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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

キャリートレード表裏一体相場へ!

硫黄島からの手紙

硫黄島からの手紙

先日、早朝から奥様も友人とお出かけしましたので、早々にレポートを終え、今話題のクリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』を観賞してきました。日米双方からの硫黄島での戦いであるが、上記作品は日本側の光景であり、渡辺兼主演ともあり、楽しみにしていましたが、内容的にはイマイチでしたね。竹やりと機関銃のような、日米の戦力差をまざまざと感じさせられた次第です。アメリカ側から見た映画『父親たちの星条旗』と題して上映中のようですが、レンタルビデオでも良いかなという心境です。
為替に例えれば、豊富な資金と材料がなければ、レバレッジをあげて、玉砕戦術しかないのでしょうが、少ない資金でもリスク管理がしっかりしていれば、敵は攻めてこないのが為替相場です。
帰宅すると奥様はすでに帰宅しており、硫黄島を観に行ったと報告すると、奥様も渋谷で友人と観てきたと言う、考えることは同じでも、何故かしらタイミングがずれる世代になっているのだろう。映画鑑賞は一人につきると豪語しているが、やせ我慢なのかもしれません。相場は自己責任ですが、一人で悩んでも限界があります。話し相手を見つけることも大事です!

★日銀の利上げ見送りから、一夜明けても、本邦では物議を呼んでいるが、海外勢からの反応は限定的であり、円キャリートレード解消の動きに至るまでは程遠い感触がある。余りにも低い金利体系が金融政策を阻害していることは周知の事実であるが、日本経済の強弱材料が混在し、今回のような金融政策の曖昧さが露呈している段階では、円売り志向が強まる背景は否定できないだろう。海外勢も円金利の一度や二度の利上げペースでは円安が是正されない見方が大半であり、更に、今回のような日本政府と日銀とのやり取りが毅然とすべき中央銀行の体たらくを象徴しており、今後の利上げに関しても積極的な利上げ姿勢は取れないと判断した見解もある。中には来月の利上げどころか、参院選後の8月利上げと踏んだ見方も浮上しているようだが、それほど信頼性に欠く日銀の決断であったと言えるのだろう。一方では、信頼回復のためには来月の利上げ実施を余儀なくされると思われるが、報道メディアを通した金融政策の経緯は日銀の独立性に汚点を残したことは否めず、手のひらを返すような利上げを実施できる状況でもないことも確かである。
福井日銀総裁も確証があれば即座に利上げを実施するようだが、村上ファンドの不祥事の影響もあるが、来年3月の任期を終えるまでは、日本政府の意向に沿った政策運営となると、今後の利上げ見通しにも予断が許せない状況と言えるだろう。

▼超低金利と円安が日本経済回復の柱であることは認識できても、対外的な貿易不均衡が生じている円安地合が長続きはしないのも現実であり、引き続き円キャリートレードを敢行する難しさに直面しているため、適宜な利益確定も視野に入れなければならない。
昨日の米経済指標の改善傾向が示しているように、現状では米金利の利下げは後退しているが、円ショートの膨らみを意識すると、これからの円安基調はかなりゆっくりしたものとなると判断することが賢明であろう。当面は120円台の下値は堅調と判断するが、レンジ幅を120.50~122.50に想定して臨む事を勧める。総じて、投機筋の売買が積極的になる瞬間でもあり、彼らの動きを待ってからの始動に専念することを勧める。おそらく、戻りも早い展開が予想されるため、50ポイント刻みの展開をイメージすることも一考である。
ユーロドルは比較的、下値安定の地合であることから、1.29割れの買いと1.300前後の売りに照準を当てて臨むことが良策であり、同レベルでの待機策を勧める。
補足的になるが、最近の為替相場は一方通行になると、すぐさま反転する相場でもあり、次の展開は米ドル安というシナリオになるが、昨日のバーナナンキFRB議長の議会証言にあるように、早期の財政再建なければ米経済に大きな痛手になる文言が妙に信憑性がある。原油価格の続落が米経済に追い風をもたらしているが、限界が迫っていることを再認識するときでもあり、予断が許せないのが現在の米国の実体経済であるのだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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