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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円115円の魅力!利上げのない円高はキャリートレード解消ならず。

▼一作日の米ドル売りによる流れから、本格的な米ドル安の兆候も見え隠れする。住宅関連の落ち込みから、米GGDPが下方修正されており、米経済が錯綜する中でヘッジファンドのキャリートレード巻き戻し解消の動きもあり、円高にも弾みがついているが、下値警戒も同時に発生していると見るべきであろう。日経平均株価の軟調も手伝い、そして、ドル円115円とユーロドル1.300の大きな節目に直面するだけに米ドル売りが更に加速するには材料不足は否めない相場である。
おそらく利益確定と狼狽的な損切りもあることから、予断が許せない状況が続くことは必死であり、ポジションの縮小が最優先される相場である。
円キャリートレード巻き戻しの背景はあるにしても、金利格差が解消されない以上は持続性のある円高局面とは言い切れない。反面、当局の円安警告とも取られる執拗な見解がある以上は、本格的な円安是正に向けてのステップとなるかを見極める時期に差し掛かっており、ポジション選択の難易度が増している状況である。
▼当面は116円割れの買いと117円前後の売りに絞ることが賢明な相場であるが、円キャリートレードの解消が噂されている以上は、年度内の決着を急ぐヘッジファンドの動向を見極めてからの始動が良策であろう。 一方では金利格差の縮小が限定的であることから、更なる円高局面に遭遇すれば、再度キャリ−トレード再燃の事態も考慮すべきであり、限定的な円高局面と判断しても良いだろう。
今後、輸出企業の採算点からも、仮にドル円110円までの円高シナリオも考慮したとしても、中期的な視野から判断すれば、2〜3年のスワップ手数料を享受できる円キャリートレードであればリスクも限定的な相場となり得る。今後、円金利が上昇しても、統計的には日米金利差が3%以内に縮小する事はなく、現状のスポット116円台前後のロングであれば、2年後のブレークイーブン(採算分岐点)がドル円110円以下であり、中期運用を主眼とする一般投資家にはドル円115円台の米?買いは魅力的な数字になるはずである。
▼いずれにしても、思惑的な売買が先行する相場でもあるが、ドル円115円台からの実需の買いが実需の売りを上回っており、当面は下値堅調と判断するが、再度キャリートレードの影響を受け易い円相場であると判断し、ドル円116円前後の買いを推奨する。
そして、これからも当局のキャリートレードおよび円安懸念の報道にも注視することになるが、ある意味合いでは異例な発言であり、一般投資家への警鐘と判断し、今後も過度な円高期待もできないが、円安期待は控えることが賢明であろう。
ユーロドルも同時に1.3000を目指す展開であるが、すでに1.35などと過剰反応しているが、現実には米経済が減速すれば、日欧経済への影響も大であり、レンジ相場として捉える事が賢明であり、米ドルの下落基調を先読みする事はリス−キーな段階である。
基本的にはレンジ相場の域であり、市場はユーロドル1.3000への達成感を摸索することになるが、米経済のソフトランディングを背景にしたユーロドルでもあり、米ドルの再反発も視野に入れながらの売買に徹したい。そのためにはポジションの拡大は禁物であり、1.300前後の売りを基準にして、戦略性を高めることを勧める。同時に1.29割れの買いを勧める。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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