為替心理と秋の空!根拠なき米雇用統計かな!
月初から予測不能の米雇用統計の発表ですね。前回は失業率にも関心が移り、本来の雇用統計らしくはなったが、今回も振り出しに戻り、非農業部門雇用者数ばかり関心は寄せられるが、もともと根拠がない予測だけに、ある意味では悪しきディーラーの習慣なのでしょうが、すっきりしない指標である事は間違いありません。そろそろ米経済指標もランク付けした方が良いのかもしれないが、女心と同様に『為替心理と秋の空』と言われるぐらい、浮気の虫が騒ぐ季節なのかもしれません。よく考えれば、事前予測から数万人の増減だけで、いまの米経済、そして米ドルを語るには、余りにも軽率なのかもしれない。
▲予想通りにECBの政策金利が据え置かれ、トリシェ中銀総裁の発言も内容的には想定範囲内であり、全く新鮮みが感じられず、次回の利上げに向けてのステップとしても物足りなさを感じる状況である。同時にバーナンキFRB議長のコメントも金融政策に関する発言は控えられ、総じて、抽象的な内容とも言えるが、概ね将来の潜在成長率の低下を背景にした見解でもあり、再利上げ観測が更に遠のいている印象が強い状況である。
今晩の米雇用統計に向けて、事前予測においては非農業部門雇用者数が前回よりは増加傾向と言われ、今までの米ドル売り調整にも一服感が生じている。しかし、相変わらず信憑性には欠ける予測だけに、逆に米ドルの買戻しが生じた際には、再度米ドル売りを摸索した方が賢明な相場とも言える。基本的には米ドルショートで臨む方がリスクは限定的な相場と判断し、ドル円117円台後半の売りとユーロドル1.28割れの買いを推奨する。総体的にもポジションの短期保有が主流になっており、機関投資家は円売りのキャリ−トレードを勧めるが、個人投資家サイドには前回急落したクロス円の影響もあり、円キャリートレードに対する警戒心も強まっている事は確かである。特に新規のキャリートレードポジションを作る局面ではなく、自重気味に見守ることが得策であろう。補足的な説明になるが、本来は高金利通貨との先物売買では金利格差だけ円高になる算式が有効である。いわゆるスワップ手数料と言うことになるが、あくまでも現状レートが存続することを仮定したレートであり、ドル円を例にとるならば、将来は円のプレミアムであり、米ドルのディスカウト相場である。スワップ手数料が心理的なハンディキャップを享受する形にはなるが、本来は金利格差では円安にならず、円高になるのが原則である。
▲それだけ、今の為替相場は変動率が極端に縮小している証でも有り、キャリートレードの旨味が頻繁に生じるとも言える。しかしながら、急落と言う落とし穴もあり、ストップロスの重要性が増していることも確かである。
ユーロドルの上値も1.28台半ばから1.29前後にかけては、実需の売りとポジション解消の売りも散見されているように、本日も上値の重い展開が予想され、1.28前後を挟んだ攻防と見るのが賢明であろう。レンジ相場と見なして、当面は乱高下が生じた際の逆張り戦術に妙味がある。少なくとも、現状から50ポイント動いてからの始動に専念することを勧める。