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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

人民元切り下げでリスク回避の動きが右往左往!?

昨日、中国当局が人民元の切り下げを実施したことから、市場は困惑気味にリスク回避志向が高まり、相対的にリスク回避目的なドル買いやユーロ買いにマーケットは傾斜している。その中、米財務省は人民元切り下げについて声明を発表し、今回の人民元の動きを判断するのは時期尚早とするも、中国は一層の改革が必要であり、引き続き注意深く監視し、圧力はかけ続けるとしているが、中国当局は中国経済の減速懸念を払しょくさせるためには、今後も引き続き手段を選ばない政策方針を打ち出す可能性は否定できず、安易にポジションを取りづらい状況に陥っている。

一方、ドル円はリスク回避志向にもかかわらず、安全通貨の円買いニーズは限定的になっているが、現時点では円よりもドルを買い戻す動きが上回っており、ドル円は125円台前半まで上昇基調を強めており、一部では年初来高値のドル円125.85円も意識されてはいるが、米債券利回りが低下しており、日米金利差縮小の観点からは、更に上値を追う難しさがある。そして、NYダウ平均株価は212ドル安と反落、そして、原油価格も1バレル43ドル割れ寸前まで急落しており、過度なドル高期待は自重し、ドルの上昇局面では戻り売りに専念することが賢明であろう。

他方、市場は本邦のお盆休みや海外勢の夏休暇を睨み、バランス感覚的に調整色を強めざるを得ないが、その中、ユーロドルは一時1.11台を窺がう展開を見せたが、FRBの利上げ方針には変化はなく、本質的には戻り売り圧力は根強い。ギリシャへの第3次支援協議が続く中、債権団とギリシャは実務協議で大筋合意したと欧州委員会が発表したことから、ユーロの下支え要因になっているが、ギリシャの国営企業の民営化や不良債権処理などの難題を抱えており、問題が収拾には程遠い状況にあり、ユーロショートの巻き戻しは一過性と見なした方がリスクは軽減されるだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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