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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

原油安継続!長期化の可能性も?

市場では原油安の動向に注目が集まる中、各原油産出国は過剰供給を懸念し、価格競争に走っている。市場関係者はどのレベルで下げ止まるかに不安感を抱いているが、一部では価格競争は短命に終わるとの観測もある反面、地球温暖化により、新エネルギー開発が更に進行する可能性を指摘しており、価格競争が長期化すれば30ドル割れはもちろん、採算割れと言われる20ドル前後まで急落するとの見方も少なくない。原油価格の下げ止まりが確認されるまでは、株、債券、為替、そして、商品相場は引き続き波乱含みの展開が予想される。本日、米国では7〜9月期国内総生産(GDP)や米11月中古住宅販売件数の発表が予定されているが、本邦の祭日やクリスマス休暇を前に、余程の数値でも見ない限り相場への影響は限定的であり、クリスマス休暇明けまでは、直近のレンジ幅を拡大し、相場の動意を待ってからの始動が賢明であろう。

一方、ドル円は121円前後で、引き続きリスク回避の円買いとドルの買戻しに挟まれ、小競り合いの展開を余儀なくされている。基本的に原油安は輸入コスト削減をもたらし、日本経済の活性化となり、今後も堅調な株式相場が予想される処であるが、反面、インフレ期待が後退し、政府日銀が目指している物価目標2%達成、そして、デフレ脱却の足かせになる可能性があり、政府日銀としても、過度な原油安を手放しでは歓迎できない面があり、日銀の金融政策のかじ取りの難易度がさらに増している。

他方、ユーロドルは、相変わらず1.09台前半で一進一退の展開を余儀なくされているが、ユーロのマイナス金利導入以降、欧米の金融政策の相違がはっきりしている関係上、瞬間的にユーロショートの巻き戻しで上昇に転じたとしても、上昇局面では戻り売りに圧される可能性が高く、現状ではユーロドル1.10前後を視野に、戻り売りに専念することが一考
であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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