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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル全面安の展開!金利差拡大で戻り買いに妙味?

ドル円     118.70〜119.70
ユーロ円    134.50〜136.00
ユーロドル   1.1250〜1.1400
豪ドル円    95.50〜97.00

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ドルが対主要通貨で3カ月以上ぶりの安値水準まで下落基調を強めている。昨日発表された4月の米小売売上高は市場が想定した以上に弱く、相対的に米連邦準備理事会(FRB)の利上げ時期が後退するとの観測が広がったことが主なドル売り材料となっている。悪天候などの一時的な要因で米経済指標の悪化が続いてはいたが、今回の小売売上高の脆弱性を見る限りでは、ドル高の影響が米経済全般に影響を及ぼしている可能性もあり、一部では米当局がドル高けん制を裏付けたとの指摘もある。ある程度のドル安局面は許容範囲の段階と見なした方が一考であるが、米債券利回りの上昇を伴い、金利差拡大を背景にドル買いニーズは根強いと見なした方が賢明であろう。

一方、ドル円は世界的な債券利回りの上昇が続く中、ドル円相場は対ドルでは120円台が改めて重石になってはいるが、他の主要通貨に対しては、依然として円安基調を強めており、相対的には円高の影響は軽微になっている。今後、ドル円相場が118円台に突入したとしても、日本株への割安感などを踏まえた買い戻しも予想されるだけに、株式市場への影響は限定的との見方が優勢である。ドル円119円台半ば以上からの戻り売りに妙味が生じている。

他方、ユーロドルはドル売りに助長させられる格好で1.13台半ばまで急反発している。ユーロショートの買戻しが一巡後には、引き続きギリシャ問題が危惧されていただけに、想定以上のストップロスを巻き込みながら加速的な上昇局面を迎えている。ただ、ギリシャの資金枯渇問題が今後も絶え間なく押し寄せるだけに、ユーロロングの高値掴みに要注意と言わざるを得ない。そのほかでは、豪ドルの強さが目立っているが、NZドルの急落からシフト的に豪ドルの買戻し意欲を高めている。豪ドルが一時、豪ドルの利下げを背景に対NZドルでパリティ割れ寸前まで追い込まれた経緯があっただけに、豪ドルの自律反発
とも言えるが、ただ、対ドルや円に関しては、やや買われ過ぎの域に差し掛かっており、現状レベルからのロングは自重することが一考であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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