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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

購買力平価発言半滅!ドル買戻し優勢?

3月米小売売上高が事前予想1.1%を大幅に下回る内容であったことから、ドル売りが優先されているが、NYダウ平均株価は59ドル高と再度18,000ドル台を回復しており、米景気回復期待は根強く、引き続き米利上げ時期を探る展開には大きな変化は見られていない。ここ最近の米経済指標の弱含んでいる要因が悪天候によるとの見方が支配的になっており、単月の経済指標で米景気動向をどうこう判断できにくい状況にあり、市場の反応は限定的になっている。

一方、ドル円は先の購買力平価の発言以来、上値の重い展開を強いられており、一時ドル円119円割れ寸前までドルの調整売りが加速しているが、同レベルでは引き続き利益確定や実需買いが控えており、また、浜田内閣官房参与がドル120円程度は許容範囲内と発言するなど、先の円安けん制を修正していることから、積極的に下値を探る展開には至っていない。そして、購買力平価に関する話題自体は新鮮味には乏しいこともある反面、購買力平価説は2国間の物価動向(インフレ率)を睨みながら貿易不均衡是正の役割を果たす一応の目安ではあるが、同時に2国間の金利格差問題なども絡み、為替相場の本質を安易にはかれないのが実状であり、一過性の円高にとどまる公算が高いだろう。むしろ、日米当局がドル高と円安の副作用に触れているため、ドルの更なる上昇は限定的と見なし方が妥当とも言えるだろう。

他方、ユーロドルは再びユーロショートカバ−が先行しており、やや下値懸念は希薄になっているが、依然として、不透明感を拭えないギリシャ問題を抱える中、ギリシャ政府は5月、6月に予定されているIMFへの返済を延滞させる準備をしていると伝えられているが、ギリシャ側の発言には信ぴょう性が乏しく、引き続きユーロドル1.05前後を意識した展開が予想される。ポジションの巻き戻しが一巡すれば、再度戻り売りに転じる可能性は高く、高値掴みには要注意と言わざるを得ない。




プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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