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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドル売られすぎ→ニュートラル→買われすぎの展開へ?

2005年の12月以来のドル円120円台ではあるが、その間における日米金利格差の経緯から判断しても、漸く120円台に到達したのが現状とも言える円安である。
今週の注目は週半ばの日銀金融政策決定会合に絞られるが、金利先物の動向でも半分程度の利上げを織り込んではいるが、未だに半信半疑の利上げ論争の最中といえよう。従来の日本政府のコメンとを見る限りは、慎重な姿勢を崩していないのが実状であろうが、懸念された米経済の減速も米雇用統計、貿易収支、そして小売売上高の改善が見られ、短期間ではあるが、確実に米景気の回復基調が増している状況下でもあることを踏まえると、日本経済としては、正常な金利体系に戻すには絶好のチャンスとも言えるだろう。側面的には利上げによる株式市場への影響を考えざるを得ず、一抹の不安が残る利上げであることは確かであろうが、米国の顔色を窺う状況を打破しないと円安地合は継続されるだろう。
▼当初は利上げ実施によるキャリ−トレードの解消が危惧されていたが、現実には0.25%の利上げでは、今後もキャリートレードの解消には至らず、まして米金利の利下げ観測が後退した時点でもあり、更にキャリートレード志向が強まる可能性も生じている。
何れはキャリートレードの解消は発生することは必然であるが、利上げによる雪崩現象的な解消ではなく、蓄積された、かつ過小評価された円安が引き起こす現象でもあり、春の雪解けを待つような、ゆっくりとしたペースでの解消を望むならば、段階的な利上げが効果的であろう。
▼市場では円と米ドルの独歩安を連想させる展開であるが、年間のドル円の変動率を見ても、1~2%の円安であるが、実際には米ドル自体が、対欧州通貨やオセアニア通貨に10%以上の大幅安を展開しており、極端な米ドル安が円安に転化した現象とも言える。米ドルの息が吹き返せば、おのずから円安の道が閉ざされ、円高に反転する可能性が大いにあるのだが、現状のように金利面からの円安を放置すると、ドル円以外の通貨、特にクロス円に関する乱高下相場が繰り返されることにもなる。
元はと言えば原油価格の高騰が米ドル安を促し、低金利の円キャリートレードが相場を形成した背景がある以上は、今回の原油価格の続落により、米ドル上昇と共に、円が買われやすい環境も生まれるだろう。米国としても米ドル離れを阻止する手段の一貫としては、米長期金利の上昇も必要であるが、逆イールド現象は常に米経済の減速感を誘うだけに、長短金利の格差を是正することが必要であり、日本の超低金利と同様に異常な金利体系が米ドル安の主な要因とも言えるだろう。
▼余談になるが、購買力平価の観点からは円安と断定できるが、身近な話になるが、巷の為替両替所では1ユーロ160円と聞けば、買い物好きな日本人観光客でさえも、ユーロ圏での買い物や食事の高さに戸惑いを見せ始めている状態とも聞く。為替相場をチェックする際には、このような事例が最も参考になるケースが多く、過度な円安期待には赤信号が点灯しているのかもしれない。
********今週のペットでも判る簡単チャート*****
作成年月日2007年1月14日)週末の終値ベース 事前予想実施中チャート上では再三米ドルの売られすぎを指摘していたが、先週は主要3大通貨のバランスも取れてきた矢先であったにもかかわらず、今週は逆に米ドルの買われすぎの兆しが見える。もう一段の上昇があれば米ドル売りに転じることも可能であり、当面の目標としてはドル円121円、ユーロドル1.28台半ばあたりに米ドル売りの妙味が生じる。現段階では少な目の米ドル売りに徹し、段階的なナンピン売りシナリオの選択肢も一考である。
●新外為の森HP内 US$強弱チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱を参照
ドル円(ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1206→0.1308)
先週118.60円の弱めの売りシグナルから、今週は弱冠強めの売りシグナル120.35円が点灯している。
今週の乖離幅の試算=ユーロドル1.2925=ユーロ円155.55→(0.7737−0.6429=0.1308)過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買い)→0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い) →0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買い)→0.1153(117.25売り)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買い)→0.1268(119円売り)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買い)close→0.1280(118.85売り)→0.1210(119.00売り)→0.1206(118.60売り継続)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅30円 現状乖離幅35.65→35.20円)
1ヶ月以上継続された売りシグナルも先週の1.3005の弱い売りシグナルから、今週はほぼ解消レベルに接近し、途中経過ではポジション解消のユーロドル買いが1.28台後半では点灯したが、一応、先週末の1.2925の買いシグナルでポジションクローズとなり、様子見に突入している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→1.2269売り→1.2096買い→1.2627売り→1.2729売り→1.2510買い→1.2875売り→1.2511買いclose→1.2840売り→1.3095売り→1.3335売り→1.3202売り継続→1.3081売り継続→1.3134売り継続→1.3202売り継続→1.3005売り(一部買戻し)。
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(26.25→26.05円)
先週はポジション解消の買いシグナルが0.7787で点灯し、様子見であったが、今週は0.7835で弱めの売りシグナルが点灯中。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7432買い継続→0.7517売り→0.7676売り→0.7537買い→0.7420買い→0.7509売りclose様子見→0.7887売り→0.7838売り継続→0.7891売り継続→0.7787買いclose様子見
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅40円 現状乖離幅37.05→37.25円)
先週はポジション解消の買いシグナル0.6876が点灯し様子見に突入したが、今週も引き続き0.6905で様子見が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6422売りclose→0.6179買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.6877売り→0.6894売り継続→0.7000売り→0.7046売り継続→0.6876買いclose様子見
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅17.45→17.40円)
先週の強い売りシグナル1.1725から、今週も売りシグナル1.1690が点灯している。
週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1099買い→1.1229買い→1.1376売りclose様子見→1.1088買い→1.1207買い→1.1298売りclose→1.1195買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買い→1.1195買い←1.1297売りclose→1.1466売り→1.1578売り→1.1655売り→1.1725売り
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅8.30→4.95円)
ドル円120.35x2=240.70−ポンド円235.75=乖離幅4.95円 過去の数週間の動きは1.9808売り→1.9553売り継続→1.9522売り継続→1.9597売り継続→1.9300売り(一部買戻し)、先週は1.9300レベルでは一部買戻しも考慮したが、今週は再び通常の売りシグナル1.9589が点灯中。乖離幅の経緯は以下の通り。
乖離幅が10円を割れたことから、ポンドの買われ過ぎが生じている。最近の乖離幅の経緯は16→13→17→21→17→10→13→15→17→14→17→15→13←11.70→10.70→12.30→7.70→2.20→5.20→4.90→4.80円→8.30。 
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅22.60→23.85円)
先週はポジション解消の売りシグナル1.2354が点灯し様子見に突入したが、今週も1.2472では様子見が継続中である。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.1981買い→1.2306買い→1.2432売り→1.2333買い→1.2475買い→1.2552売りclose→1.2366買い→1.2509買い→1.2606売りClose→1.2728売り→1.2594買いclose→1.2491買い→1.2533売りclose→1.2418買い→1.2093買い→1.1933買い→1.2045買い→1.2212買い→1.2190買い継続中→1.2188買い→1.2354売りclose様子見
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅10.80→11.20円)
先週までの様子見状態から、弱冠豪ドル円売り・NZ円買いの状況になっている。強いシグナルではないが少な目のスタートを推奨。今までのNZ円の変動率と豪ドル円の変動率の比較からも判断し、8円割れの状況か、または13円以上の乖離幅を目安に始動したい。過去の週間ごとの経緯は次の通り。
9.30→10.80→11.80→13.95→13.05→14.60→16.00→15.45→13.00→14.40→15.35→16.00→15.40→14.90→17.15→15.40→13.90→10.55→9.90→11.20→10.75→12.40→11.75→11.90→12.25→12.40→11.65→11.55←10.85円→9.95円様子見→10.80円。
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&270円以上は円安の目安)
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44 6月平均259.28 7月平均262.43円 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。新年度1月の推移は276円→272.85円、今週はドル円120.35+ユーロ円155.55=275.90円と再び円安局面になっている。過度な円安期待は禁物か。
欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅74.65→80.20円』
先週は0.6739で様子見が継続していたが、今週は動きがあり、0.6598で買いシグナルが点灯している。過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6974売り→0.6748買い→0.6818売り→0.6737買い→0.6795売り→0.6735買い→0.6730様子見→0.6690様子見→0.6775売り→0.6732売り→0.6752売り継続→0.6701買い→0.6705様子見→0.6737様子見→0.6739様子見 
ユーロスイス『平均乖離54円 現状乖離幅58.25→59.05円』
様子見状態が継続している。先週の1.6068の様子見に続き、今週も1.6119で様子見継続。週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.5717売り→1.5811売り→1.5607買い→1.5726売り→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.5974様子見→1.6010様子見←1.6088様子見→1.6068様子見
ポンドスイス『平均乖離30円 現状乖離36.90→42.75円』
先週の2.3844の様子見から一変しており、今週は2.4430で売りシグナルが点灯中。過去の週間ごとの推移は以下の通り。
2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2795売り→2.2694買い→2.2865売り→2.2651買い→2,2779売り→2.2621買い→2.2683売り→2.3340売り→2.3495売り→2.3200買い→2.3615売り→2.3824売り→2.3372買い→2.3638様子見→2.3551様子見→2.3840様子見→2.3877様子見→2.3881様子見→2.3844様子見。

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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりご覧になれますので、ご参照ください。新外為の森 
★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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