日銀総裁発言に過剰反応!難易度高し?
黒田日銀総裁は本日の衆議院財務金融委員会において、為替市場への質問に対して、米利上げが市場にほぼ織り込まれているとすれば、それ以上のサプライズがなければこれ以上のドル高になる必要もないように思われるとの認識を示したことがきっかけに、ドル売り・円買いが加速、ドル円は124円台半ば前後から一気に122円台半ば前後まで急落するなど、市場は想定以上の反応を見せている。先の主要7カ国(G’)財務相・中央銀行総裁会議では為替に関する議論は全くなく、大きく取り上げて議論する必要性を感じなかったと述べていた矢先なだけに、ドル円相場は過剰反応している嫌いは否めない。改めて、日本政府・日銀はドル円125円台以上の円安局面は日本経済の活性化にはつながらないとの考えに傾斜していると言わざるを得ないだろう。
一方、実質実効為替レートでは円安の水準の域にあるが、日銀総裁自ら実質実効為替レートがここからさらに円安に振れるということはありそうにないと述べるなど、やや行き過ぎた発言とも受け取られている。ただ、日本政府及び日銀としては、デフレ脱却を目前にして、円安による経済効果の脆弱性を考慮した発言でもあり、なりふり構わない追加緩和策と同様に、為替相場にも導入した感が強く、市場には失望売りが誘引されており、ドル円の戻りは限定的にならざるを得ないだろう。ただ、流石に菅官房長官は黒田日銀総裁の発言については同調せず、総裁自身の責任の下で発言したと指摘している。相場が落ち着きを取り戻せば、米金利先高観測によるドル買い志向は根強く、更なる下落局面ではリバウンドも期待できる状況にある。
他方、ユーロドルは、ギリシャ問題が進展せず、特に買い材料はない中、再びユーロショートの巻き戻しが優先されている。ドル円の急落も手伝った側面もあるが、ドイツ10年債利回りが1%台まで上昇したことを背景に、ユーロを買い戻す動きが強まっている。ただ、今回のユーロの買い戻しは本日行われているギリシャと独仏の首脳会談で何らかの解決策が講じられるとの期待感にあり、一過性の上昇に終わる公算が高いため、ユーロドル1.14前後からのロングは自重することが一考であろう。