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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

亥年→当てにならない猪突猛進の円高? 

今年最後の書き込みとなります。
ユーロ円が史上最高値を更新中。他の通貨も年初来の高値を更新中と円の利上げ観測も後手後手に回る状況下では、来年に向けての円キャリートレードの火種は簡単には消えそうにない。1年前の円キャリ−レード現象では、連続的な利上げによる米ドル主体のキャリートレードであったが、米経済減速懸念と米金利打ち止めを発端に、世界マネーの流動性が確実に変化している兆しがある。

原油価格の高騰も米ドルの評価を下げ、各国中銀が米ドル保有リスクを意識し、また米長期債利回り低下も米ドル離れを誘引している状況でもあり、米ドルに対する不信感が米ドルの弱さに繋がった一年とも言える。そして、円に関しても、利上げが実施されても、向こう一年は1%にも達しない円となれば、根本的に買われる材料が乏しいと判断するのが現実であろう。しかし、円安にも天井があるのが現代の為替相場の実体でもある。
一般投資家は短期金利に集中するが、ヘッジファンド及び機関投資家の狙いは中長期の金利動向に関心が集中しており、日米の中長期利回り低下現象が回復しない限りは、円キャリ−トレードの傾向は強まり、米ドル離れも加速する傾向は否定できないだろう。
但し、貿易不均衡の視点からは、2007年度には今年度のようなキャリートレード思考の減退も予想され、一方的な円安、米ドル安の情勢にはなりにくいと見るのが妥当であろうが、為替特有の達成感を求めるならば、ドル円120円とユーロドルが過去の最高値レベル1.33台半ばに達すれば、ユーロ円160円の可能性は否定出来ない相場である。
しかしながら、ドル円120円までは、日米間でも容認されても、世界的な貿易摩擦が生じる円安レベルである事も否定できず、世界の第2基軸通貨であるユーロ人気が高まるほど難易度も高まる相場であることを認識すべきであろう。
昨日は中国人民銀行副総裁が為替相場に関して述べているように、今後は人民元高とユーロ高を予想しているが、米国の圧力による人民元の切り上げではなく、米利下げ観測を前提して、米ドル安を望んでいるようだが、米国が中国側の見解を甘んじて承認するわけもなく、ましてや、ドル離れを最も嫌う米国だけに、要所要所には米ドルの反発は必至であることを踏まえて市場参加することが大事である。

年末年始を控えて、かなり流動的な相場であるが、円キャリートレードも機関投資家の円売りが一巡してはいるが、円安の流れを引きずっており、本邦不在の年初相場は過去の例でも乱高下しており、ポジションを少なめにして、模様眺めに徹すること勧める。
ドル円相場は均衡を保っており、世界的なキャリートレードの流れから、クロス円の上昇が相場を賑わしたが、金利差以上の円安劇場を演じている相場と判断することが賢明であり、リスク分散のためにも過度なキャリートレード思考は慎みたい。
*****************************★2007年度は亥年でもあり、猪突猛進の円高の年とも言われているようですが、根拠のない話ですが、過度な円安期待は禁物なのかもしれません。

★それでは、良いお年をお迎えください。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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