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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円を買えない! そして売れない?

先週は注目された米中間選挙であったが、結果的には方向感を見出すような状況にはいたらず、むしろ中国当局の1兆ドルに及ぶ外貨準備高の分散化に関心が生じ、市場全体は米ドル売りに傾斜したが、相対的には限定的な下げで終了してはいる。 長期金利の動向も落ち着かないように、米経済の減速と後退懸念が出入りしている状況下でもあり、米経済の不透明さは依然として払拭できてはいない。
●先週末にはドイツで開催されたECB主催の会合に日米欧そして中国と各国の台所事情が垣間見られたが、バーナンキFRB議長とトリシェECB総裁が通貨供給量に言及したため、相場への影響も限定的であったが、双方の見解の相違を見せたように、世界の基軸通貨である米ドルとのギャップを意識せざるを得ない発言でもある。一方では周中国人民銀行総裁も外貨準備高の分散化を表面上は否定しているようだが、伸び続ける外貨準備の純増にはリスク回避を念頭にした米ドル以外の通貨にシフトされるのは至極当然のことでもあり、今後も外貨準備高の構成比率は米ドル離れを促進させることになると思われる。しかしながら、自らの米ドル保有資産が減少させる手段である米ドル売りを敢行するまでにはいたらないと見るべきであろうが、中期的には米ドルの上値が徐々に重くなる事は否めないであろう。今回のパネルディスカッションで最も明解に答えたのは岩田日銀副総裁でもあり、本邦当局者の一連の流れを再確認した状況でもある。一言で言えば福井日銀総裁の円キャリートレードに対する警戒心を代弁しているのであろうが、明らかに過剰な円安を意識した発言であり、とりあえずは、原油価格の安定がひとつの円高材料として述べているが、遅かれ早かれ、円高シナリオを組み入れる相場観が要求されると思われる。日銀の円買い介入はありえないが、利上げ体制が整った際の円高局面には十分な注意が必要になる。
★今週も盛りだくさんの経済指標が待構えているが、各経済指標をひとつずつ吟味しながらの対応になると思われるが、レンジ相場の域を脱する状況でもないだろうが、16日の日銀金融政策決定会合後の福井日銀総裁発言に注目したい。上記に述べた円安牽制と共に、デフレ脱却宣言と利上げを急ぎたい姿勢が垣間見られるだけに、円ショートポジションのリスクをイメージしながらの対応が必要であろう。しかし、ドル円116円台からは円キャリートレードの許容範囲でもあり、116円前後では底堅い動きになると思われる。
★ユーロドルの上昇もユーロ経済の堅調さもあるが、米ドルからの一時的な逃避通貨の意味合いも含んでおり、1.29台を目指す展開には逆に高値警戒も必要であり、特にユーロ円安に対する風当たりも考慮したい局面である。穿った見方をすれば、日銀当局はドル円の介入操作は出来なくても、対ユーロ円に関しては介入操作が可能な状況とも言える。基本的にはポジション整理(売り)の局面と理解するのが賢明であるため、高値追いには注意を払いたい相場である。いずれにしても、米ドルが迷走している状態でもあるため、すくなめのポジションで対応することを勧める。

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今週のペットでも判る簡単チャート
作成年月日 2006年11月12(日) 週末の終値ベース 事前予想実施中
先週は円安調整の円買いも見られたが、同時にユーロドルの調整買いが見られるため、比較的米ドルが下げすぎの傾向が見える。米ドルの買い調整も生じやすい地合になっており、過度な米ドル売りは禁物とも言える。
●新外為の森HP内US$チャートNo.7(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱を参照
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1166←0.1199)
乖離幅試算=1÷ユーロドル1.2840=0.7788⇔100÷ユーロ円151.00=0.6622(0.7788−0.6622=0.1166)
先週は売りシグナル118.00が点灯し、下値を探る展開であったが、ドル円116円台半ばあたりには買い調整局面の段階でもあり、今週も若干弱めの売りシグナル117.60が点灯中である。過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1210(118.30売り)→0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買い)→0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買い)→0.1103(116.30様子見)→0.1153(117.25売り)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55一部買戻し)→0.1143(118.15売り)→0.1268(119円売り)→0.1314(119.65売り)→0.1250(118.72売り)→0.1175(117.60売り)→0.1199(118.00売り)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅28円 現状乖離幅33.40←32.05円)
先週の弱めの売り1.2717から今週は一気に強めの売りシグナル1.2840が点灯している。過去の週間ごとの経緯は下記の通り。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→1.2269売り→1.2096買い→1.2627売り→1.2729売り→1.2921売り→1.2778売り→1.2917売り→1.2510買い→1.2810売り→1.2875売り→1.2755売り弱め→1.2835売り←1.2672売り弱め→1.2784売り→1.2675売り弱め→1.2600売り(一部買戻し)→1.2511買い→1.2612様子見→1.2738売り→1.2717売り弱め
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(27.35←27.20円)
先週は売りシグナル0.7695が点灯していたが、今週も乖離幅では変化は見られず、売りシグナル0.7674が点灯中。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7380買い→.0.7318買い→0.7432買い継続→0.7517売りclose→0.7536様子見→0.7524様子見→0.7676売り→0.7661売り継続→0.7595売り継続→0.7665売り→0.7537買いclose→0.7503様子見→0.7460買い→0.7420買い→0.7509売り解消→0.7586様子見→0.7683売り→0.7695売り
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅39.25←38.95円)
先週は強めの売りシグナル0.6699であったが、今週も引き続き売りシグナル0.6662が点灯中。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6334買い→0.6422売り→0.6200様子見→0.6335様子見→0.6179買い→0.6082買い→0.6114買い継続→0.6242買い継続→0.6251買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6628買い継続→0.6615売りclose様子見→0.6530買い弱め→0.6584買い→0.6573買い→0.6680売り解消→0.6628様子見→0.6699売り
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅13.70←13.55円)
先週の1.1297レベルの様子見から、変化は見られず、今週も1.1318で様子見が継続中。週間ごとの売買シグナルは下記の通り
1.1057買い→1.1099買い→1.1180買い継続→1.1010買い→1.1063買い→1.1229買い継続→1.1160買い→1.1282買い→1.1376売りclose→1.1318様子見→1.1276様子見→1.1248買い→1.1088買い→1.1048買い→1.1207買い→1.1298売り→1.1195買い→1.1174買い継続→1.1258売りCLOSED→1.1379売り→1.1262買い→1.1195弱い買い←1.1297売り様子見
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅10.70←11.70円)
ドル円117.60x2=235.20−ポンド円224.60=10.70円 先週の強い売りシグナル1.9008から、さらに強い売りシグナル1.9099が今週も点灯中。 乖離幅10円前後からはポンドロングは要警戒レベル。過去の乖離幅の経緯は以下の通り。乖離幅30円前後から10円まで縮小しており、10円を割ってくると強い売りシグナルが点灯する。
最近の乖離幅の経緯は13円→16→13→17→21→17→10→13→15→17→14→17→15→13←11.70と乱高下している。乖離幅の売買目安=乖離幅30円→1.74、25円→1.780、20円→1.8250、15円→1.8600、10円→1.9000レベル。
▲スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅22.90←23.85円)
先週は1.2533で様子見レベルに達したが、今週は弱めの買いシグナル1.2418が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2261買い→1.1981買い→1.2165買い→1.2250買い→1.2088買い→1.2306買い→1.2234買い→1.2432売り→1.2333買い→1.2394買い→1.2307買い→1.2475買い継続→1.2552売りclosed→1.2366買い→1.2509買い弱め→1.2606売りポジションClosed→1.2728売り→1.2594買いclosed→1.2491買い←。2533売りclosed
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅11.90←11.75円)
乖離幅が平衡しているため、強い売買シグナルはでていないが、少な目の豪ドル売り/NZドル買いシグナル。過去の週間ごとの経緯は次の通り。
9.30→10.80→11.80→13.95→13.05→14.60→16.00→15.45→13.95→13.00→14.40→15.35→16.00→15.40→14.90→17.15→16.05→15.40→13.90→14.05→13.60→10.55→11.00→9.95ポジション解消→11.20様子見→10.75様子見→12.40→11.75円
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&265円以上は円安の目安) 
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44 6月平均259.28 7月平均262.43円 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 270円に接近すれば、円安警戒レベル。先週は118.00+150.05=268.05と依然として高水位準の円安レベルであったが、今週も117.60+151.00=268.10と高いレベルの円安である。
欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離68円 現状乖離幅73.60←74.25円』
先週も様子見0.6690であったが、今週も引き続き様子見レベル0.6723が点灯中。過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6941売り→0.6974売り→0.6939売り→0.6915売り→0.6922売り→0.6748買い→0.6731様子見→0.6818売り→0.6759売り継続→0.6737買い→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6730様子見→0.6768様子見→0.6735様子見→0.6743様子見→0.6689様子見→0.6713様子見→0.6690様子見
ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅56.30←55.90円』
先週の売りシグナル1.5937から動きは見られず、今週も1.5945で売りシグナルが点灯中。過去の売買シグナルは以下の通り。
1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り←1.5744売り→1.5607買い→1.5726売り→1.5815売り→1.5818売り継続→1.5808売り継続→1.5905売り→1.5855売り継続→1.5884売り継続中→1.5925売り→1.5883売り継続 →1.5911売り継続←1.5937売り継続中
ポンドスイス『平均乖離28円 現状乖離34.85→36.00円』
先週の強めの売りシグナル2.3824が点灯していたが、今週は通常の売りシグナル2.3710が点灯中。過去の週間ごとの推移は以下の通り。
2.2986売り→2.2763買い→2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2742買い→2.2795売り→2.2694買い→2.2865売り→2.2742買い→2.2651買い→2,2779売り→2.2621買い→2.2683売り→2.2975様子見→2.3340売り→2.3495売り→2.3200買い→2.3388売り様子見→2.3447様子見→2.3264様子見→2.3615売り→2.3585売り継続→2.3617売り継続→2.3713売り→2.3702売り継続→2.3824売り
*****************************各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりご覧になれますので、ご参照ください。新外為の森 ★本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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