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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

キャリートレードの恐怖 VS ヘッジファンドの思惑!

●G7終了後の共同声明文で円安に対する言及はなかったこともあり、市場は再び円売り姿勢を強めている。しかし、安易に円売りに傾斜できる状況でもない。 声明文後に、G7の議長国であるドイツのシュタインブリュック財務相が円キャリートレードに触れるなど、実質的には円安を歓迎していない欧州勢であるが、ある意味では円キャリートレード投資に対する一種の警告でもある。 先に日銀及び財務省当局が何度も円キャリートレードの警鐘をならしたことも記憶に新しいが、本邦機関投資家はもちろん、他にも数多くの海外ヘッジファンドを巻き込んだ世界規模のキャリートレードであり、単に貿易不均衡を理由にした円安論議では片付けられないのも事実だろう。そして、世界の主要3大通貨の一つである円がその対象通貨であることも注目しなければならず、急劇なキャリートレーの巻き戻しが生じた時の悪影響に配慮せざるを得ない。
●一方では、世界経済の面では米経済の軟着陸が優先課題ではあるが、原油価格の安定、米経済指標の強さも反映して、極めて順調な経過をたどっている。米国からの円安容認を歓迎する日本ではあるが、同時に日本経済の本格的回復には低金利政策の継続を余儀なくされているのも実情である。2月の利上げが実施されても、連続的な利上げの見込みがない以上は円キャリートレードが減少する方向ではないが、超低金利の弊害を利用した円キャリートレード手法に疑問符が生じ、封じる手段が講じられる日も遠くはないだろう。G7では為替相場を人為的に操作することも可能であるが、中国人民元にも手をつけられない状況下では、円高調整も限定的にならざるを得ないが、貿易不均衡を改善する為替問題から、今後のキャリートレードの危険性にまで及ぶとなると、円売りは自重することが賢明であろう。
●今週も重要な米経済指標もあるが、各国要人発言の変化に注視したい相場である。特に14,15日のバーナンキFRB議長の議会証言に注目したい。15日には米国債償還及び利払いが行なわれ、米ドル安要因と言われているが、キャリートレードの実態と比較すれば、為替の問題意識としては、低レベルの論評でしかならない。グローバルな考え方が要求される市場であり、近視眼的なトレードは控え、一喜一憂しないシナリオが必要である。 シカゴIMM通貨先物の円ショートの推移だけでは語れないが、さすがに173,005から128,526枚まで減少しているのは、G7における円安論議を警戒した表れであろうが、今週末の円ショートの推移を見極めてらでも遅くはなく、余裕を持ったトレードに専念することを勧める。

*******今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)*******
作成年月日 2007年2月11日(日)週末の終値ベース米ドルの総評としては、対欧州通貨ではニュートラルなレベルに達している。強いてあげればユーロドルが弱冠ながら高めに推移しているが、ポンド、スイスも調整済みの段階であり、次の展開を待つことが賢明である。オセアニナ通貨の豪ドル・NZドルとも気持ち売られすぎの感はあるが、乖離幅としては様子見レベルの段階であり、もう一段の下落を見てからの買い始動となるが、一方では先週までは、かなり強いDollar/Canada売り(カナダ買い)シグナルが見られたが、急速に乖離幅の調整が進んでいる。チャート上では引き続き売りシグナルが点灯している。現段階では対円と対カナダでは米ドル売りが基本になるが、他の通貨に対しては動きが生じてからの始動が賢明と言える。
総じて、キャリートレードの影響がドル円に集約されている相場と言えるだろう。
新外為の森 HP内US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱⇒米ドル売り
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1345→0.1371)
先週の弱めの売りシグナル121.10円から、今週は強めの売りシグナルが121.70円で点灯している。今週の乖離幅の試算=ユーロドル1.3007=ユーロ円158.30→(0.7688−0.6317=0.1371) 過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買い)→0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い) →0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買い)→0.1153(117.25売り)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買い)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買い)→0.1280(118.85売り)→0.1308(120.35売り)→0.1370(121.50売り)→0.1345(121.10円売り)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅30円 現状乖離幅35.90→36.60円)
先週は弱い売りシグナル1.2964、今週も引き続き弱い売りシグナル1.3007が点灯している。
もう一段の上昇があれ場、通常の売りシグナルとなるが、レベル的には1.3050がターゲットになる。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.1940売り→1.1878買いclose→1.2045売り→1.1911買いclose→1.2190売り→1.2030買いclose→1.2269売り→1.2096買いclose→1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.3081売り継続→1.3202売り継続→1.3005売り(一部買戻し)→1.2875買いclose→1.2961弱い売り→1.2918様子見→1.2964弱い売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(27.25→27.20円)
先週の弱い買いシグナル0.7750から、今週も弱い買いシグナル0.7765が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7676売りclose→0.7537買い→0.7420買い→0.7509売りclose→0.7887売り→0.7787買いclose→0.7835売り→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750弱い買い
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅38.55→38.60円)
先週の0.6817の様子見から、今週もレベル的には変化が見られないが、チャート上では弱い買いシグナル0.6828が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6422売りclose→0.6179買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7000売り→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6905様子見→0.6963様子見→0.6817様子見
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅18.95→17.85円)
先週は強い警戒売りシグナル1.1855が点灯していたが、今週は1.1719まで急落している。引き続き売りシグナル1.1719で点灯している。週間ごとの売買シグナルは下記の通り。1.1099買い→1.1229買い→1.1376売りclose→1.1088買い→1.1207買い→1.1298売りclose→1.1195買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1578売り→1.1725売り←1.1802売り→1.1855強い売り。
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅4.05→6.10円)
ドル円121.70x2=243.40−ポンド円237.30=乖離幅6.10円
先週までの売りシグナル1.1966から、今週はポジション解消の買いシグナル1.9499が点灯し、様子見レベルに達している。 
過去数週間の経緯は以下の通り。1.9808売り→1.9553売り継続→1.9597売り継続→1.9300一部買戻し→1.9291買いclose→1.9736売り→1.9601売り弱め→1.1966売り。
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅24.05→24.15円)
先週の様子見レベル1.2478から、今週も変化は見られず1.2476で様子見が点灯中している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.1981買い→1.2306買い→1.2432売りclose→1.2333買い→1.2552売りclose→1.2366買い→1.2509買い→1.2606売りclose→1.2728売り→1.2594買いclose→1.2491買い→1.2533売りclose→1.2093買い→1.1933買い→1.2354売りclose→1.2532売り弱め→1.2478買いclose様子見
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅11.30→11.40円)先週は再び様子見に戻ったが、今週は乖離幅の変更がないが、弱めの豪ドル円売り/NZ円買いシグナルが点灯中。少な目のスタートへ。過去の週間ごとの乖離幅経緯は以下の通り。9.30→10.80→11.80→13.95→14.60→16.00→15.45→13.00→14.40→15.35→16.00→15.40→14.90→17.15→15.40→13.90→10.55→9.90→11.20→10.75→12.40→11.75→11.90→12.25→12.40→11.65→11.55←10.85円→9.95円→10.80←11.20→11.45→9.40→11.30円
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&270円以上は円安の目安)
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44 6月平均259.28 7月平均262.43円 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。新年度1月の平均は275.78円。
今週はドル円121.10+157.00=278.10と超円安状態であったが、今週はドル円121.70+158.30=280円と始めて280円台に突入し、円キャリートレードの巻き戻し局面に注意。
欧州3通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅82.15→79.00円』
先週は0.6592で様子見であったが、今週は売りシグナル0.6671が点灯している。過去の売買シグナルは以下の通り。0.6974売り→0.6748買いclose→0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567弱い買い→0.6590売りclose→0.6592様子見
ユーロスイス『平均乖離54円 現状乖離幅59.95→60.75円』
先週の1.6177の様子見から、今週も引き続き1.6228で様子見が点灯中。
週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.5811売り→1.5607買いclose→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.6010様子見→1.6088様子見→1.6119様子見→1.6189様子見→1.6177様子見
ポンドスイス『平均乖離35円 現状乖離幅44.05→42.20円』
先週は2.4539の売りシグナルが継続していたが、今週はポジション解消2.4326買いシグナルに到達し、様子見に転じている。過去の週間ごとの推移は以下の通り。2.2641買い→2.2846売りclose→2.2670買い→2.2795売りclose→2.2694買い→2.2865売りclose→2.2651買い→2,2779売りclose→2.2621買い→2.3340売りclose→2.3495売り→2.3200買いclose→2.3615売り→2.3824売り→2.3372買いclose→2.4430売り→2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4539売り
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりご覧になれますので、ご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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