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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

BOJ利上げとキャリートレードの苦悩

週末行なわれたメルボルンのG20もメインテーマが曖昧であっただけに、表面的には為替問題には波及せず、通常の顔見世懇談会となった模様である。
世界的インフレ懸念が囁かれる中、原油価格が年初来まで下落し、その安堵感もあるのだろうが、インフレ懸念に温度差が生じており、相対的に各国とも金融引締めの姿勢には変化が見られる。円キャリートレードの推移も気になるが、米経済の減速度合い、原油価格の安定、米ドル資産の分散化と話題は尽きないが、総じて、米ドル安の傾向は否めない相場であるが、レンジ相場を払拭するには時間を要する段階である。

▼先週末の米経済指標では10月の米住宅着工件数が予想を大幅に下回り、2000年7月以来の低水準に達し、米経済減速が強まったことから、米ドル売りが顕著に見られていたが、住宅関連の低迷は想定内のものであり、その後の先行指標となる10月の住宅着工許可件数も同様に前月比6.3%の減となり、1997年12月以来の最低を記録した。この弱い指数発表を受けて米ドルは急速に下げたが、レンジ相場の背景から米ドルの下げも限定的であったと言えよう。基本的には米ドルの下値を探る展開ではあるが、117円割れ実現を出来るほどの円買い、そして、1.29台までのユーロドル買い意欲も限定される相場であろう。今週は特に目立つ米経済指標もなく、平穏な為替市場では日米欧の金利格差が再度注目されることも考慮しなければならないため、動きづらい展開が待ち受けている。
日銀当局からは即利上げが実施できないため、円安牽制とキャリトレードの警告とも取られる発言は要警戒であり、又、来週から本格化する米クリスマス商戦にも注目しなければならず、原油価格の下落によって、米消費意欲も健在であり、米ドルの巻き返しも想定しなければならず、好悪混在した材料が為替相場の難易度を高めるが、ポジション縮小傾向が観られる相場だけに、レンジ相場の売買が優先されると見るべきであろう。
▼シカゴIMM先物通貨(投機筋)の円ショートも5万枚台に定着した模様であり、13万枚を超えた時点では円安警戒もピークを迎えた感もあり、その間におけるドル円の動きは117円割れもなく、そして、上値も119円台では限定的であったように、総じて、こう着感が蔓延している相場と言える。今週の米経済指標も手薄な状況なだけに、当然動きは制約されると思われるが、逆に投機筋の仕掛けも考慮しなければならず、フットワークを重んじた臨機応変の売買が要求されるため、方向感が出てからの始動に心掛けたい。

******今週のペットでも判る簡単チャート*************
作成年月日2006年11月19(日) 週末の終値ベース事前予想実施中
先週と同様に米ドルの状況判断の難しさが現れている。弱冠ながら米ドル安の兆候はあるが、バランス的には主要3通貨が拮抗しており、米ドルの方向性を再確認したい局面である。手探りの米ドル買いが主体になるが、少なめのトライであり、レベル的にも様子見が最優先される相場である。
●新外為の森HP内US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱を参照

▲ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1166→0.1172)
乖離幅試算=1÷ユーロドル1.2833=0.7792⇔100÷ユーロ円151.05=0.6620(0.7792−0.6620=0.1172)先週の売りシグナル117.60から変化は見られず、今週もほぼ同レベル117.70の弱い売りシグナルが点灯している。過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1210(118.30売り)→0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買い)→0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買い)→0.1153(117.25売り)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買い)→0.1143(118.15売り)→0.1268(119円売り)→0.1314(119.65売り)→0.1250(118.72売り)→0.1175(117.60売り)→0.1199(118.00売り)→0.1166(117.60売り)
▲ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅28円 現状乖離幅33.40→33.35円)
先週の強めの売りシグナル1.2840から、今週も引き続き同レベルの強めの売りシグナル1.2833が点灯している。過去の週間ごとの経緯は下記の通り。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→1.2269売り→1.2096買い→1.2627売り→1.2729売り→1.2921売り→1.2917売り→1.2510買い→1.2810売り→1.2875売り→1.2755売り弱め→1.2835売り←1.2672売り弱め→1.2784売り→1.2675売り弱め→1.2600売り(一部買戻し)→1.2511買い→1.2612様子見→1.2738売り→1.2717売り弱め→1.2840売り
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(27.35→27.20円)
先週は売りシグナル0.7674が点灯していたが、今週も乖離幅では変化は見られず、売りシグナル0.7689が点灯中。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7432買い継続→0.7517売り→0.7536様子見→0.7676売り→0.7661売り継続→0.7595売り継続→0.7665売り→0.7537買い→0.7503様子見→0.7460買い→0.7420買い→0.7509売り解消→0.7586様子見→0.7683売り→0.7695売り→0.7674売り
▲NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅39.25→39.45円)
先週は強めの売りシグナル0.6699であったが、今週も引き続き売りシグナル0.6662が点灯中。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6334買い→0.6422売り→0.6200様子見→0.6335様子見→0.6179買い→0.6082買い→0.6114買い→0.6251買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose様子見→0.6530買い弱め→0.6584買い→0.6573買い→0.6680売り→0.6628様子見→0.6699売り→0.6648売り継続
▲カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅13.70←5.05円)
先週の1.1318の様子見から、一転して強い売りシグナル1.1466が点灯。週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.1057買い→1.1099買い→1.1180買い継続→1.1010買い→1.1063買い→1.1229買い→1.1282買い→1.1376売り→1.1318様子見→1.1276様子見→1.1248買い→1.1088買い→1.1048買い→1.1207買い→1.1298売り→1.1195買い→1.1174買い→1.1258売りCLOSED→1.1379売り→1.1262買い→1.1195買い←1.1297売り様子見→1.1318様子見
▲ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅10.70→12.30円)
ドル円117.70x2=235.40−ポンド円223.10=12.30円 先週の強い売りシグナル1.9099から下落基調を見せてはいるが、未だに売りシグナル1.8955が今週も点灯中。 過去の乖離幅の経緯は以下の通り。乖離幅の推移は30円前後から10円まで縮小しており、最近の乖離幅の経緯は13円→16→13→17→21→17→10→13→15→17→14→17→15→13←11.70→10.70と乱高下している。乖離幅の売買目安=乖離幅30円→1.74、25円→1.780、20円→1.8250、15円→1.8600、10円→1.9000レベルと幅広い。
▲スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅22.90→23.05円)
先週の弱めの買いシグナル1.2418に続き、今週も同レベルの1.2435の売りシグナルが点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2261買い→1.1981買い→1.2165買い→1.2088買い→1.2306買い→1.2432売り→1.2333買い→1.2307買い→1.2475買い継続→1.2552売りclosed→1.2366買い→1.2509買い→1.2606売りClosed→1.2728売り→1.2594買いclosed→1.2491買い←1.2533→2418売り
★豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅11.90→12.25円)
依然として、強い売買シグナルはでていないが、乖離幅13円から少な目の豪ドル売り/NZドル買いシグナル。過去の週間ごとの経緯は次の通り。
9.30→10.80→11.80→13.95→13.05→14.60→16.00→15.45→13.95→13.00→14.40→15.35→16.00→15.40→14.90→17.15→16.05→15.40→13.90→13.60→10.55→11.00→9.95ポジション解消→11.20→10.75→12.40→11.75円→11.90
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&265円以上は円安の目安) 
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44 6月平均259.28 7月平均262.43円 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 円安警戒レベル。11月からは先々週118.00+150.05=268.05、先週117.60+151.00=268.10であり、今週は117.70+151.05=268.75と高いレベルでの円安警戒レベル。 270円に達すれば、円買いのターゲットとして考慮。
● 欧州通貨ペア
▲ユーロポンド『平均乖離68円 現状乖離幅73.60→72.05円』
先週までの様子見から、今週は売りシグナルが0.6771で点灯中。過去の売買シグナルは以下の通り。0.6941売り→0.6974売り→0.6915売り→0.6748買い→0.6731様子見→0.6818売り→0.6737買い→0.6795売り→0.6735買い→0.6730様子見→0.6768様子見→0.6743様子見→0.6689様子見→0.6713様子見→0.6690様子見
▲ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅56.30→56.40円』
先週の売りシグナル1.5945から動きは限定的、今週も1.5958で売りシグナルが点灯中。過去の売買シグナルは以下の通り。1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り→1.5607買い→1.5726売り→1.5815売り→1.5905売り→1.5855売り継続→売り継続中→1.5925売り→1.5937売り継続中→1.5945売り
▲ポンドスイス『平均乖離28円 現状乖離35.20→33.80円』
先週の売りシグナル2.3710から解離幅の縮小を見せたが、今週も引き続き売りシグナル2.3571が点灯中。過去の週間ごとの推移は以下の通り。
2.2986売り→2.2763買い→2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2742買い→2.2795売り→2.2694買い→2.2865売り→2.2651買い→2,2779売り→2.2621買い→2.2683売り→2.2975様子見→2.3340売り→2.3495売り→2.3200買い→2.3388売り様子見→2.3447様子見→2.3264様子見→2.3615売り→2.3585売り継続→2.3617売り継続→2.3713売り→2.3702売り継続→2.3824売り→2.3710売り
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりご覧になれますので、ご参照ください。
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★本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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