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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米中覇権争い常態化!?

予想レンジ
ドル円     107.00〜108.30
ユーロ円    116.50〜118.00
ユーロドル   1.0850〜1.0980
豪ドル円    69.50〜70.80

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各主要国では超低金利政策が常態化する中、米国でも新型コロナウィルスの影響を受けて、マイナス金利導入に向けた憶測が飛び交っているが、国際通貨基金(IMF)が公表した報告書では日銀やECBなどが導入したマイナス金利の効果は限定的であり、今後もマイナス金利の深堀は一時的に為替レートや貿易などには寄与するであろうが、相対的には金融機関の収益性を圧迫するなど副作用も多い旨を指摘している。そして、中国では全国人民代表大会(全人代)が開催されたが、李克強首相は新型ウイルスの情報を中国が隠蔽したとするトランプ政権を非難したほか、香港で国家安全を維持するための国家安全法案を提議するなど、コロナショックを背景に米中の覇権争いが更に激化する可能性もあり、相対的には市場はリスク回避志向が根強く、ネガティブに反応しやすい相場環境に置かれている。その中、IMM通貨先物においては、ドルは主要6通貨に対する売り越し額は3月上旬以来の低水準になっており、有事のドル買い需要が強まっており、現状レベルからのドルショ―は自重局面に差し掛かっている。

一方、ドル円はリスク回避の円買いとドル買いが相混じる中、ドル円107円台半ば前後で試行錯誤が続いている。当面、上値のドル円108円台が重石なってはいるが、実需売買がドル円107円前後と108円前後に集中しており、引き続きレンジ幅ドル円107.00〜108.30円を重視し、同レベル前後からナンピン売買が賢明であろう。

他方、ユーロドルは1.1000前後が上値抵抗線になっており、拙速的な上値トライは慎重になっている。独仏からの提案で5千億ユーロ規模の復興基金設立への期待もあるが、買い戻す材料としては不十分との見方もあり、戻り売り優先の展開を強いられている。引き続きレンジ幅1.0850〜1.0980を重視し、同レベル前後からナンピン売買が一考であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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