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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

今週のペットでもわかる簡単チャート

注目された9月米雇用統計において、失業率は5.1%と変更はないものの、非農業部門雇用者数が14.万人増加と予想の20万人増を大きく下回り、また、前回及び前々回の数値も下方修正されたことが嫌気される中、10月の利上げ開始も含めて、年内の利上げも先延ばしされるとの見方が支配的となり、一気にドル売りが加速する格好でドル円は一時119円割れ、そして、ユーロドルは1.13台まで上昇するなど、様変わりの様相を呈している。ここ最近の複数の連銀総裁の発言では、年内及び10月の利上げが有力視されていた矢先なだけに、市場参加者はサプライズ的に反応した側面がある。依然として、FOMCメンバ−内では賛否両論が渦巻いているが、金利正常化に向けて利上げ観測が消滅したわけではなく、そして、世界経済がリスク回避志向に傾斜している状況を注視すれば、ドルが積極的に売られる外部環境には至っていない。

一方、ドル円は米10年債利回りが米利上げ観測とは裏腹に、2%割れまで低下したことが嫌気される中、日米金利差縮小を背景にドル売り円買いが進行したが、株式市場にとっては好材料であり、NYダウ平均株価は200ドル高と堅調に推移しており、再びドル円120円前後まで買い戻されるなど、総じて、心地良いレベルと改めて認識される相場展開である。ここは一過性のドル売りと見なした方がリスクは軽減されるだろう。

他方、ユーロドルは相変わらずドル主導の展開を強いられているが、ドル円と同様に、1.11台半ば近辺から1.13台まで急上昇後、戻り売りに屈服した格好で112台前半まで下落するなど、狭いレンジ幅の中で波乱含みの展開を余儀なくされている。今回の米雇用統計の悪化で下値は限定的になっているが、引き続き1.1150〜1.1300のレンジ幅を重視せざるを得ない状況にあり、当面、同レベル前後からナンピン売買で対応することが一考であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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