英国船団荒波へ!後戻りできない航海(後悔)?
予想レンジ
ドル円 101.50〜103.30
ユーロ円 113.00〜115.00
ユーロドル 1.1050〜1.1200
豪ドル円 75.50〜77.30
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先週末発表された米ISM製造業景気指数は予想を上回る強い内容ではあるが、市場は英EU離脱情勢が混迷を極める中、ドル買い戻しは限定的になっている。その中、フィッシャーFRB副議長は、米経済は好調ではあるが、英離脱による米国への影響はこれから見極める必要があり、また、5月の雇用統計は懸念材料になっていると改めて述べている。また、メスター・クリーブランド連銀総裁は英離脱による米国への影響を判断するには時期尚早とした上、利上げ先送りの長期化は金融安定を脅かす可能性を指摘しているが、英国民投票後に米経済見通しの不透明感とリスク回避の動きが共存しており、将来的にはドルに波及する可能性を述べるなど、米利上げタイミングは尚一層不透明感を深めている。
一方、ドル円は債券市場では米30年債利回りが歴史的レベルである2.189%まで低下、米10年債利回りも過去最低水準まで迫るなど、一部では年内の米利上げはないとの見方が少なくなく、米金利差拡大によるドル買戻し機運を削がれると同時に、ドル円の圧迫材料になっている。いずれにしても、世界的にも不安材料が山積する中、消去法的に円買いに集中し易い外部環境にあると言わざるを得ない。
他方、ユーロドルは、EU加盟国は英国に対して、早期の離脱通告を求めているが、英キャメロン首相は次の首相に英国のEU離脱通告を委ねる旨を述べている。次期首相候補とみられている離脱派は年内のEU離脱通告には否定的であることが明らかになるなど、英国は自らの国民投票に翻弄される格好で英国の分裂危機さえも現実味を帯びているのかもしれない。いずれにしても、EU離脱交渉が長引けば、英国離れが加速し、世界の金融センターの立場も失う恐れもある。穿った見方をすれば、EU離脱と言う荒波の航海(後悔)脅かされている英国としては、再び国民投票が実施される可能性も残されているのかもしれない。