日銀総裁発言もはや賞味期限切れ!?
昨日発表された5月米小売売上高は+1.0%と予想+0.8%を上回り、消費動向の改善が示される中、輸入物価指数はインフレを促す結果となるなど、相対的にFRBによる利上げ観測を裏付ける内容である。市場は9月の利上げタイミングを織り込み始めているが、来週の米FOMCの動向を見極めたいとの思惑もあり、ややもみ合い相場の様相を呈している。ただ、安易に利上げを実施すれば流動性資金の変化と共に、株、債券、そして、為替相場などへの影響も考えられるだけに、FRBとしても、利上げ時期も含めて、利上げ幅にも慎重に対処しなければならず、依然として、為替市場は米金利動向に左右されやすい展開が余儀なくされている。
一方、ドル円は米小売売上高の改善を受けて、瞬間的に124円台を突破する場面があったが、先の黒田日銀総裁など円安けん制発言に対する警戒感もあり、同レベルでは利益確定売りや実需売りに圧され一過性の上昇に止まっている。ただ、引き続き日米金利差拡大を背景としたドル買いニーズは強く、むしろ、ドル円123円割れの段階では買戻し志向が強まりつつあり、ドル円相場は再び底堅い展開が予想される。
他方、ユーロドルはギリシャ問題が一向に進展しておらず、徐々にユーロも戻り売り圧力が増している。IMFライス報道官は年金、税制、財政に問題に関して、ギリシャとは大き
な隔たりがあり、合意に向けては程遠いと述べており、最終判断はギリシャ側に委ねられている。ギリシャ側は難色を示しているものの、選択肢は限られており、ギリシャ側としては小手先の延命策で乗り切るしかないのが現状なのかもしれない。一部EU高官からは来週の支援協議で合意の可能性があるとも伝えられているが、仮に、合意に達したとしても、ギリシャの政権崩壊や恒常的な資金難が顕在化しているだけに、ユーロを積極的に買いあげる雰囲気には至っておらず、引き続き戻り売りを優先の展開を強いられている。