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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル売り一服、反転近し!?

日経平均株価の大幅な下落を受けて、NYダウ平均株価も前日比195ドル安と軟調に推移しているが、米10年債利回りが2%台を維持しており、また、昨日発表された新規失業保険申請件数や4月シカゴ購買部協会景気指数が改善されたことから、市場では悪天候による一連の経済指標の悪化に歯止めがかかるとの期待もあり、ドル売りは一服状態にある。

一方、ドル円は株価の急落にもかかわらず、再び日米金利差拡大を背景に円売り志向が強まっており、ドル円120円台を視野に底堅さを取り戻している。ただ、依然として、実需売買を背景に、ドル円119〜120円の狭いレンジ幅の攻防の域を脱しておらず、現状では過度な円安も円高も想定しづらい状況にあり、上記レベルからのナンピン売買で臨むことが賢明であろう。

他方、ユーロドルの買い戻しが続く中、ユーロドルは1.12台で底堅い展開を見せている。ECBの量的緩和により、ユーロ圏の経済指標が改善方向にあり、また、デフレ懸念がやや後退していることもユーロの買戻しに拍車をかけている。その中、相変わらずギリシャ問題がユーロの懸念材料ではあるが、シカゴIMM通貨先物市場におけるユーロショートがどの程度縮小されたかが話題になっている。ユーロショートは縮小してはいるだろうが、市場ではユーロショートが一巡した後のリバウンドを警戒する向きも少なくなく、更にユーロを買い戻す動きは鈍くなり始めている。そして、英国では注目の総選挙が行われるが、結果次第ではユーロ離脱問題が再燃する可能性は捨てきれない。ただ、同問題が英国経済に悪影響を及ぼすことが有力視されており、相対的にはユーロ離脱問題は英国民の支持は得られないとの見方が優勢であるため、即座にユーロ離脱に向けた国民投票が実施
される可能性は低く、ユーロ売りは一過性に終わると見なした方が無難であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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