妥協の産物&見せかけのバブル対策で不信感増強!?
ギリシャ問題や中国株の急落が一服したことから、市場は冷静さを取り戻しつつあり、昨日のNYダウ平均株価は足早に18,000ドル台を回復したことから、相場全般の関心は米政策金利の動向に傾斜しつつある。ただ、ギリシャ情勢への危機感や中国経済のバブル崩壊などの不透明さに配慮すれば、FRBが利上げを急ぐ理由は徐々に希薄になっていると言わざるを得ないだろう。本日はイエレンFRB議長の議会証言が控える中、従来通りに年内利上げの可能性を示唆する可能性は高いが、9月の利上げに踏み切るには時期尚早との見方が支配的になっている。
一方、ドル円は依然として、123円台半ば前後で試行錯誤が続いているが、一連のリスク回避志向が後退したことや株高基調、そして、米利上げ観測を踏まえて、引き続き底堅い展開が予想される。ただ、中国当局は先に、上場投資信託(ETF)購入、新規株式公開(IPO)の凍結、そして、大量保有株主による株式売却の停止など、あらゆる手段で株価の再暴落を阻止しており、世界的な金融システムの観点からは信じがたい防衛対策であり、市場は急ピッチの株価回復には違和感を覚え始めている。とは言え、世界経済第2位である中国経済のバブル崩壊は日米欧のみならず、他の新興国にも多大な影響を及ぼすことは確実であり、如何に中国経済がソフトランディングさせるか問題視されている。本日発表される中国4−6月のGDPの動向が注目せざるを得ないが、事前予想通りに目標7%を下回る結果となれば、株価の上昇は限定的と判断すると同時にドル円の上値も限定的になるだろう。
他方、ユーロドルはギリシャへの支援協議が進展したことから、一時1.11台目前まで上昇したが、依然として、実効性に乏しい改革案なだけに、上値の重い展開を強いられており、ドル円と同様に、ユーロドルは1.1000前後で右往左往している。ギリシャ政府によると、チプラス首相は辞任せず、連立政権も維持される見通しであるが、現状の最悪事態を前にして、現政権を引き継ぐ候補者が見当たらないが現実なのであろうが、改革案が妥協の産物と言われるだけに、引き続き戻り売りを優先して臨むことが賢明であろう。