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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

日米欧の金融政策視界不良でもみ合い相場継続!?

日米金融政策などの一連のビッグイベントを終えて、市場全般は調整色が強まっている。その中、月末のNYダウ平均株価は前日比92ドル安となるものの、10月月間ベースでは8.5%上昇しており、相対的に利益確定売りに圧され格好ではある。また、9月の米個人消費支出は市場予想を下回る内容であるものの前月比で増加、そして、米労働者の賃金・給与の伸び率は7〜9月に順調に加速する中、10月の米消費者マインド指数は前月から上昇過程あるなど、相対的に米経済が順調な回復基調にあることを示している。日銀は米欧の金融政策を睨みながら、拙速的な追加緩和策には慎重姿勢を強めているが、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げに傾斜する反面、欧州中央銀行(ECB)はマイナス金利の導入も含めて、量的緩和の拡大を余儀なくされていることから、日米欧の金利差拡大を背景としたドルの買戻し志向は健在と言えるだろう。

一方、ドル円は120円台では底堅い状況ではあるが、市場は株価や金利動向には過剰反応しておらず、依然として、狭いレンジ幅での攻防を強いられている。政府日銀はデフレ脱却や物価目標2%達成を目指して、限られた追加緩和策の下で円安・株高を堅持したい意向であろうが、ドル円120円台維持、そして、株価20,000円の回復が当面の目安なのかもしれない。いずれにしても、世界経済の減速懸念も深まる中、リスク回避の円買い需要もあり、引き続きもみ合い相場が予想されるが、ドル円119.50〜121.50のレンジ幅で売買を模索することが得策であろう。

他方、ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、12月の政策委員会で追加刺激策の決定が必要となるかどうかは依然、未解決の問題だと述べているが、現在マイナス0.2%に設定している中銀預金金利の更なる引き下げも視野に入っており、その中、ドイツ10年債利回り は0.5%を維持しているが、2年債はマイナス0.3%、そして、5年物もマイナス圏にあり、ユーロを積極的に買い戻す機運には至っていない。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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