FOMC利上げ期待を込めてドル買い優勢!?
今週のFOMCの結果発表を控えて、市場は全体的には様子見気配が強まっているが、中国経済指標が先の貿易統計の落ち込みに続き、1〜8月の固定資産投資が15年ぶりの低い伸び率となったことが嫌気される中、中国上海総合指数が大幅安になるなど、中国経済の減速懸念が更に深まっている。市場はFOMCの金利引き上げの有無に関心が寄せられているが、FRBとしては金利正常化に向けて、一日も早く実施したい意向には変わりがないだろうが、中国経済の不透明さがネックとなり、安易に利上げに踏み切れない外部環境にある。ただ、中国経済の減速懸念が今後も恒常化する可能性が高く、今回、FOMCが利上げを実施しなければ、年内の利上げ機会を逸する可能性も否定できない。一部ではゆるやかなペースでの金利引き上げを前提として、0.25%程度の利上げを実施することも考えられている。
一方、ドル円はリスク回避志向の高まりと共に、一時120円を割り込む場面も見られたが、FOMCを控えて、利上げの有無にかかわらず、波乱含みの展開が予想されるが、本日は日銀金融政策決定会合が控える中、焦点は黒田総裁の会見となるが、原油価格の伸び悩みや量的追加緩和の効果自体が限定的になっている以上、総じて期待薄の結果に終わる可能性が高いだろう。当面、闇雲にポジションを傾けるよりは、119.00〜121.00円のレンジ幅重視で臨むことが賢明であろう。
他方、ユーロドルはFOMCを控えて調整色が強まる中、1.13台で一進一退の展開ではあるが、欧州証券市場監督局(ESMA)が公表した報告書で、市場リスクに対する警戒レベルを最上位に引き上げる中、ESMAは欧州証券市場のリスクは総じて増大したとし、市場リスクの警告を非常に高いと指摘している。主なリスク要因として、不透明な経済見通しを踏まえて、超低金利、債務危機、資金調達など市場機能の弱体化の可能性を挙げている。そして、ドイツがシリア難民の受け入れを強化する中、ドイツ最大手のドイツ銀が人員の4分の1にあたる2万3000人の人員削減を計画している旨が報じられたこともユーロの圧迫材料となり、ユーロドル1.14台が徐々に重石になっている。