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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円キャリートレード再開?米ドル>円・ユーロ

● 今週の相場見通し
先週は過大評価気味に上昇していた欧州通貨の修正局面であるとは言いながらも、年度末に向けて、市場参加者もファンド系の調整売買に振り回された展開であった。東京市場はドル円115円台前半の攻防から、NY市場では1円の円安局面に移行して116円台前半の攻防となり、米雇用統計が予測を上回ったにしても、総体的な材料不足の状況でもあり、米ドル上昇の不自然さを感じさせる相場でもある。
市場でも後講釈的な説明が優先されているが、総じて、乱高下した理由探しの場に化しており、明確な米ドル上昇材料が判明したとは言えないのが現状であろう。米ドル買いの主な材料が米雇用統計以外にはポールソン米財務長官の強気な米ドル発言とは言われているが、強い米ドルは国益であるとのコメント自体には全く新鮮味があるわけでもないことから、狼狽的な売買が先行したとみるべきであろう。
米経済の減速および後退懸念が米ドル売りを誘引しているが、結果的には先走りすぎた米ドルショートとも言えるため、ドル円以外の通貨に対して、米ドルの調整買いが進行しやすい相場である。
流動性の面からは米ドル離れが進行中ではあるが、再び対米ドルへの円キャリ−トレードの動きに転じる可能性もあり、特に米利下げ観測後退ともなれば、仮に日銀の利上げが視野にあったとしても、所詮は低金利である円では勝負にならず、米ドル金利の優位性が見直されても不思議ではない。しかしながら、日米金利格差縮小が見込まれるだけに、ドル円の上値の重さは避けられない。ユーロドルの連続的な利上げも報じられてはいるが、米国のような連続的な利上げを望む事には無理があり、金利格差を背景にした、円売り、ユーロ調整売り、そして、今後も米ドルの利下げ局面が生じても、5%台の米ドルロング志向の魅力は捨てきれない状態が続き、米ドルの急落懸念は緩和されると判断する。そして円キャリートレードの志向も対ユーロ通貨に対しては飽和状態とも言われるだけに、過度な円安は望む時期ではないだろう。
▼今週の経済指標もFOMC政策金利発表をはじめとして、波乱含みの指標が続くが、米経済の不透明さを払拭することは不可能に近く、乱高下必死の相場とみて、レンジ幅の拡大を図りながら対処することが賢明であろう。ドル円が1〜2円ほどの上下動を繰り返しているが、今週末の日銀短観によって利上げの方向性と時期が判明すると思われるが、日銀当局としても、年度内の利上げの公算が少ない局面でもあり、ドル円が115円割れの状況下で利上げを敢行すれば、株式市場の続落、円キャリートレード解消などの影響を考慮すれば、今後予想される円高に対処できるような円安レベルを維持したいところでもある。強いてあげるならば、116円から118円の円安状態の方が利上げを実施する環境が整っているとも言えるだろう。
▼シカゴIMM通貨先物(投機筋)の円ショートも米ドルの不安定差を象徴しているかのように、急縮小しており、一時は13.7万枚のショートを記録した状況からは一変して、2.3万枚のショートではあるが、極端な円高局面とはならず、またユーロドルロングも10万枚に接近する状態からも、米ドルの下げ基調と判断した投機筋の感触なのであろうが、膨れ上がった米ドルショートの反騰にも注意を払いたいレベルではある。

*********今週のペットでも判る簡単チャート****作成年月日 2006年12月10(日)週末の終値ベース事前予想実施中先週はチャート上では米ドルの売られすぎが目立っていることを指摘したが、週末にかけては、一応米ドルの買い戻しが見られたが、ドル円を除けば、現段階でも米ドルの売られすぎが見られる。基本的にはまだ米ドルの買い余地が残る相場でもあり、利益確定の米ドル売りが進行するようならば、再度米ドル買いの好機が訪れる可能性も生じている。
新外為の森 HP内US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱を参照
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1065←0.1003)
先週の様子見レベル115.45円から116円台までの上昇を見せているが、116.35円レベルでは弱めの売りシグナルが点灯しているのみ。もう一段階の上昇を見てからの売りが賢明。今週の乖離幅の試算=ユーロドル1.3202=ユーロ円153.60(0.7575−0.6510=0.1065)であり、平均乖離幅0.1000から判断しても、様子見レベルに達している。過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買い)→0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い) →0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買い)→0.1153(117.25売り)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買い) →0.1143(118.1売り)→0.1268(119円売り)→0.1314(119.65売り)→0.1250(118.72売り)→0.1175(117.6売り)→0.1199(118.00売り)→0.11666(117.60売り)→0.1172(117.70売り)→0.994(115.85円買い様子見へ)→0.1003(115.45様子見)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅28円 現状乖離幅37.25←38.50円)
先週はユーロドル高のピークを感じさせ1.3335の強い売りシグナル点灯していたが、さすがに急落局面に陥っているが、今週も1.3202の売りシグナル点灯している。
週間ごとの経緯は下記の通り。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→1.2269売り→1.2096買い→1.2627売り→1.2729売り→1.2510買い→1.2810売り→1.2875売り→1.2600売り(一部買戻し)→1.2511買いclose→1.2717売り弱め→1.2840売り→1.2833売り継続→1.3095売り→1.3335売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(24.90←24.40円)
先週の強めの売りシグナル0.7887から、ほぼ変らず、強めの売りシグナル0.7860が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7432買い継続→0.7517売り→0.7536様子見→0.7676売り→0.7595売り継続→0.7537買い→0.7460買い→0.7420買い→0.7509売りclose様子見→0.7695売り→0.7786売り→0.7887売り
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅40円 現状乖離幅35.45←36.05円)
先週の強めの売りシグナル0.6877から、今週も引き続き強めの売りシグナル0.6867が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6334買い→0.6422売りclose→0.6179買い→0.6082買い→0.6114買い→0.6251買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.6628売り→0.6716売り→0.6877売り
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円現状乖離幅13.85→14.45円)
先週の強めの売りシグナル1.1431に続いて、今週も強めの売りシグナル1.1491が点灯している。週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1099買い→1.1229買い→1.1282買い→1.1376売りclose→1.1318様子見→1.1088買い→1.1207買い→1.1298売りclose→1.1195買い→1.1174買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買い→1.1195買い←1.1297売りclose→1.1318様子見→1.1466売り→1.1358売り継続→1.1431売り継続
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅5.205←2.20円)
ドル円116.35x2=232.70−ポンド円227.50=5.20円 先週の強い売りシグナル1.9809から調整売りが進んでいるが、今週も売りシグナル1.9553が点灯中。過去の乖離幅の経緯は以下の通り。
乖離幅が10円を割れたことから、ポンドの買われ過ぎが生じている。最近の乖離幅の経緯は16→13→17→21→17→10→13→15→17→14→17→15→13←11.70→10.70→12.30→7.70→2.20円 乖離幅の売買目安=乖離幅30円→1.74、25円→1.780、20円→1.8250、15円→1.8600、10円→1.9000レベルと幅広いが、5円を割れており要警戒レベル。
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅19.75←18.70円)
先週の強い買いシグナル1.1933に引き続きから、上昇を見せたが、今週も強い買いシグナル1.2045が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2261買い→1.1981買い→1.2165買い→1.2088買い→1.2306買い→1.2432売り→1.2333買い→1.2475買い継続→1.2552売りclose→1.2366買い→1.2509買い
→1.2606売りClose→1.2728売り→1.2594買いclose→1.2491買い→1.2533様子見→2418買い→1.2435買い→1.2093買い→1.1933買い
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅12.00円現状乖離幅11.55←11.65円)
様子見レベル続いている。当面の目標は10円割れと15円前後に焦点を当て
たい。過去の週間ごとの経緯は次の通り。
9.30→10.80→11.80→13.95→13.05→14.60→16.00→15.45→13.00→14.40→15.35→16.00→15.40→14.90→17.15→15.40→13.90→10.55→9.90→11.20→10.75→12.40→11.75→11.90→12.25→12.40→11.65円。
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&265円以上は円安の目安) 
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44 6月平均259.28 7月平均262.43円 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月は268.68円の円安レベルであったが、先週はドル円115.45+ユーロ円153.95=269.40と270円に接近したが、今週はドル円116.45+ユーロ円153.60=270.05と270円台に突入し、円安警戒レべルの高まりがある。円買い局面へ
欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離68円 現状乖離幅73.90←74.75円』
先週の売りシグナルが0.6732ではあるが、売りシグナルとしては弱めの段階。今週も弱めの売りシグナル0.6752が点灯中。過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6974売り→0.6748買い→0.6731様子見→0.6818売り→0.6737買い→0.6795売り→0.6735買い→0.6730様子見→0.6689様子見→0.6690様子見→0.6775売り→0.6732売り
ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅57.00←57.20円』
先週は1.5912で様子見に達しており、今週も引き続き1.5901で様子見が続いている。過去の売買シグナルは以下の通り。
1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り→1.5607買い→1.5726売り→1.5815売り→1.5905
売り→1.5855売り継続→1.5925売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5912様子見
ポンドスイス『平均乖離30円 現状乖離34.30←35.20円』
先週の様子見レベル2.3638から変更はなく、今週も2.3551で様子見が続いている。過去の週間ごとの推移は以下の通り。
2.2986売り→2.2763買い→2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2795売り→2.2694買い→2.2865売り→2.2651買い→2,2779売り→2.2621買い→2.2683売り→2.2975様子見→2.3340売り→2.3495売り→2.3200買い→2.3388売り様子見→2.3447様子見→2.3615売り→2.3713売り→2.3824売り→2.3710売り継続→2.3571売り継続→2.3372買いclose→2.3638様子見
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりご覧になれますので、ご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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