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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル買い戻し一服!本格的な調整局面入り?

米国株式市場において、NYダウ平均株価は272ドル安と大幅に下落基調を強めている。コチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁が2015年の利上げは不適切とし、相当な期間を外す理由は見当たらないと述べたほか、ダドリー米NY連銀総裁は来年半ばの利上げ予想は妥当な見解とするも、利上げは時期尚早と述べるなど、利上げに慎重姿勢を示したことから、米10年債券利回りも2.4%割れへ低下するなど、ドルの買い戻しは一服している。その中、ドル円は一時108円割れ、また、ユーロドルは上値の重さが意識される中、1.26台後半まで反発しており、市場では本格的な調整局面に入りとの声も少なくない。ただ、円ショートやユーロショートの自律反発の域は出てはいないだけに、過剰期待は禁物かもしれない。

一方、昨日は安倍首相自ら円安デメリット発言が嫌気される中、相対的にリスク回避の円買い志向が強まりつつあるが、日本政府の基本路線としては、デフレ脱却をはじめとし、消費税再引上げ問題を抱えている以上、株高並びに円安が必須条件なだけに、更なる円高局面に対しては、追加緩和策で対応せざるを得ない状況にあり、ドル円の下値は限定的と見なした方が無難であろう。ただ、安倍首相の発言にあるように、急ピッチの円安により、海外勢からの円安批判が強まっているため、短期筋や機関投資家などはポジションの清算局面を迎えており、ドル円109円前後が重石になっている。そして、ドル円110円台への戻りは遠のいていると言わざるを得ないだろう。

他方、ユーロドルは特筆すべき材料のない中、ドル売りの恩恵を受けて、1.26台後半まで反発しているが、依然として、1.27台が鬼門になっている。昨日も一連のドイツ経済指標が悪化する中、ドイツの鉱工業生産が弱い内容であり、ドイツ経済の先行き懸念も高まるなど、ユーロ圏におけるファンダメンタルズは改善の兆しが一向に見られないだけに、引き続き戻り売り優先の展開を強いられており、過度なユーロ高期待は自重局面にある。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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