キャリートレードは解消ならず、巻き戻しは来年以降?
先週の米ドル全面安の影響を受けて、米ドルの不透明感が更に増している状況であり、先週からの米ドル安を再確認することが必要である。従来のレンジ相場から脱したことは明白であるが、更に米ドルが続落するには、米経済の減速から後退にまで発展する可能性もあり、日欧経済も含めて、世界経済の減速にも繋がるだけに、米ドルの急落は限定的なものになると判断することが妥当であろう。そして、中国人民銀行も述べているように、米ドルの続落が直接アジア資産の目減りを意味するものであり、最終的には米ドル保有資産離れが促進される傾向は否めないが、自らの米債売却で損失を増大させることにも限界があり、限られた米ドル安とみなした方がリスクは限定的であろう。
一方では、ヘッジファンドの決算期でもあり、キャリートレードの解消の噂が絶えないため、しかるべき対応は必要であるが、米ドル売りが加速するのも一時的な現象と判断することが望ましいだろう。
▼ドル円が115円台に突入したことにより、表面的には円高ムードが押し寄せてはいるが、新たに円キャリートレードの再開戦略も充分に考えられるレベルでもあり、115円割れが生じても、低金利政策が続行されている以上は限定的な円高局面と判断することが賢明であろう。
とりあえずは、米ドルに対しては円高現象と言えるが、対ユーロのみならず、他の主要通貨に対しては、未だに円安傾向が継続されており、一概に円高局面とは言えず、日本政府および日銀当局が過度な円安警戒はあるにしても、円安が他の通貨に波及している以上は今後も円のキャリートレードを牽制することになるだろう。いずれにしても、現状の低金利政策では限定的な口先介入となり、利上げを待つしか、本格的な円高にはなりにくい構図がある。
福井日銀総裁が本日から連日講演および会見を行なうが、タカ派的な利上げ優先のコメントが聞かれるかが焦点である。日経平均の軟調も加えて、今回の米ドル安が年度内の利上げを確実に遅らせる要因である事は間違いないが、再度、利上げ姿勢のスタンスを確認した上での始動が適切であろう。
▼IFO景況指数が予想を上回り、ユーロ高に拍車をかけてはいるが、何度も裏切られた1.3台ではあるが、米経済の減速次第ではユーロに集中する地合が増していると言える。一方、ユーロ圏からは1.3台に乗せたユーロ高による貿易不均衡問題も生じており、過度な上昇期待は自重したいレベルである。総じて、売りを摸索するレベルに達していると判断し、もう一段の上昇があれば、ユーロショートにも妙味があると思われる。
▼先週は材料難から、模様眺めの週と思われたが、想定以上の米ドル全面安相場となったが、今週は米経済指標も盛りだくさんの中、各国の要人発言も多々散見されるため、乱高下が必死と見られるが、総じて材料多くして何も起きないと見るのが正解かもしれない。再びレンジを変えての相場動向となると判断するが、週初は手探りの調整相場であるため、相場のトレンドを再確認することに専念する相場ではある。
*********今週のペットでも判る簡単チャート*************
作成年月日 2006年11月26(日) 週末の終値ベース 事前予想実施中
先週からの米ドル安が強烈であったことも影響し、市場は米ドル売りの流れに達しているが、相対的には米ドルの売られすぎ現象が見られる。現段階では米ドル売りに弾みがついていることから、もう一段の米ドル売りが生じれば、米ドル買い局面も遠くはなく、米ドルショートの拡大は禁物である。
●新外為の森 HP内US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱を参照
▲ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.994←0.1172)
先週の乖離幅の試算=ユーロドル1.2833⇔ユーロ円151.05(0.7792−0.6620=0.1172)からドル円117.70売りシグナルから、今週は様変わりし、一気にポジションクローズの段階に達している。週末の終値115.85円ではポジション解消買いが点灯し、様子見レベルに達している。今週の乖離幅の計算式1÷ユーロドル1.3095=0.7636 100÷151.70=0.6642 0.7636−0.6642=0.994と平均乖離幅に接近している。過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1210(118.30売り)→0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買い)→0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買い)→0.1153(117.25売り)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買い)→0.1143(118.15売り)→0.1268(119円売り)→0.1314(119.65売り→0.1250(118.72売り)→0.1175(117.6売り)→0.1199(118.00売り)→0.1166(117.60売り)→0.1172(117.70売り
▲ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅28円 現状乖離幅35.85←33.35円)
先週の強めの売りシグナル1.2833から、今週は更に強めの売りシグナル1.3095が点灯している。週間ごとの経緯は下記の通り。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→1.2269売り→1.2096買い→1.2627売り→1.2729売り→1.2917売り→1.2510買い→1.2810売り→1.2875売り→1.2784売り→1.2600売り(一部買戻し)→1.2511買い解消→1.2717売り弱め→1.2840売り←1.2833売り継続
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(25.65←27.20円)
先週の売りシグナル0.7689から、更に強めの売りシグナル0.7786が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7432買い継続→0.7517売り→0.7536様子見→0.7676売り→0.7595売り継続→0.7665売り→0.7537買い→0.7503様子見→0.7460買い→0.7420買い→0.7509売りclose解消→0.7586様子見→0.7683売り→0.7695売り→0.7689売り継続
▲NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅38.05←39.45円)
先週の売りシグナル0.6662から、今週は強めの売りシグナル0.6716が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6334買い→0.6422売り解消→0.6200様子見→0.6335様子見→0.6179買い→0.6082買い→0.6114買い→0.6251買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6584買い→0.6680売り→0.6628様子見→0.6699売り→0.6648売り継続→0.6662売り継続
▲カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅13.85←15.05円)
先週の強い売りシグナル1.1466から通常の売りシグナル1.1358が点灯している。週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1099買い→1.1180買い継続→1.1010買い→1.1063買い→1.1229買い→1.1282買い→1.1376売りclosed→1.1318様子見→1.1088買い→1.1048買い→1.1207買い→1.1298売り→1.1195買い→1.1174買い→1.1258売りclosed→1.1379売り→1.1262買い→1.1195買い←1.1297売り解消→1.1318様子見→1.1466売り
▲ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅7.80←12.30円)
ドル円115.85x2=231.70−ポンド円223.90=7.80円 先々週の強い売りシグナル1.9099から先週の売りシグナル1.8955も一気に飛び越え、今週はかなり強い売りシグナル1.9327が点灯中。過去の乖離幅の経緯は以下の通り。
乖離幅が10円を割れたことから、ポンドの買われ過ぎが生じている。最近の乖離幅の経緯は16→13→17→21→17→10→13→15→17→14→17→15→13←11.70→10.70→12.30円。 乖離幅の売買目安=乖離幅30円→1.74、25円→1.780、20円→1.8250、15円→1.8600、10円→1.9000レベルと幅広いが、10円割れが生じただけに要注意
▲スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅20.05←23.05円)
先週の弱い買いシグナル1.2435から今週は一気に強めの買いシグナル1.2093が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2261買い→1.1981買い→1.2165買い→1.2088買い→1.2306買い→1.2432売り→1.2333買い→1.2307買い→1.2475買い継続→1.2552売りclosed→1.2366買い→1.2509買い→1.2606売りClosed→1.2728売り→1.2594買いclosed→1.2491買い→1.2533様子見→2418買い→1.2435買い
★ 豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅12.40←12.25円)
強い売買シグナルはないが、乖離幅13円から少な目の豪ドル売り/NZドル買いシグナルが点灯中。過去の週間ごとの経緯は次の通り。
9.30→10.80→11.80→13.95→13.05→14.60→16.00→15.45→13.00→14.40→15.35→16.00→15.40→14.90→17.15最大幅→16.05→15.40→13.90→10.55→9.95ポジション解消→11.20→10.75→12.40→11.75→11.90→12.25円。
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&265円以上は円安の目安)
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44 6月平均259.28 7月平均262.43円 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 円安警戒レベル。11月は268円で安定した円安レベルであったが、今週はドル円115.85+ユーロ円151.70=267.55と若干円高傾向。270円に達すれば、円買いのターゲット。
● 欧州通貨ペア
▲ユーロポンド『平均乖離68円 現状乖離幅72.20←72.05円』
先週の売りシグナルが0.6771から、変化がなく売りシグナル0.6775が点灯中。過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6941売り→0.6974売り→0.6748買い→0.6731様子見→0.6818売り→0.6737買い→0.6795売り→0.6735買い→0.6730様子見→0.6743様子見→0.6689様子見→0.6690様子見→0.6771売り
▲ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅55.90←56.40円』
先週の売りシグナル1.5958から今週はポジション解消の1.5835買いシグナルが点灯し、に突入。
過去の売買シグナルは以下の通り。1.5717売り→1.5775売り→1.5811売様子見→1.5607買い→1.5726売り→1.5815売り→1.5905売り→1.5855売り継続→売り継続中→1.5925売り→1.5937売り継続中→1.5945売り
▲ポンドスイス『平均乖離28円 現状乖離32.30←33.80円』
過去数週間、売りシグナルが続いたが、今週はポジション解消の買いシグナル2.3372が点灯し、様子見に突入。過去の週間ごとの推移は以下の通り。
2.2986売り→2.2763買い→2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2742買い→2.2795売り→2.2694買い→2.2865売り→2.2651買い→2,2779売り→2.2621買い→2.2683売り→2.2975様子見→2.3340売り→2.3495売り→2.3200買い→2.3388売り様子見→2.3447様子見→2.3615売り→2.3713売り→2.3824売り→2.3710売り継続→2.3571売り継続
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