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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

売買材料多種多様で困惑気味の市場へ!?

本邦の大型連休の間、為替相場はドル買いからドル売りへと様変わりの様相を呈している。主なドル買い材料としては、米金利先高観測によるところが大きいが、ここ一連の米経済指標の脆弱性や米貿易収支の悪化などを背景としたドル高けん制の動きも含めて、利上げ時期が後ずれする公算が高いため、総じて、市場はドルの調整売りに傾斜している。昨日発表されたADP雇用統計が予想以上に弱く、前回同様に20万人を下回る内容であったことも嫌気される中、明日に控えている4月米雇用統計に対する疑心暗鬼がドル売りを助長させている。ただ、先に発表された3月米雇用統計において、非農業部門雇用者数が+12.6万人と市場予想の+24.5万人を大きく下回り、雇用者数の伸びは2013年12月以来の低水準になった反動も期待されるなど、今回4月の米雇用統計は3月よりは改善との見方があり、マーケットを困惑させており、引き続き神経質な展開を強いられている。

一方、米国株式市場はイエレン米連邦準備理事会(FEB)議長が株式市場のバリュエーションが全般的に高まっていると警告したことを受け、一時200ドル安になるなど警戒感を強めている。また、初回の利上げは長期金利の急激な上昇の引き金になる可能性を指摘したことから米10年債利回りは2.2%台まで困惑気味に上昇するなど、相対的にマーケットの不安定要因になっている。そして、ロックハート・アトランタ連銀総裁は第2四半期以降の持ち直しでは個人消費に注目すべきとし、最近の消費動向には困惑させられる面があるが、短期的な成長の姿がはっきりするにはまだ時間が必要であり、現時点では第1四半期のGDPは異例の弱さや純輸出は今年の大半を通して経済活動の重石であると指摘している反面、市場は徐々に米雇用統計待ちの段階にあり、相場が動意づいてから始動が賢明であろう。

他方、ユーロドルはギリシャ問題の進展は見られていないものの、ドル調整売りに圧された格好で1.13台を回復している。ドイツ国債利回りが上昇基調にあることや原油価格が上昇し始めていることもユーロの買戻し志向を強めている。ただ、ユーロショートの改善が続いてはいるが、ユーロの自律反発とは言い難い側面があり、巻き戻し一巡後の利益確定売りが意識されるだけに、当面、高値掴みには要注意であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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