再三の米利上げ期待でドル買い優勢!深追いには要注意?
中国株式市場では空売り規制強化を受けて、大幅に反発するなど不可思議な現象が続いているが、NYダウ平均株価は47ドル安と小幅下落するなど、日米欧株式市場は相対的に夏枯れ相場の様相を呈している。その中、利上げには慎重派であったがロックハート・アトランタ連銀総裁がFRBは利上げに近づいているとした上、9月の利上げが適切になる可能性を示唆したことから、ドルを買い戻す動きが強まっている。イエレンFRB議長や他の連銀総裁と同様に、経済データの結果次第であることを述べており、特に新鮮味のある発言ではないが、現段階では週末の米雇用統計が改善すれば、9月の利上げが現実味を帯び始めている。ただ、原油価格の急落や中国経済の鈍化などを背景に、物価目標である2%に達するかはかなり疑問視されており、未だに年内の利上げを前提に9月が12月になるかは懐疑的であると言わざるを得ないだろう。いずれにしても、FRBはゼロ金利政策の脱出(金利正常化)に重点を置いており、年内の利上げは確実視されているが、0.25%程度の小幅な利上げに収まる公算は高く、利上げ実施後には材料出尽くし感を踏まえて、ドルの反動売りにも備える必要があり、一方的にドルが上昇する地合いではないだろう。
一方、ドル円は米利上げ期待を背景に124円台半ば近辺まで上昇しており、米雇用統計の結果次第ではドル円125円台が視野に入りつつある。ただ、依然として、ドル円125円前後では実需や利益確定売り、そして、オプション防衛売りなどが大量に控えており、米雇用統計のみでは一過性の上昇に終わる可能性が高いだろう。補足的になるが、日本企業の好決算が続く中、トヨタを筆頭に輸出企業などは既に円安の享受で業績が大幅に好転しており、日銀が指摘しているように円安の副作用を意識させるレベルに近づいている。ドル円125円前後では一旦清算と見なした方がリスクは軽減されるだろう。
他方、ユーロドルは米金利先高観測を受けて、1.09割れへと警戒感を強めているが、幾度となく、ユーロショートの巻き戻し現象が発生しており、積極的に下値を探る難しさがある。いずれにしても、ユーロドル主導の展開ではないだけに、当面、1.0800〜1.1000のレンジ幅を重視し、同レベル前後からナンピン売買に徹することが一考であろう。