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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

材料出尽くし感否めず!一進一退の展開?


昨日発表された第一四半期(1~3月)の米国内総生産(GDP)確報値は前期比マイナス2.9%と過去5年間で最悪となったにもかかわらず、NYダウ平均株価は3日ぶりに49ドル高と反発して引けている。市場は今回のGDPの大幅な下方修正は悪天候の影響が大きく反映されたものであり、第二四半期(4〜6月のGDPは3〜4%程度まで大幅に改善されるとの見通しが先行しており、相対的に株価の後押し要因になっている。

一方、ドル円は米経済指標の悪化を受けて、一時101円台半ば近辺に迫る展開を強いられたものの、株価の反発と共に再び102円前後でのもみ合い相場が続いている。引き続き冴えない相場展開画予想されるが、日本政府が前日に骨太方針と成長戦略を閣議決定したことから、今後も過度な株安や円高局面に陥ることは回避されるとの見通しから、円を積極的に買い上げる状況ではないだろうが、材料出尽くし感も踏まえて、ドル円相場は引き続き102円前後で一進一退の攻防が余儀なくされている。

他方、ユーロドルは米経済指標の悪化を受けて、一時1.36台半ばを回復するなど、一見底堅さを取り戻しつつあるが、イラク情勢の緊迫化をめぐる懸念は依然として払拭できておらず、再び米国債や円債が買い進まれているように、相対的にリスク回避の動きは顕在化している。引き続き安全通貨でもあるドルや円買いに走りやすく、ユーロドルの戻りは限定的とみなした方が一考であろう。その中、米10年債利回りは米経済への回復期待を背景に2.559%で踏みとどまっており、当面、債券利回りが2.5%割れの状況になるまではドル売りを積極的に仕掛けづらい相場環境になっている。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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