため、売買タイミングが取りにくい状況である。先週の弱い売り1.9636レベルであったが、引き続き1.9435でも売りシグナルが点灯している。過去数週間の経緯は下記の通り。1.9808売り→1.9553売り継続→1.9597売り継続→1.9300一部買戻し→1.9291買いclose→1.9736売り→1.1966売り→1.9499買いclose→1.9506売り弱め←1.9636売り。
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅20.80←22.85円)
様子見状態が継続しており、先週も1.12328で様子見レベルであったが、今週は買いシグナルが1.2166で点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2509買い→1.2606売りclose→1.2728売り→1.2594買いclose→1.2491買い→1.2533売りclose→1.2093買い→1.1933買い→1.2354売りclose→1.2532売り→1.2478買いclose→1.2476様子見→1.2364様子見←1.2328様子見
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅10.95←10.30円)
先週の様子見に続き、今週も様子見状態が継続中、少なくとも9円幅から12円幅以上の乖離が必要である。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。
13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→12.40→11.65→10.85→9.95円→10.80←11.20→11.45→9.40→11.30→11.40→10.70→10.95→10.30円
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&270円以上は円安の目安)
過去の月平均は2006年度2月258.80 3月257.83 4月260.42 5月255.44 6月259.28 7月262.43 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。2007年度1月275.78円 2月278.66円。 先週はドル円121.00+159.35=280.35円の超円安であったが、今週はドル円116.85+154.15=271円と急降下しており、キャリートレードの転換時期であるが、265〜268円前後になれば、キャリートレード再開の見通しも立つ。
● 欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅72.95←78.25円』
先週の売りシグナル0.6707から今週も引き続き売りシグナル0.6788が点灯している。過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567弱い買い→0.6590売りclose→0.6592様子見→0.6671売り弱め→0.6738売り→0.6707売り
ユーロスイス『平均乖離54円 現状乖離幅58.10←61.20円』
様子見が継続している。先週の1.6235の様子見から、乖離幅縮小しているが、チャートは平行線を描いており、今週も1.6049で様子見が点灯中。週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.5811売り→1.5607買いclose→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.6088様子見→1.6189様子見→1.6229様子見→1.6253様子見
ポンドスイス『平均乖離35円 現状乖離幅39.50←41.30円』
先週は弱めの買いシグナル2.4208が点灯していたが、週半ばで解消レベルに達しており、今週も再び弱めの買いシグナル2.3644が点灯している。過去週間ごとの推移は以下の通り。
2.2694買い→2.2865売りclose→2.2651買い→2,2779売りclose→2.2621買い→2.3340売りclose→2.3495売り→2.3200買いclose→2.3615売り→2.3372買いclose→2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4087様子見→2.4208買い弱め→2.4235売り解消

セミナーのご案内
3月7日大阪セミナー
3月14日東京セミナー
3月27日名古屋セミナー

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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。HPより各通貨別のチャートをご覧いただけます。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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