日米欧共に景気刺激策主導で通貨安構想再燃!?
昨日のECB理事会において、政策自体は現状維持にとどまるものの、その後のドラギECB総裁の会見を受けてユーロ売りが加速、市場は様変わりの様相を示している。同総裁は必要なら12月に現在の緩和を見直すことに言及した上、次回12月の理事会での追加緩和の可能性を強調するなど、概ね事前予想通りの見解をのべたが、同理事会において、中銀預金金利の追加引き下げが協議されたことを明らかにし、また、その行動の用意があると述べたことから、市場はサプライズ的にユーロ売りを誘発している。ECBは既に中銀預金金利において、マイナス金利を導入している関係上、一部では景気浮揚対策として、更なるユーロ安の意思表示とも受け取られており、ユーロドルの上値の重さを増々意識せざるを得ない相場環境にある。
一方、ドル円はユーロ売りが加速した反動もあるが、相対的な過剰流動性資金を好感する格好で、NYダウ平均株価が320ドル高と大幅に上昇し、節目と見られていた120円台半ばをクリアーしている。本日の日経平均株価の大幅反発が予想されるだけに、円売りに安堵感が生じており、ドル円120円台では底堅い展開が予想されるが、反面、ドル高や円安けん制の動きも浮上する可能性が高く、ドル円121円前後では一旦清算局面と見なした方が一考であろう。
他方、ユーロドルはストップロス優先の展開を強いられており、戻りの鈍さが意識されている。ただ、1.13台半ば前後から1.11割れまでの急落を見たことから、一部では早くも1.100割れをも意識せざるを得ないが、反面、米国の年内利上げ観測には不透明感があるが、ユーロ金利の引き下げ説が浮上したことにより、米利上げ時期が先延ばしされる可能性も指摘されており、過度なユーロ安期待は自重局面にあるのかもしれない。