期待薄のG20会合でリスク回避志向顕在化!?
予想レンジ
ドル円 113.00〜114.80
ユーロ円 123.50〜125.30
ユーロドル 1.0850〜1.1030
豪ドル円 80.30〜82.00
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注目された上海での20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、概ね予想通りに、外為市場に関する緊密な協議で合意するとともに、通貨の競争的切り下げを回避するとの公約を改めて表明している。新たな懸念材料としては、英国の欧州連合(EU)離脱の可能性にも言及しているが、オズボーン英財務相は、英国が欧州連合(EU)から離脱すれば世界経済への打撃になるとの見解で20カ国・地域(G20)が一致したことを明らかにしている。ただ、6月23日の国民投票の結果を見極めるまでは、通貨安競争に歯止めがかかるは未だに懐疑的である。また、中国の人民元や中国経済の不透明感も主要議題になると思われたが、議長国中国に配慮した格好で多くには触れず、むしろ、主要国の一部の当局者から懸念材料として指摘されたのは、日本の円と金融政策になるなど違和感の残る会議とも言える。その中、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は各国の政策当局者が協調行動を取らなければ世界経済が失速する恐れがあると警告しているが、日米欧共に難題山積で何に手を付けていいのが解らないのが現状なのであろう。
一方、ドル円は、ルー米財務長官は20カ国・地域(G20)に対して、成長押し上げを米消費者に頼るのではなく、世界の需要拡大への努力を倍増するよう要請した上、ドルの強さは経済の強さを反映したものだとの認識を示したことから、ドルの買戻しが優先されている。米債券利回りが回復基調にあることもあり、日米金利差拡大を背景にドル円は114円目前まで上昇基調を強めており、ドル円115円台を意識する動きもあるが、実需や利益確定売りをこなしながらの上昇局面であり、過度な円安期待は自重局面と見なした方が賢明であろう。
他方、ユーロドルは米債券利回りが回復途上にある中、独2年債利回りはマイナス0.54%と、ECBのマイナス金利0.3%を下回っており、買い戻しの動きには脆弱性を帯びている。ただ、G20において、通貨安競争が問われているだけに、当面、ユーロドル1.09割れの段階では清算局面と見なした方が無難であろうが、次回のECB理事会では中銀預金のマイナス金利幅の拡大が見込まれている関係上、米独の利回り格差が更に拡大する可能性があり、ユーロドルの圧迫材料が払しょくされない限りは、引き続き戻り売り優先で臨むことが一考であろう。