ドル買い優勢も120円前後で試行錯誤!
中国が景気刺激策の一環として、住宅ローン政策や税制を緩和するなど、新たな金融緩和策に乗り出したことが好感される中、NYダウ平均株価は263ドル高と大幅に反発、一時18,000ドルを回復するなど、米経済の先行きを期待した実需買いが株式相場を押し上げている。その中、ドル円は再び120円台を回復するなど、相対的にドルの買戻しに安堵感が与えている。ただ、同レベルでは期末決算を控えて、ドルの調整売りや利益確定売りなどが散見されており、更に上値を追う難しさも生じるなど、膠着度を強めている。
他方、ユーロドルはドルの買い戻しを背景に、1.08台前半まで下落している。依然として、ギリシャの不透明感が根強いことがユーロドルを圧迫要因になっている。当面、ギリシャはユーロ圏諸国から支援がない場合には、4月20日までに手元資金が枯渇するとの警戒感を踏まえたユーロ売りが優先されている。また、一部報道では不良債権処理のためのバットバンクの設立などが検討されているとの憶測が飛び交う中、ドイツ政府はギリシャが一段と詳細な改革リストを提示するまで、ユーロ圏として追加金融支援を行わないとの考えを表明していることもユーロの戻りを一段と鈍くさせている。
他方、米利上げ観測に関しては、バーナンキ前FRB議長は米経済の回復が脆弱性を帯びており、FRBが時期尚早の利上げを実施すれば、むしろ、景気を減速させ、設備投資のリターンを低下させると指摘。再びFRBは緩和に戻らなければならない事態に陥る可能性を指摘している。いずれにしても、他の主要国がデフレ懸念や地政学的リスクに直面するなど、世界経済を取り巻く環境に不透明感があるだけに、米国は利上げタイミングにはより一層慎重になることが求められているのが現状であり、米国は利上げタイミングにはより一層慎重になることが求められており、米利上げ時期が危機として進まない理由があるとも解釈できる。