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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロドル史上最安値更新の展開も視界不良!?

予想レンジ
ドル円     119.80〜121.30
ユーロ円    143.00〜145.00
ユーロドル   1.1850〜1.2050
豪ドル円    96.50〜98.00

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明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
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年明けのNYダウ平均株価は小幅高と17832ドルで引けているが、2月の製造業総合景況指数も6カ月ぶりの低水準だったこともあり、やや伸び悩みの傾向を示している。ただ、原油価格は52ドル台まで低下傾向を強めており、50ドル割れが意識されるなど、相対的なリスク回避によるドル買い需要は根強く、ドル円は120円台半ば近辺まで上昇するなど、ドル独歩高の様相を呈している。

一方、ユーロは対ドルで1.2000割れ寸前まで下落し、4年半ぶりの安値圏に突入している。ドラギ総裁は、ECBが物価安定の責務を果たせないリスクが半年前に比べて高まっているとの認識を示し、必要であれば今年初めに行動する用意があるとあらためて表明。また、メルケル独首相率いる与党の高官は、ギリシャの問題はユーロ圏の金融システム全体に対する重要性がもはやないため、域内の政治家らは同国を救済する義務はないとの見解を示したことが嫌気される中、ユーロ圏の製造業指標がさえなかったこともユーロ売りを誘引するなど、ユーロ圏を取り巻く悪環境は悪化の一途をたどっており、更に下値を探る展開を強いられている。

他方、ドル指数が強まる中、国際通貨基金(IMF)が公表した統計によると、各国中銀が保有する外貨準備に占めるユーロの比率が2014年第3四半期に22.6%と、前四半期の24.1%から大幅に低下し、2002年第3四半期以来の水準に落ち込んでいる。反面、米ドルは62.3%と前四半期の60.7%から上昇、そして、円は約4%と横ばいであるが、現状の為替相場の実体を表している。ただ、ユーロドル安と円安への警戒感が増幅しており、いつ何時反転しても何ら不思議ではなく、短期筋としても積極的にドル買いを継続する難しさも表面化しつつあり、年初から波乱含みの展開が余儀なくされている。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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