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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米金利低下でドル売り優勢!過度なドル安自重局面

昨日発表された4月米鉱工業生産が予想外に減少し、設備稼働率も低調な結果になるなど、冴えない米指標を背景に、NYダウ株式が終始軟調に推移する中、米10年債利回りは節目と見られていた2.5%を昨年10月30日以来再び割り込んだことから、相対的にドル売り基調が強まっている。その中、ドル円は日米金利差縮小を踏まえて、ドル円101.50円を一時割り込むなど、ストップロスを巻き込む展開を余儀なくされている。徐々に市場にはドル円101円割れへの危機感と共に、102円台の上値の重さが意識されているが、依然として、米経済への回復期待と共に、FRBによるQE縮小が継続されている以上、米長期金利の更なる下降局面は想定し難い相場環境にあり、過度なドルショートは自重局面に差し掛かっている。

一方、ドル売り優勢の中、ユーロドルは昨日発表されたユーロ圏各国のGDPが弱い内容であったことから、市場はECBの追加緩和期待を更に強めており、一時ユーロドルは1.36半ば近辺まで下落した場面があったが、同レベルでは値ごろ感からの買戻しやドル売りによるショートカバーでユーロドル1.37台を回復している。ただ、依然として、ECBによる金融緩和への高まりでユーロが売られやすい相場環境にあり、戻りの鈍さは否定できず、1.37台半ば以上からのロングは自重局面にあると言わざるを得ないだろう。

他方、東京株式相場の動向が懸念される中、早朝から下落幅を広げており、14,000円割れを危惧する声も少なくないが、日銀は来週の金融政策決定会合で、資金供給量(マネタリーベ
ース)を2年で2倍に引き上げる「異次元緩和」の継続を決める見通しであり、好調な企業収益を背景に、設備投資需要の顕在化を踏まえた上で、会合では現在の設備投資判断を引き上げる方向でもあり、株価の歯止めが予想されるだけに、過度な株安円高は期待薄であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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