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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円114円台からのナンピン買いに妙味あり!

今週も波乱含みの相場展開になると思われるが、ドル円自体はこう着度が増しており、米
経済の減速懸念と利下げが視野に入り、低金利の円買いにも魅力を失せているマーケット
でもある。更にユーロドルを主体としたポンド、スイス、そしてオセアニ通貨高までを巻
き込んだ市場あるが、米ドル全面安と円全面安の傾向が持続するには、余りにも急展開の
相場であるだけに米ドルの反動も期待できる週と言えるだろう。
しかしながら、先週から引き継いだ米ドル売りの流れを寸断する材料も乏しいことも事実
であり、世界マネーの流れが利上げのない米ドルから他の商品を摸索することも考慮しな
ければならず、米長期金利の低下現象も含めて、米ドル離れに拍車をかける下地が整いつ
つあるのかもしれない。安易に判断するにはリスキーな相場展開と思われるが、即時に米
経済の後退と利下げまで考慮しない限りは、今後の米ドルの下げも限定的と判断するのが
妥当であろう。市場の流動性が問われる時でもあり、予断は許せない状況が待ち受けている。
▼今週は各国の政策金利が相次いで発表されるが、ECBの利上げは織り込み済みとは言われ
ながらも、軒並み欧州要人発言はタカ派的な見解が多く、来年以降も強気な欧州経済を見
込んでいるようだが、総じて、米経済依存の経済でもあり、楽観的な発言の裏づけとして
は米経済のソフトランディングが含まれている。そして、米ドルの世界の基軸通貨に対す
る反論と思惑もあるのだろうが、余りにも短期間のユーロ高であると、逆に急落の恐れが
増えつつあることも否定できない。
前回のユーロ高は2年前の2004年12月に遡るが1.25から1.35までは急上昇を見せたが、
その後の急落ペースも尋常ではなかったことを察しても、上値余地はあるにしても、手仕
舞い局面も視野に入れながらのユーロ買いではあるが、円のキャリートレードの巻き戻し
イメージした神経質展開は避けられない。当時のドル円が102円台であり、100円割れ目前
とも言われた経緯から判断すると、単純に考えても円安の行き過ぎ、すなわち円の過小評
価が問われても全く不思議ではない。最終的には米ドルは2.25%から5.25%まで3%の上昇
を見せたことから、円安局面はある程度は理解できる範囲と言えるが、ユーロ円および他
の通貨に対して確実に米ドル安がこれ以上加速すると見るべきか、判断に苦しむ時ではあ
る。
▼来週12日にはFOMCが控えている関係上、今週末の米雇用統計の状況を見てからの判断
に託しても充分と思われるが、市場は米雇用統計の動向で利下げを織り込みたいのであろ
うが、米経済指標の中でも最も信頼性が乏しい指標のひとつでもあり、悪化に対しては鋭
く反応する地合でもあることから、総じて、米ドルロングは慎重にならざるを得ず、米ド
ルの上値も限定的なマーケットであろう。反面、対円でも過大評価気味の欧州通貨との兼
ね合いもあり、難易度としてはハイレベルであり、ポジションの縮小しながら、事が生じ
てからの対応に専念することが賢明な相場であろう。
▼投機筋であるIMM先物通貨もユーロロングが9万枚に達する勢いであるが、警戒感も増
していることも確実である。円先物通貨もショートが激減しており、通貨先物だけでは米
ドルに対する不安感が増している状況であるが、反面、ユーロドルおよび他の通貨の反転
期に差し掛かっており、IMM通貨全般の米ドル売りの流れも急であるため、一度は清算段階
レベルとして認識することも必要であろう。

*********今週のペットでも判る簡単チャート*************
作成年月日 2006年12月12月03(日) 週末の終値ベース 事前予想実施中
欧州通貨全般の強さが顕著であるが、ドル円相場が一進一退の攻防であることから、必然
的に円キャリートレードに歯止めがかからない状況が継続中である。相対的には米ドル売
りの流れと欧州通貨勢へのシフトであるが、チャート上では米ドルの売られすぎが目立っ
ているため、更に米ドル売りが敢行されれば、米ドルの買戻しに重点を置きたい相場であ
る。先週以上に米ドルショートの拡大は控えたい局面である。
新外為の森 HP内US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱を参照
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.994→0.1003)
先週は115.85の買いレベルでポジション解消局面を迎えたが、方向性は乏しく、今週も引
き続きドル円115.45レベルでは様子見である。今週の乖離幅の試算=ユーロドル1.3335⇔
ユーロ円153.95(0.7499−0.6496=0.1003)であり、平均乖離幅0.1000から判断しても、
様子見レベルに達している。過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買い)→0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買
い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買い)→0.1153(117.25売り)→0.1177(117.60
売り)→0.1111(116.55買い)→0.1143(118.15売り)→0.1268(119円売り)→0.1314(119.65
売り→0.1250(118.72売り)→0.1175(117.6売り)→0.1199(118.00売り)→0.1166(117.60
売り)→0.1172(117.70売り)→0.994(115.85円買い様子見へ)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅28円 現状乖離幅35.85→38.50円)
ユーロドルの上昇が懸念される。1.28台からの売りシグナルから始まり、先週は強めの1.31
前後の売りシグナル、そして今週はピークを感じさせる1.3335の強い売りシグナルが点灯
している。要警戒レベルに達している。 週間ごとの経緯は下記の通り。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→1.2269
売り→1.2096買い→1.2627売り→1.2729売り→1.2917売り→1.2510買い→1.2810売り
→1.2875売り→1.2600売り(一部買戻し)→1.2511買いclose様子見→1.2717売り弱め
→1.2840売り←1.2833売り継続→1.3095売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(25.65→24.40円)
先週の強めの売りシグナル0.7786から、更に強めの売りシグナル0.7887が点灯している。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7432買い継続→0.7517売り→0.7536様子見→0.7676売り→0.7595売り
継続→0.7665売り→0.7537買い→0.7503様子見→0.7460買い→0.7420買い→0.7509売り
close解消様子見→0.7695売り→0.7689売り継続→0.7786売り
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅40円 現状乖離幅38.05→36.05円)
先週の売りシグナル0.6716から、今週はかなり強めの売りシグナル0.6877が点灯してい
る。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6334買い→0.6422売り解消→0.6200様子見→0.6179買い→0.6082買い
→0.6114買い→0.6251買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売り
close→0.6530買い→0.6680売り解消→0.6628様子見→0.6699売り→0.6662売り継続
→0.6716売り
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅13.85→14.45円)
先週の売りシグナル1.1358から、再び強めの売りシグナル1.1431が点灯している。
週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1099買い→11.1010買い→1.1229買い→1.1282買い→1.1376売りclosed→1.1318様子
見→1.1088買い→1.1207買い→1.1298売りclose→1.1195買い→1.1174買い→1.1258売
りclose→1.1379売り→1.1262買い→1.1195買い←1.1297売りclose→1.1318様子見
→1.1466売り→1.1358売り継続
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅7.80→2.20円)
ドル円115.45x2=230.90−ポンド円228.70=2.20円 先週の強い売りシグナル1.9327
から更に上昇気運が生じており、想定以上のペースといえる。かなり強い売りシグナル
1.9809が点灯中。過去の乖離幅の経緯は以下の通り。
乖離幅が10円を割れたことから、ポンドの買われ過ぎが生じている。最近の乖離幅の経緯
は16→13→17→21→17→10→13→15→17→14→17→15→13←11.70→10.70→12.30円。
乖離幅の売買目安=乖離幅30円→1.74、25円→1.780、20円→1.8250、15円→1.8600、
10円→1.9000レベルと幅広いが、5円を割れており要警戒レベル。
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅20.05→18.70円)
先週の買いシグナル1.2093に引き続き、今週もさらに強い買いシグナル1.1933が点灯し
ている。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2261買い→1.1981買い→1.2165買い→1.2088買い→1.2306買い→1.2432売り→1.2333
買い→1.2307買い→1.2475買い継続→1.2552売りclosed→1.2366買い→1.2509買い
→1.2606売りClosed→1.2728売り→1.2594買いclosed→1.2491買い→1.2533様子見
→2418買い→1.2435買い→1.2093買い
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅12.00円 現状乖離幅12.40→11.65円)
基本的には様子見レベルに達している。当面の目標は10円割れと15円前後に焦点を当て
たい。過去の週間ごとの経緯は次の通り。
9.30→10.80→11.80→13.95→13.05→14.60→16.00→15.45→13.00→14.40→15.35→16.0
0→15.40→14.90→17.15→15.40→13.90→10.55→9.90→11.20→10.75→12.40→11.75→
11.90→12.25円→12.40円。
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&265円以上は円安の目安) 
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44 6月平
均259.28 7月平均262.43円 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 円安警戒
レベル。11月は268円で安定した円安レベルであったが、今週はドル円115.45+ユーロ円
153.95=269.40と270円に接近中。円安警戒と言わざるを得ない状況。270円では円買い
へ。
欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離68円 現状乖離幅72.20→74.75円』
先週の売りシグナルが0.6775から、大きな変化がなく売りシグナル0.6732が点灯中。
過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6974売り→0.6748買い→0.6731様子見→0.6818売り→0.6737買い→0.6795売り
→0.6735買い→0.6730様子見→0.6689様子見→0.6690様子見→0.6771売り→0.6775売り
ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅55.90→57.20円』
先週はポジションクローズの買い1.5835で様子見に達しており、今週も1.5912で様子見
レベルになっている。過去の売買シグナルは以下の通り。
1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り→1.5607買い→1.5726売り→1.5815売り→1.5905
売り→1.5855売り継続→1.5925売り→1.5945売り→1.5835買いclose様子見へ
ポンドスイス『平均乖離30円 現状乖離32.30→35.20円』
先週はポジション解消の買いシグナル2.3372が点灯し、様子見に突入したが、今週もポン
ドおよびスイスの動きが生じていたが2.3638で様子見。
過去の週間ごとの推移は以下の通り。
2.2986売り→2.2763買い→2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2742買い→2.2795
売り→2.2694買い→2.2865売り→2.2651買い→2,2779売り→2.2621買い→2.2683売り
→2.2975様子見→2.3340売り→2.3495売り→2.3200買い→2.3388売り様子見→2.3447様
子見→2.3615売り→2.3713売り→2.3824売り→2.3710売り継続→2.3571売り継続
→2.3372買いclose様子見へ
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりご覧になれますので、ご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお
願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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