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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

キャリトレードの賞味期限は春の嵐まで?

●あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

2006年度は円キャリートレード旋風が吹きまくったが、今年度は円キャリートレードの解消を視野に入れながらの戦略性が要求されるだけに、過度な円安期待が裏目に出ることを想定にしながら、慎重に対処しなければならない。亥年ではあるが、猪突猛進型の円売りが存続するかを見極めたい年始めである。
2006年度後半の円安要因が7、8割方は低金利のしわ寄せ現象であることから、円金利の利上げが即座に実施されれば、円安に歯止めがかかるが、日本政府および、日銀の引き締め方針も、あくまでも緩やかな利上げが前提なだけに、おそらく、年度内の利上げが実施されても、精々2回(0.5%)程度であり、公定歩合が1%にも満たない状況下では、外債投資に依存する機関投資家の意欲は根強く、逆に円売りに安堵感を与えかねないかもしれない。
いずれにしても、連続的な利上げシナリオがイメージできない状況だけに、たとえ1回目の利上げが今月若しくは3月までに実施されたとしても、次回利上げまでの距離が半年以上あると、却って円キャリートレードを助長させることにもなりかねない。一方ではECBの利上げも予想される以上はユーロドルの堅調さも手伝い、クロス円ではユーロ円160円を意識する展開も見えてくる可能性も生まれている。
しかしながら、昨年度の円安基調が、米ドルを除く対欧州通貨過並びにオセアニナ通貨に過剰に反応していただけに、人民元の切り上げも含めて、円安に急ブレーキが生じる場面も想定しなければならないのも事実であろう。
★金利格差がもてはやされた事は、過去にも何度もあるが、為替相場が乱高下する際には政治的な圧力を除外すれば、あくまでも資金の流動性に変化が生じるときであり、また、同時に貿易不均衡が主役であったことを認識すれば、現在のような超低金利の弊害によって発生したキャリートレードの実体は掴み所が難しいと言わざるをえない。恒常的な産物ではない事は確かではあるが、想像以上に投機筋の需給関係が乱れている現象でもあり、為替相場に新風を呼び込んだとも言えるだろう。
★米ドル主導の相場には変わりがなくても、政治的な圧力だけでは為替相場をコントロールできない環境になりつつあるのは明白であり、2000年以降には中国を軸にBRICS諸国の台頭により、為替相場自体に変化が生じている。それが最近の為替相場の実体でもあり、また為替変動率の低下にも繋がっている要因とも言えるだろう。
★ドル円に対する評価は依然として、2006年度と同様に210~220円の狭いレンジでの攻防になる可能性は高いだろう。問題はユーロの動向次第となるが、欧州経済の先行きも必ずしも好調さばかりではなく、不安要素も含んでいる状態である。日本経済と同様にアメリカ経済に依存している事は否定できず、世界基軸通貨第2位の威力を堅持する事は出来ても、過大評価されるユーロ高は欧州経済全般にとっては好ましい状況とは言えない。 ドイツでは早くも3%の付加価値税が増税され、1日にはスロベニアが中東欧の先陣を切ってユーロ導入を行ない、表面的にはユーロの拡大図が描かれてはいるが、今後も小国と大国との経済アンバランスを含めて、ECBの舵取りは難航することも想定しなければならない。相対的には回復基調の世界経済であるが、巨大な米国母艦の進路が右往左往する状況だけに、安定した為替相場の構図は描けないのが現状であることからも、新春相場も乱高下必至の相場は避けられそうにない。

*********今週のペットでも判る簡単チャート*******
作成年月日 2007年1月01(月) 週末の終値ベース 事前予想実施中
3週間続いた米ドルの売られすぎも終盤に差し掛かっている。ドル円に対しては119円前後、ユーロドルに対しても1.31台が維持できれば米ドルもニュートラルに達している状況となる。現状では対ユーロでは売られすぎの傾向は否めないが、相対的には米ドルのもう一段の上昇が期待できる相場である。他の通貨のロングは自重することを勧めるが、全般的にはドル円相場のこう着度が増しており、米ドルと円の弱さが妙にバランスしている相場であることから、他の通貨に歪みが集約されやすい相場とも言える。。
●新外為の森 HP内US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱を参照
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1208→0.1210)
先週118.85円の売りシグナルから、今週も変化が見られず、引き続き119円では売りシグナルが点灯中。
今週の乖離幅の試算=ユーロドル1.3202=ユーロ円157.10→(0.7575−0.6365=0.1210)過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買い)→0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い) →0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買い)→0.1153(117.25売り)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買い)→0.1268(119円売り)→0.1314(119.65売り)→0.1250(118.72売り)→0.994(115.85買いclose→0.1003(115.45様子見)→0.1175(118.15売り)→0.1280(118.85売り)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅28円 現状乖離幅37.25→38.10円)
先週の1.3134の売りシグナルに引き続き、今週も1.3202で売りシグナルが点灯継続中。週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→1.2269売り→1.2096買い→1.2627売り→1.2729売り→1.2510買い→1.2810売り→1.2875売り→1.2600(一部買戻し)→1.2511買いclose→1.2840売り→1.3095売り→1.3335売り→1.3202売り継続→1.3081売り継続→1.3134売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(25.70→25.10円)
先週0.7838の売りシグナルから、今週も引き続き0.7891の売りシグナルが点灯継続中である。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7432買い継続→0.7517売り→0.7536様子見→0.7676売り→0.7595売り
継続→0.7537買い→0.7460買い→0.7420買い→0.7509売りclose様子見→0.7786売り→0.7887売り→0.7860売り→0.7812売り継続→0.7838売り継続中
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅40円 現状乖離幅35.65→35.15円)
先週の強い売りシグナル0.7000から、今週も更に強めの売りシグナル0.7046が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6422売りclose→0.6179買い→0.6251買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.6628売り→0.6877売り→0.6867売り継続→0.6894売り継続→0.7000売り
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅16.25→16.90円)
先週の売りシグナル1.1584から、かなり強めの売りシグナル1.1655が点灯している。
週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1099買い→1.1229買い→1.1376売りclose様子見→1.1088買い→1.1207買い→1.1298売りclose→1.1195買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買い→1.1195買い←1.1297売りclose→1.1466売り→1.1491売り継続中→1.1578売り→1.1584売り継続
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅4.90→4.80円)
先週と大差はなく、ドル円119.00x2=238.00−ポンド円233.20=4.80円 過去の数週間の動きは1.9808売り→1.9553売り継続→1.9522売り継続から、今週も先週の売り1.9588から変化はなく1.9597の売りシグナル点灯継続中。過去の乖離幅の経緯は以下の通り。
乖離幅が10円を割れたことから、ポンドの買われ過ぎが生じている。最近の乖離幅の経緯は16→13→17→21→17→10→13→15→17→14→17→15→13←11.70→10.70→12.30→7.70→2.20→5.20→4.90円。 乖離幅の売買目安=乖離幅30円→1.74、25円→1.780、20円→1.8250、15円→1.8600、10円→1.9000レベルと幅広いが、5円を割れではポンドの買われすぎがみられる。
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅21.35→21.35円)
乖離幅自体は先週と変わらず、先週の買いシグナル1.2190と同様に買いシグナル1.2188が点灯継続中。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.1981買い→1.2306買い→1.2432売り→1.2333買い→1.2475買い→1.2552売りclose→1.2366買い→1.2509買い→1.2606売りClose→1.2728売り→1.2594買いclose→1.2491買い→1.2533売りclose→1.2418買い→1.2093買い→1.1933買い→1.2045買い→1.2212買い→1.2190買い継続中
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅12.00円現状乖離幅9.95→10.05円)
依然として様子見状態が継続中である。今までのNZ円の変動率と豪ドル円の変動率の比較からも判断しても、8円割れの状況か、または13円以上の乖離幅でなければ、リスクが生じる。チャート上では様子見を示している。現状の円安レベルでは基準点を10円前後に設定することも可能。過去の週間ごとの経緯は次の通り。
9.30→10.80→11.80→13.95→13.05→14.60→16.00→15.45→13.00→14.40→15.35→16.00→15.40→14.90→17.15→15.40→13.90→10.55→9.90→11.20→10.75→12.40→11.75→11.90→12.25→12.40→11.65→11.55←10.85円→9.95円様子見。
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&270円以上は円安の目安)改訂 
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44 6月平均259.28 7月平均262.43円 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。
今週はドル円119.00+ユーロ円157.15=276.15と円安が顕著である。先週の274.95円の円安から、更に円安が進行している状況であるが、ドル円120.00+ユーロ円160円=280円も意識する必要性も生じているが、高値掴みのリスクも増大している。
欧州通貨ペア(3通貨がバランスしており、様子見状態継続中)
ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅76.70→75.10円』
先週は0.6705で様子見が継続していたが、今週は0.6737でも様子見継続中。過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6974売り→0.6748買い→0.6818売り→0.6737買い→0.6795売り→0.6735買い→0.6730様子見→0.6690様子見→0.6775売り→0.6732売り→0.6752売り継続→0.6701買い→0.6705様子見
ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅58.60→59.45円』
様子見状態が継続している。先週は1.6010の様子見に続き、今週も1.6088で様子見継続。週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.5717売り→1.5811売り→1.5607買い→1.5726売り→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.5974様子見→1.6010様子見
ポンドスイス『平均乖離30円 現状乖離37.80→37.90円』
欧州3通貨の模様眺めが継続している。ポンドスイスは大きくぶれるプライスであるが、先週の2.3877の様子見に続き、今週も2.3881で様子見継続中である。過去の週間ごとの推移は以下の通り。
2.2986売り→2.2763買い→2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2795売り→2.2694買い→2.2865売り→2.2651買い→2,2779売り→2.2621買い→2.2683売り→2.3340売り→2.3495売り→2.3200買い→2.3615売り→2.3824売り→2.3571売り継続→2.3372買いclose→2.3638様子見→2.3551様子見→2.3840様子見→2.3877様子見
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりご覧になれますので、ご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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