FOMCの利上げ姿勢軟弱化!ドル戻り売りに傾斜?
予想レンジ
ドル円 112.30〜113.50
ユーロ円 128.00〜129.30
ユーロドル 1.1350〜1.1480
豪ドル円 81.80〜83.00
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米債券利回りが再び低下傾向を示す中、相対的にドル売りが優勢になっている。現時点では12月のFOMCの利上げが確実視されており、米10年債利回りが3%割れになる可能性は低く、過度なドル安局面は描きづらい状況にある。ただ、先にパウエル議長はFRBが来年の課題について、海外需要の鈍化を指摘しているが、クラリダFRB副議長が改めて世界的な減速を示唆する証拠はあると表明、米金利はFRBが中立金利と見なす水準に近づいていると述べている。また、ダラス・カプラン地区連銀総裁が世界的な成長は若干の向かい風になり、米経済も影響を受ける可能性があるとの見方を指摘するなど、来年以降の利上げサイクルに赤信号が点滅している。その中、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議において、首脳宣言が断念される異例の事態となるなど、米中の対立構造の激化がマーケットのかく乱要因になっている。ただ、トランプ大統領が中国は合意をしたがっており、追加関税は必要ないかもしれないと述べる中、ロス商務長官は今月末のG20首脳会議で行われる米中首脳会談では最終合意には至らず、対中関税を1月に25%に引き上げる計画があると述べるなど、中国に揺さぶりをかけている。当面、G20での米中首脳会談を見極めるまで拙速的な売買は手控えざるを得ないだろう。
一方、ドル円は米債券利回りの低下を背景に、再び112円台に突入しており、上値の重さが意識されているが、依然として、実需買いと利益確定買いがドル円112円前後で散見されるなど、ドル円相場の膠着度が再認識されており、引き続きレンジ幅ドル円112.30〜113.30円重視で対応することが一考であろう。
他方、ユーロドルは1.14台を回復しており、一見底堅い展開ではあるが、ドル売りに助長された側面が強く、また、ゴーブ英環境相が辞任を撤回し、ポンド安が一服したことも買い戻された要因である。ただ、依然として、視界不良な英EU離脱問題やイタリアの財政難などを背景に、引き続き戻り売り優勢と見なした方が無難であり、当面、レンジ幅ユーロドル1.1350〜1.1480重視で対応することが賢明であろう。